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互いに相手を知り合おう

 

笈川幸司
 加藤 相互の理解や互いに信頼関係をどのようにして築くか。現状では、日本人と中国人の大部分は、直接、コミュニケションをとることはできません。その一方で、両国民の大部分が、相手国の影響を受けざるを得ない状況にあります。日中両国民はどう向き合い、どう付き合っていくべきなのでしょうか。

 

駒崎 ネットの普及は注目に値します。ネットは、白熱すれば世論をミスリードすることもありますが、上手く活用すれば相互理解を促進する動機になり得ます。日本で生活する中国の若者が、日本人のライフスタイルなどを動画として作成し、本国に伝える市民サークルもあります。ネットの普及のおかげで、相手国に出向かなくても、理解を促進できるようになってきています。

 

この2年間で、情報を取り巻く環境はすごく変わりました。2年前には、動画コンテンツの共有など考えられなかったのが、現在、多くの中国人がユーチューブを多用しています。アニメ、ドラマなど日本の情報・文化にポジティブに接する若者はたくさんいます。中国の人はとてもオープンに自らをアピールし、日本人とは違います。

 

笈川 私の生徒も、スピーチの内容を実名で、「校内網」というSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)に載せるなど、ものすごいオープンマインドです。とにかく自己表現したがる。こういう中国人の姿をもっと日本に伝えたい。

 

 相互理解の出発点として、お互いに「違う」という認識が大切です。中日間で「常識」は異なりますが、中国の中だけでも「常識」は一つではありません。中国人にもいろいろな人がいることを、日本人にも理解してほしいものです。

 

 中国の若者は米国を強く意識しています。良い面も、悪い面も。日本の若者はどうでしょう。

 

中国と日本が今後付き合っていくうえで、米国をどう認識するかは重要な問題です。と同時に、中日両国は、東アジアという地域的な枠組みの中での自己認識と定義が必要だと思います。

 

 駒崎絵美
 加藤 互いに学ぶという姿勢が大切だと思います。互いに分かり合おうという抽象論のみを提起するよりも、互いの長所・短所をオープンにして、積極的に評価、批判する。その上で切磋琢磨していくのが理想の関係なのではないか、と考えますが……。

 

宮下 友人に、日本で活躍する中国人ラッパーがいます。彼は中国に自分の曲を発信して、恩返しがしたいと言っています。そういう姿勢を持つ人間が増えると良いと思います。

 

  ひとつ疑問があります。それは、複雑で不安定な政治環境の中で、大衆文化がどこまで力を発揮できるのか、ということです。日本の歴史や文化に興味を持っている人でも、ひとたび両国間で難しい事件が起きると、日本に対する感情を悪くしてしまうのです。

 

 人為的要素や人間関係で、物事が変わることはよくあります。ただ、コミュニケーションの際に、言い方、タイミングなどを工夫して克服できる場合も多いと思います。工夫と忍耐が必要だと考えています。

 

加藤 日ごろコミュニケーションをとるうえで、皆さん気をつけていることありますか。

 

笈川 日本人は、褒めると疑いを持ちますが、褒め言葉なら中国人には何を言ってもほとんど大丈夫です。日本の女性に「あなたかわいいですね」と言うと変に思われるが、中国の女性は「わあ、うれしい。ありがとう!」と大喜びする。だから、私の教員生活でも、学生を積極的に褒めるようにしています。

 

駒崎 褒められたいという点では、日本人も同じだと思いますよ。でも、褒め上手になることは大切です。中国人は、会話の相手を自然に持ち上げるのが上手い。

 

3月11日、石川県、滋賀県、愛知県から来た中学・高校生の代表団は、重慶外国語学校を訪問。中日両国の高校生は校庭でダンスを楽しんだ

 距離感かな。日本でも特に関東人は距離を置きたがる。中国人は互いに親しくなろうとする。距離感を間違えると、思いがけない摩擦が生まれる。

 

 日本人はお世辞も言うが、伝えたいことをそのまま表現する。中国人は、相手の面子をつぶさないように、あえて、遠まわしに拒絶したり、意図的にストーリーを交えたりして、衝突を和らげようとする。

 

「後で電話するよ」と社交辞令で言うのは当たり前。実は電話なんてしてこない。日本人なら、電話がこないとあせる。

 

宮下 そうした習慣の違いはすごく感じます。私も苦い経験があります。これはどちらが良い悪いの問題ではなくて、ギャップが存在するということです。そのギャップに寛容にならないといけません。

 

人民中国インターネット版

 

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