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徐福に魅せられて

 

文=徐福友好塾代表 鳥居貞義

徐福について講演する筆者(写真は本人提供)

「徐福伝説」と「七夕伝説」の研究を通じて中国との文化交流に努めている私は、常々、科学的に物証を求め、「伝説から歴史へ」と質を高めることが肝要と考えています。日本では徐福も七夕も「伝説」の範疇ですが、七夕が神話故事として生成の時代背景と伝播を研究対象にしているのに対し、徐福は中国の正史『史記』に記録され、史跡も伝承されているからです。

出発地、到着地で議論

方士徐福の東渡は、『史記』などの記録によると、紀元前219年に秦の始皇帝の命により、五穀を積み、百工(技術者集団)と3千人の童男童女を伴って、不老長寿の仙薬を求めたと記されています。1982年に徐州師範学院教授・羅其湘氏によって生誕地が解明されたことで徐福の実在は確認されましたが、徐福が中国のどこから出発し、日本のどこに着いたかで議論されています。

日本には青森県小泊を北限に、東は八丈島、西は九州など20余カ所に徐福伝説が伝承されていますが、科学的根拠は未だ示されていません。このことが多くの徐福研究者を引き付け、研究仲間は商船大学名誉教授はじめ郷土史家、学芸員、技術者等々多士済々、正に総合科学によって解き明かされようとしています。私が提唱しているテーマは、秦代発行の「半両銭」、徐福が始皇帝に上申した「竹簡」、徐福が持ち込んだ「連弩」などの物証の発見です。

徐福(右端)が始皇帝に奏上している光景を再現した群像(写真・王衆一)

武器や貨幣を持ち込む

『史記』には、徐福が2度目の出発時に海中の怪物(サメ? クジラ?)を避けるために始皇帝に要望して連弩(連発武器)を積み込んだと記されています。「連弩」とはどのようなものだったのでしょうか。始皇帝墓を警護する兵馬俑の中に徐福一行が積み込んだものと同じと類推できる連弩はないのでしょうか?

「海中の怪物と闘う」とは徐福の作り話とも考えられますが、始皇帝自身が沿海で試射した記録もあり、ウェブ検索では「始皇帝陵の兵馬俑坑からは保存状態の良い「弩」がいくつも出土したという記録はあるが」とありましたが、兵馬俑坑資料館で見つけたのは土の中に半ば埋まる「弩」の写真一枚だけでした。

日本では秦代発行の「半両銭」が百余枚発見されていますが、徐福上陸地として徐福墓(伝)と祠がある場所(三重県波田須)での発見は誠に意義深いことです。中国には鋳型を含めて上海博物館に実物が多数展示されています。日中共同研究への着手が強く望まれます。

秦代の記録が竹簡に書かれたように、徐福が始皇帝に奏上した上申書も竹簡に書かれたと考えられています。始皇帝の焚書で多くの記録が焼失しましたが、「徐福一行が焼失前の竹簡を多量に持ち運んだはずで、中国には無い貴重資料が日本にあるはずだ」と発見を期待する人がいます。解決には日中双方で竹簡及び墨の素材を分析し比較研究する必要があります。これも国際協力が欠かせません。

ネットワークで共同研究

逵志保博士(愛知県立大学)の尽力でウェブ上に「徐福伝説BBS=掲示板」が日中韓3カ国語で掲示されています。利用者は未だ特定の人に限られているようですが、より広く活用されれば徐福研究は一段と前進するものと期待しています。

私は2005年に多くの徐福研究者の協力を得て、日本・中国・韓国に現存する徐福伝承地の記録及び徐福研究家の特別寄稿を収録し、『徐福さん』という本を編集発行しました(HYPERLINK http://www1.ocn.ne.jp/~nestbook/参照)。

多くの謎からテーマを選び謎解きに挑戦しましょう。最後に強調したいことは、これらの課題解決には中国・日本・韓国の更なる国際協力が必要だということです。日中韓の民間人による徐福研究フォーラムは既に定着しています。「国際会議から共同研究へ」、それが次なるテーマになることを期待しています。

徐福が最後の航海で日本に渡ったとされる浙江省寧波市慈溪の達蓬山。

羽田孜元首相が揮毫した「秦渡庵」の記念碑と筆者(写真は本人提供)

次世代に引き継ぎたい

2010年に開催された「第八回徐福文化国際検討会」(中国江蘇省連雲港市贛楡県)に出席したのが縁で寄稿する機会を得たことは私にとって大変名誉なことです。この記事により学者諸兄はもちろん、総合科学の対象に相応しいより多くの老若男女、特に徐福と同行した童男童女と同年代の人たちが徐福研究にそして国際会議に参加し、世代を超えて徐福研究が引き継がれることを切念しています。この記事を日本の徐福研究先駆者であり、徐福研究普及に生涯尽力され、われわれを導き続け、2011年5月12日百歳で天寿を全うされた奥野利雄先生に捧げます。

 

人民中国インターネット版 2月3日

 

 

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