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文=張雪 写真=馮進

2012年までに、中国在住の日本人留学生数は16000人になり、外国人留学生の中では2番目に多い。毎日、各大学の校内で彼らの姿を見かける。彼らは中国料理が好きで、お気に入りのビールは「燕京」「青島」などの銘柄であり、衣食住と移動手段はすべて「メイド・イン・チャイナ」だ。彼らの中国に対する理解は、見聞きした事柄だけにとどまらず、中国の日常を肌で感じ、自らの経験を通じて中国生活の苦楽を味わってきた。

中国を紹介するボランティア活動

「キャンパスシンガートップ10」コンクールに向けて、クラスメートと一緒にパフォーマンスを練習している重慶大学新聞学科の学部生の青山大樹さん(右)。青山さんは今回の決勝戦に進んだ唯一の外国人留学生だ
中国に留学する前、河野仁(31)さんは東京のある有名な国際投資銀行に勤務するエリートとして、すでに高収入と誰もがうらやむような将来を手にしていた。しかし、彼は職務を遂行していく中で、自社と中国との業務がますます増えていることに気づいたが、中国の経済や文化がよく分からなかったため、中国に関係した業務への応対が総じて「受け身」になっていた。その時、彼は中国にチャンスが満ち溢れ、中国関係の業務は今後、企業の発展において重要なポイントとなり、より中国に通じている者が、将来のビジネスにおいてより優位に立てることに気づいた。2011年、彼は迷うことなく退職して北京に移転し、中国の名門校である清華大学の国際経営管理学修士(IMBA)クラスの留学生になった。入学当時、彼は中国語をほとんど話せなかった。

清華大学のIMBAでは、国際的な基準に従って、授業はすべて英語で行われる。英語が堪能な河野さんは、ここで留学生活をはじめ、16000人の日本人留学生の一人となった。彼のような日本人留学生の傾向として、まずは日本で中国語学習を開始するか、あるいは中国に来て、最初の一年間は語学学校で中国語を学ぶのが一般的だ。しかし、河野さんが進んだ道は、他の留学生たちと違った。「私が中国に来たのは、中国の文化や中国人の考えをより深く理解し、中国人とより良いコミュニケーションを取ることができるようになるためです。語学学校ではクラスメートがみな外国人です。中国人と交流する機会をより多く持ちたいと願っていました」。そこで、河野さんは毎日中国人のクラスメートと一緒に授業を受け、勉強の合間に中国人の先生から中国語を習っている。3カ月もたたないうちに、彼は簡単な中国語で会話できるようになった。

中国に来て、河野さんはより多くのビジネスチャンスを見いだし、さらにビジネスパートナーともめぐり合えた。彼はクラスメートや教師と共に会社の設立を企画し、将来に中国でキャリアアップするための道筋を見定めている。同時に彼は、中日両国間の相互理解が不十分で、どちらの国でもメディアと政府を通して得られる情報が大部分を占めているため、互いに偏った見方を持ってしまうのは免れないと痛感した。彼は「一人ひとりの中国人をもっと理解するべきです。彼らこそ真の中国を代表しています」と語った。中国での経験や中国人に対する理解をより多くの人々と共有するために、彼は、日本人の友人が開設している中国人を紹介するウェブサイトのメンテナンスを手伝い始めた。彼は勉強の合間に周りの中国人を取材し、彼らから聞いた話をベースにして、日本人向けに中国人の実際の生活を紹介している。

1年間で、数十人いるクラスメートのほとんどが河野さんから取材を受けた。この親しみやすくて勤勉な日本人留学生はクラスメートのみんなから親しまれている。董麗さんは河野さんと同じクラスで学んでいるクラスメートで、河野さんに自分の生活について快く語った。「彼の取材を受けることができてうれしく思っています。河野さんはとても勤勉な人です。私は毎日の授業についていくだけで精一杯でしたが、彼が勉強の合間にこんなにたくさんのことを行っていたとは思いもよらなかったですね」

 

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