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AIIB加盟、日本の慎重で曖昧な姿勢

 

「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)サミットフォーラムに出席するため北京を訪問した自民党の二階俊博幹事長は15日、日本のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加入について「参加をどれだけ早い段階で決断するかだ」と述べた。日本の政界は「遅れ」を取らないよう、準備を早めに進めるべきだというのだ。

しかし二階氏の発言後、別の2人の人物も含みのある発言をした。

安倍晋三首相は同じく15日、記者からの質問に回答する際に、AIIBについて言及した。「疑問点が解消されれば前向きに考える」

安倍首相によると、この疑問とは(1)公正なガバナンス(2)持続可能な貸し付け(3)環境や社会に対する配慮――の3点だ。またこれを「米日両国の疑問」とした。

報道から一夜明けた16日午前、菅義偉官房長官は「発足当初からガバナンスが公正なものを確立できるのか、環境、社会に対する影響への配慮が確保されているのか、運用を注視していくと申し上げている。そのことにまったく変わりはない」と述べた。

この3人の発言を比較すると、後2者の態度の方が「慎重」であると感じられるが、さまざまな解釈の余地が残されている。当然ながらこれは、彼らの一貫した手法だ。この対比は、日本のAIIB問題における態度を説明している。

日本国内ではAIIBに対して、当初より異なる意見があった。

日本は現在、一連の深いレベルの経済・社会問題に直面している。高齢化、政府の財政難、産業空洞化、国内市場の飽和化などだ。今日の日本は広い海外市場と生産力を手にする必要がある。安定的な外部発展を、今後数十年の経済成長の支柱としなければならない。

現在の世界を見渡すと、新興国と第三世界しかこの支えを提供できないことは間違いない。欧州の経済成長はそれほど楽観視できない。米国は大規模な経済と成長の潜在力を持つが、新興国のような高度成長を実現する可能性は低く、対外開放されている市場も限定的だ。

まさにこの理由から、日本はこの数年間に渡りTPPのような事業に期待を寄せ、米国と手を結びアジア太平洋(特に東南アジア)の経済資源を統合することで、このような「外部の支柱」を作ろうとしてきた。これはまた日本が政治面で、他国のように安心して中国に相乗りするのではなく、執拗に中国に対抗してきた理由でもある。

これらを背景とし、AIIBの設立準備当初より、日本国内で異なる観点が見られた。

水面上の「主流」とされる観点には、疑問と警戒が満ちていた。AIIBは中国の「経済拡張ツール」であり、財務的に持続不可能であり、運営において中国のみが発言権を持つ。とにかく中国に運営は無理であり、仮に上手く運営できたとしても他国にメリットはないというわけだ。そのため安倍首相が挙げたような「疑問点」が生まれた。当然ながらこの公の場で挙がった疑問点は、口にできる分にすぎない。

しかし「水面下」では、冷静に考えている日本人もいる。アジアのインフラ整備とは、どのようなパイだろうか。中国のインフラ面の実力と経験は、どのような効果をもたらすだろうか。一部のアジア諸国のインフラの発展は、地域にどのようなメリットをもたらすだろうか。日本はそこからどのようなチャンスを手にするだろうか、と。

日本国内の「ポリティカル・コレクトネス」のタブーにより、後者の観点が広く伝わることはない。しかし日本はこの1年以上に渡り、側面から探りを入れるか直接人員を派遣することで、AIIBの動向に注目を続けてきたという事実がある。

当然ながら彼らはAIIBが構想から設立へ、「一枚の白紙」から青写真へと変わる過程をその目で見守った。AIIBの加盟国は70以上に達し、さらには英国やドイツなど国際市場の伝統的なプレイヤーを集めた。彼らはまた、今になって加盟を申請しても、初期創設メンバーの待遇を受けられず、さらに全加盟国の承認を得る必要があることに気づいている。

高度成長を経験した日本人はどのようなチャンスを迎えているか、どのようなチャンスを逃そうとしているのかを理解できるはずだ。

国際情勢にも大きな変化が生じている。トランプ大統領が就任すると、TPPは「過去形」になった(日本は取り戻そうと躍起になっているが)。日本は当初の予想の全面的な見直しを迫られている。ましてや米国は、一帯一路への興味を示し始めているのだからなおさらだ。日本人もおそらく、実益をもたらすものであれば、トランプ大統領の興味を引くと考えるだろう。

日本人が中日関係の是非に関わる問題でこだわりを捨てられなければ、一部の政治家が中国を口実に国内政治の右傾化を推進し続けようとするならば、日本国内の一部勢力が中日関係の緊張からその小さい集団の利益を手にしようと考え続けるならば、中日関係の長期的な発展はおそらく紆余曲折を経ることだろう。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月17日

 

 

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