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同舟相救い、難局を共に乗り越え、中日の戦略的互恵関係に新たな活力を注ごう

李長春氏、日中友好七団体の歓迎宴における挨拶

ご来賓の皆様

春爛漫、桜満開の季節を迎え、日本国政府のお招きにより、日本訪問の期間中、長期にわたって中日友好に熱心に取り組んでこられた日本各界の友人の皆様と一堂に会する機会を授かり、大変嬉しく思います。中国共産党、中国政府と中国人民を代表して、中日友好の発展のために貴重なご貢献をなされた友人の皆様に対し、崇高なる敬意を表します。また、皆様を通じて中国人民より日本国民の皆様へ心からの挨拶と祝福をお伝えいたします。

中日両国は、一衣帯水の隣国であり、長い友好交流の歴史を有しております。両国国民の友好交流は2000年余りにわたって続いており、世界民族交流史における奇跡とも言えます。1972年の中日国交正常化実現以来、両国関係は各分野において長足の発展を遂げ、両国と両国国民に大きな実益をもたらし、アジアや世界の平和と発展の促進に重要な貢献をしてきました。ここ数年来、双方の共同の努力によって、中日関係はすでに新たな歴史的なスタートラインに立っており、更なる発展に向けた新たなチャンスを迎えております。特に、胡錦濤国家主席は昨年、二度も日本を訪問し、双方は「戦略的互恵関係の包括的推進に関する中日共同声明」に調印し、両国関係の将来の発展を展望し、これにより中日関係は戦略的互恵関係を包括的に構築する新たな段階へと押し上げられました。

中国共産党中央政治局常務委員の李長春氏(左)は3月30日、東京で日本自民党総裁で首相の麻生太郎氏と会見した(新華社)

今日のような良好な中日関係の局面は得がたいものであり、幾世代もの方々の心血が注がれた結果でもあります。日中友好七団体の友人の皆様は、長期にわたり中日友好の信念を堅持し、中日友好事業に身を投じ、弛まぬ努力を払い、重要な貢献をなされました。中国人民はこのことを永遠に銘記することでしょう。とりわけ、われわれを感動させたことは、昨年わが国で四川汶川大地震が発生した後に、七団体の友人の皆様が、被災地に多大な関心を寄せ、惜しみない支援をしていただいたうえに、日本各界の方々に義捐金や援助物資を提供するよう積極的に呼びかけてくださり、わが国の震災救援活動が段階的勝利を勝ち取るために重要な貢献をされました。中国には、「困難な時期こそ、真の友情が見えてくる」という古い諺があります。ここで、中国共産党、中国政府ならびに中国人民を代表して、心より御礼申し上げます。

ご来賓の皆様

現在、われわれは世界中を席巻している国際金融危機に直面しています。この危機によって、中日両国を含む世界各国の経済発展や国民生活は深刻な影響を受けました。こうしたグローバルな挑戦を前にして、一国だけの力ではなかなか対処できず、各国が心をひとつにして協力を強化してはじめて、当面の難局を乗り越えることができるのです。

李長春氏(左)は3月29日、東京に到着し、日本公式友好訪問を開始した。写真は、空港で出迎えた人々と握手を交わす李氏(新華社)

3月31日、李長春氏(後列、左から3人目)は、自民党の細田博之幹事長、公明党の北側一雄幹事長とともに『日中与党間の交流と協力の更なる強化に関する覚書』の調印式に出席した(新華社)

中日両国は、世界第3位、第2位の経済体であり、貿易依存度がいずれも高く、また巨額の外貨準備高を有しております。そのため、両国は手を携えて危機に対処し、自国および世界各国の良好な経済貿易環境作りのために努力していかなければなりません。同時に、中日両国はいずれも実体経済、とりわけ製造業においてしっかりとした基盤を持ち、また比較的穏健な金融システムが構築されております。それは、両国が率先して危機から脱し、世界経済の早期回復をともに促進させていく力を持っていることを物語っています。また、われわれ両国の文化は似通っており、「危機の中に機会がある」という意味を的確に捉えられる仲間であります。双方は、挑戦を機会に変え、危機への共同対処を新たな時代における精神的旗印とし、それをもって、両国国民の相互協力、相互信頼、相互関心の精神を育みます。また、それを双方の経済貿易水準を全面的に向上させ、中日の戦略的互恵協力の中身を充実させる原動力にし、世界経済の早期回復のために積極的な貢献をしていかなければなりません。

半月前に、わが国で第11期全国人民代表大会第2回会議と全国政治協商会議第11期第2回会議が開催されました。この会議において2008年の諸般の活動が振り返って総括され、2009年の主要な任務が検討、確定されました。われわれは、日本を含む国際社会が2009年度の中国経済の動向や中国政府の政策、措置に多大な関心を示して下さっていることに留意し、ここで、次の三点を強調しておきたいと思います。

4月1日、李長春氏(右から2人目)は川崎市を訪問し、環境保護に取り組む中小企業関係者らとの懇談会に出席した(新華社)

第一に、国際金融危機の衝撃を受け、中国政府は積極的かつ責任ある態度を取ったということです。われわれは、更なる内需拡大と経済成長促進のための十項目の措置を策定し、政府投資を大幅に増加し、総額4兆人民元の投資計画を実施しております。また、鉄鋼、自動車、船舶、石油化学、繊維、軽工業など十項目の産業調整振興計画と科学技術サポート計画を相次いで打ち出し、金融緩和政策、経済成長促進のための九項目の措置を打ち出しました。そして、消費拡大のための財政税制政策を実行し、物価の安定化や農民と低所得者層の利益保護の面において財政税制政策の役割が十分に発揮されるように努めています。また、中小企業への支援とりわけ金融や貸付の面での支援を強化し、就業の拡大、技術の革新、製品のグレードアップと国際市場の開拓を促進しています。さらに低所得者層の基本的生活が逐次改善されるよう措置を取っています。当面の状況から見れば、さきほどお話した政策や措置の積極的効果がすでに一部の地域や分野で現れ始めております。たとえば、全般的に見て投資と消費がわりに速い成長を遂げており、一部の伝統的な大口商品の輸出が下落傾向から成長に転化し、一部の大都市と中型都市の分譲住宅の取引量も増えており、一部の重要原材料の価格も安定を取り戻しつつあります。

4月2日、李長春氏は京都を訪れ、嵐山にある周恩来元総理の詩碑を拝し、花束を献じた(新華社)

第二に、中国の経済・社会発展のファンダメンタルズや長期的な上向き傾向に変化はないということです。先進国の経済は全面的に衰退し、新興国と発展途上国の経済成長も著しく鈍化し、世界経済の成長も明らかに減速に向かうなかで、中国経済に下振れの圧力がさらにかかっております。ここ数カ月間の経済運営状況にみられるように、対外貿易の面では輸出入が引き続き減少し、かつてより財政収入が減り、一部の業種の生産能力が過剰で、企業の生産と経営も困難に直面し、都市部における就職難の問題も厳しさを増しております。そういったことから、中国経済が今後、安定的かつ比較的速い発展を続けることができるかどうかという点について懐疑的な見方を持つ人もいるかも知れませんが、それに関して私どもは大いに自信を持っていることをここで明確にお答え申し上げたいと思います。私どもの自信は、主に次のようなところから来ています。一つ目に、私どもは、長期的な視野に立ち、当面の挑戦に対処するための一連の政策や措置を既に策定し、また実施に移しているということです。二つ目に、工業化や都市化の急速な進捗に伴うインフラ整備や、産業構造と消費構造のグレードアップ、環境保護、生態系建設と社会事業の発展、災害復興などにより巨大な需要が創出されるということです。三つ目に、潤沢な資金や豊富な労働力資源など生産要素面の支えがあるということです。四つ目に、穏健な金融システムや柔軟性に富むマクロコントロール政策などプラス要素が働くということです。五つ目に、「改革・開放」30年にわたって築かれた物質面と科学技術面の双方の基盤があるということです。六つ目に、力を集中して大事業に取り組むことができるという政治面や制度面の強みをもっているということです。七つ目に、堅忍不抜、発奮して強きを求める中華民族の強い精神に支えられているということです。

4月3日、李長春氏(右から2人目)は神戸市を訪問し、「人と防災未来センター」を見学した(新華社)

第三に、中国は引き続き金融危機に対処するための国際協力に積極的に参加し、国際金融の安定化の擁護や世界経済発展の促進のために積極的な役割を果たしてまいります。われわれは、日本と手を携えながら国際金融危機に対処することを非常に重要視しており、次のような取り組みが行われることを希望しております。第一に、当面の情勢を把握しながら内需拡大と景気刺激のための様々な政策や措置を策定、実行し、自国経済の安定した比較的速い成長を促進するために全力を挙げることです。第二に、両国の経済貿易協力に現れた困難と問題に焦点を絞り、制度と資金の面で強力な措置を速やかに取り、二国間貿易と投資が少なくとも昨年並みの水準を保てるよう努力することです。第三に、省エネ、環境保護、情報通信、ハイテクなど重点分野における協力を大いに推進し、新しい事業と成長分野を創出し、両国経済貿易協力の量から質へのレベルアップを逐次に実現していきます。第四に、貿易と投資における保護主義的傾向に断固反対し、WTOドーハラウンド交渉を推進して、世界経済の健全かつ安定した発展のための良好な環境を着実に擁護していくことです。第五に、金融分野における二国間や多国間の対話と協調を拡大し、地域の金融協力を積極的に推進していくことです。第六に、国際通貨・金融システムの改革をともに推進し、公平、公正、寛容かつ秩序ある国際金融新秩序を構築していくことです。第七に、気候変動、環境悪化、エネルギーや資源不足、食糧の安全などグローバルな問題による挑戦に共同で対処していくことです。

ご来賓の皆様

一輪の花だけでは春は訪れず、千紫万紅の花が咲き誇ってようやく春の到来が告げられるのです。中日両国が「平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展」を堅持して、中国の状況がよくなれば日本の状況もよくなることでしょう。われわれは、中国の発展が日本および世界各国の危機克服のためにチャンスを提供し、世界経済の早期回復のために積極的に寄与していくことを希望しております。中日双方は、「人心斉(そろ)えば、泰山も動く」という気概で、同舟相救い、ともに手を携え、中日の戦略的互恵関係により多くの活力を注ぎ、世界経済という花園に鮮かな春の花を咲かせましょう。 (人民ネット日本語版より転載)

 

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