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ポストTPPにおける、中国の責任

 

トランプ時代が始まり、TPP(環太平洋経済連携協定)が流産しようとしている。TPPのバトンは、誰が受け継ぐのだろうか?世界3位の経済大国である日本には、その準備ができているようだ。

日本はオバマ大統領が手を引いた後も、TPPのリーダーシップを発揮すると約束した。日本経済新聞によると、新興国では米国を排除し、TPPの早期発効を目指す計画が打ち出されているという。しかし多くのTPP参加国は、現在も静観している。フィナンシャル・タイムズが指摘したように、米国のアジアの同盟国はまだ、米国に失望している最中だ。

米国不在のTPPでは、「環太平洋」が形骸化する。そのため一部のTPP参加国は、中国をその代わりにしようとしている。例えばペルーのクチンスキ大統領は最近、米国を除く新たなTPPを構築すべきと主張し、中国やロシアを含む計画を出した。TPPのもう一つの重要な参加国である豪州のビショップ外相も、「TPPに進展がなければ、その空白はASEAN10カ国、中国、豪州、インド、日本、韓国、ニュージーランドの16カ国からなる地域包括的経済連携(RCEP)により補われる可能性がある」と発言した。

ペルーAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は今月、首都リマで開催される。TPP・RCEP参加国の首脳のほぼ全員が出席し、オバマ大統領にとって最もきまりの悪い時となる。これはまた、習近平国家主席の先を見通す力を示す時になる。中国はRCEPのほか、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を推進している。米国主導で先行き不透明なTPPのメンバーは12カ国で、ASEANが主導し中国が推進するRCEPは16カ国。FTAAPはさらに21カ国だ。FTAAPが構築されれば、アジア太平洋地域で制度が最も整った、ランクが最も高く、影響力が最大で、最も広く利益が及ぶ自由貿易圏になる。

米国が下がり、中国が前進している。アジア太平洋の各レベルの自由貿易枠組みをけん引する責任は、中国に回ってきた。オバマ政権は価値観や地政学的な要因により、世界の経済貿易ルールの制定から中国を除外し、TPPを計画した。米国はTPPを弄んだ末、捨てることになった。地域諸国に利益を失わせたばかりか、自国の求心力も失った。 経済貿易は結局、経済貿易に帰する。TPPが流産の危機に瀕するなか、オバマ大統領にはペルーAPECという最後の多国間外交のチャンスが残された。世界最大の国の元首であるオバマ大統領は、最もきまりの悪い首脳でもある。オバマ大統領は米国の内政・外交の発言権を失っており、アジア太平洋諸国にTPPに未来がなくなった理由についても説明しなければならない。

中国はアジア太平洋自由貿易交渉の責任を担い、米国不在のTPPを排除しない。日本がその他の10カ国を率い、11カ国のTPPを形成できれば、地域自由貿易枠組みの構築に資する。RCEP、地域内の二国間・多国間の自由貿易枠組みのすべてが、アジア太平洋地域経済貿易一体化の重要な一環だ。これらの自由貿易区の実施の経験と教訓は、最終的にFTAAPの実現を促す。

アジア太平洋地域の二国間・多国間自由貿易枠組みには、リーダーが必要だ。米国は政治的要因によりTPPを水の泡とした。中国はアジア太平洋地域一体化の推進で、より多くの責任を担わなければならない。(筆者:張敬偉 察哈爾学会高級研究員、中国人民大学重陽金融研究院客員研究員)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月16日

 

 

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