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相互に学ぶ必要性を確認中国地方政府対外報道部門の幹部が訪日

于文=文 孫立成=写真

中国外文出版発行事業局(中国外文局)が主催し、人民中国雑誌社が実施する第2回中国地方政府対外報道部門幹部訪日団が3月13日から20日の日程で、交流・視察活動を行った。

福田康夫元首相と言葉を交わす徐耀庭団長

訪日団は、人民中国雑誌社の前社長・徐耀庭氏を団長とし、湖北省、河南省、海南省、新疆ウイグル自治区など12の省・自治区・直轄市の対外報道部門の幹部らで構成された。一行は北海道、東京、神奈川などを回り、福田康夫元首相、日本財団会長・報道川日中友好基金運営委員会の笹川陽平氏をはじめとする日本政界の要人、各界の有識者を訪問した。また、共同通信社、北海道新聞社、神奈川新聞社、テレビ神奈川、SBIサーチナなど日本のメディアを訪問し意見交換を行った。

このプロジェクトは日本の笹川平和財団・笹川日中友好基金の助成を受けて実施しているもので、2011年7月に次いで2度目の開催。

熱い歓迎受け 不安消える

2012年9月、日本が違法な釣魚島「購入」を行い、中日関係を冷え込ませた。両国で数多く予定されていた国交正常化40周年を祝う行事などもこの影響で延期・中止され、中国観光客の日本旅行熱もすっかり下火になった。地方対外報道部門の幹部訪日団出発直前の3月10日から、87人から成る中国青年メディア従事者代表団が一週間の日本友好訪問を行い、釣魚島「購入」騒動以来初の招待に応じた中国公式代表団となった。これに続いたのが、地方対外報道部門の幹部訪日団だった。主催者である中国外文局の周明偉局長は出発式の席上、これは重要な時期に送り出す重要な訪日団であり、中日関係の積極的交流に貢献してほしいと述べた。

北海道新聞社で実際の業務について意見を交わす

出発前、訪日団のメンバーは、日本メディアの報道などから、日本で中国嫌いの感情が高まっていると感じており、日本訪問に不安をおぼえていた。しかし、訪日団は北海道に到着するなり、北海道庁の高田久知事室長から心のこもった応対を受け、寒さの中に熱い気持ちを感じた。会談の中で高田室長は、中国と北海道の長い交流の歴史を回顧し、北海道と黒龍江省は1986年に友好提携を締結して以来、農林水産業をはじめとする幅広い分野で交流と協力を行ってきたことを紹介した。徐団長は「今回の訪問では、北海道の皆さんが誠実で心のこもったもてなしをしてくださいました。団員は日本に中国の魅力を紹介すると同時に、日本で見聞きし感じたものを中国に持ち帰るでしょう」と述べた。

同席した許金平駐札幌総領事は、訪日団が最初の訪問地に北海道を選んだことは、北海道を重視していることの表れで、情報を相互に伝えることは中日協力の懸け橋と基礎であり、今回の訪問を通じて双方がお互いの「美しさ」を感じることを希望すると述べた。

北海道庁を訪問し、高田久知事室長(右から2人目)から歓迎を受けた

続いて、訪日団は上海環球金融センタービルの建設で中国でもよく知られる東京の森ビルを訪問、スタッフの温かい案内で六本木ヒルズを見学した。森ビルと、この数年日本で行われている都市再開発の経験や理念について、森ビルが中国で展開している業務について深く懇談した。

また、新宿ショッピング街の取材では、一行は多くの店で中国の銀聯カードが使え、いたる所に中国語の表示があり、中国人観光客が海外で買い物する場合にありがちな障害が取り除かれていることを確認した。一行が最も感心したのは、これらの店には中国語が話せるサポート・スタッフがいることだった。彼らの中には中国人留学生もいれば、中国語に堪能な日本人スタッフもいた。店側は、現在は中国人観光客は前年よりかなり減少しているが、それでも中国人客にサービスを提供し続けており、中国人観光客の来店を期待していると話していた。

両国関係を改善するプラス・エネルギー

3月19日、訪日団は衆議院第一議員会館で福田康夫元首相と懇談した。

徐耀庭団長は福田元首相に訪日団のスケジュールを紹介し、2011年に最初の訪日団が福田元首相を訪ねた時のことを振り返った。

北海道新聞社を訪問。村田正敏社長(右端)とマルチメディア発展戦略について懇談

福田元首相は、訪日団の訪問を歓迎し、「先ごろ北京を訪問した際に正能量(プラス・エネルギー)という流行語を知りました。これは人々のエネルギーを正しい方向に用いさせることだと理解しています」と紹介した。現在の両国関係は困難に直面しており、双方はより多く相手の立場に立って問題を考える必要があり、間違ったことは反省し、より多くの「正能量」の役割を果たすべきだと考えていると述べた。

東京で日本財団の笹川陽平会長(左)を訪問した徐耀庭団長(中央)と王中橋副団長(右)

徐団長はこれに賛意を表し、「中日両国は近隣であり、はるかに長い友好的交流の歴史を持ちます。過去には両国のリーダーが中日関係の友好的発展の基礎を築きました。中国には“合すればともに利あり、闘えばともに傷つく”という言葉があります。中日両国の友好関係は両国の国益にかなうもので、アジア、ひいては世界の平和と発展に資するものです。中国と日本はともに歩み、歴史を鑑に、未来に向かうべきです。双方の努力によって、両国関係を一日も早く正常な発展の軌道に戻し、プラスの方向に絶えず発展していくべきです」と述べた。

福田元首相は、訪日団に日本の印象をたずねた。これに対し、湖北省から参加した王中橋副団長と河南省から参加した何彧氏はともに、今回の訪問では、日本の先進ぶりを身をもって体験し、中国は日本から学び手本とすべきところが数多くあることを感じたと述べた。福田元首相は、「学ぶのはお互いさまです。日本は古くから中国にたくさんのことを学んできました」と述べた。

SBIサーチナを訪問。北尾吉孝SBIホールディングス社長(右端)と意見交換

最後に福田元首相は、中国各地から訪れた訪問団のメンバーに対して、両国間に積極的に友好的な声を伝え、両国間で「正能量」の役割を果たしてほしいと希望を伝えた。

「健全な関係を取り戻すべき」を共同認識に

訪日団が日本財団、SBIサーチナ、北海道新聞社、神奈川新聞社を訪問した際に、ホスト側も訪問団もともに期せずして中日関係の重要性、両国関係を正常化の軌道に乗せるべきという点に話が及んだ。

日本財団の笹川陽平氏は、「世界でも日本と中国のように2000年以上も友好関係を築いてきた歴史を持つ国家はありません。いわゆる『歴史を鑑に』の歴史について、日本の一部の人はあの不幸な『歴史』の時期のことを指して使いますが、これは誤った考えです。私たちは2000年以上の歴史の方を鑑にすべきです」と述べた。

六本木ヒルズを見学し、森ビルと中国で展開している業務について懇談

SBIホールディングスの北尾社長は日中関係について、「微妙な時期にある」との考えを示し、原因は「野田前政権に非がある」と指摘。国交正常化後の早い時期に、中国の指導者だった鄧小平氏が領土問題について「自分たちの世代では解決できないから先送りにしよう」と述べたことに触れ、「その状態を続けるべきだった」と主張した。

北尾社長は「21世紀はアジアの時代」「日中両国がアジアの中心となりアジアの経済成長をもたらすことが大切」「両国関係がつまずくことは残念。アジアの今後の発展に影響する」と、日中は健全な関係を取り戻すべきと主張。「皆さんが来たから言っているわけではなく、日本でも日ごろから言っていることです」との発言は、訪問団一行から高く評価された。

共同通信社本社を見学し、国際局と懇談

北海道新聞社を訪問した際には、同社のビデオ編集制作やデジタル・データベース構築など、マルチメディア発展戦略と実際の取り組みを見学し、双方は紙媒体とニューメディア発展にまつわる問題について意見を交わした。北海道新聞社の村田正敏社長は、ニューメディアの発展は情報伝達により有利な条件を提供し、両国間の交流促進と理解を深めるためにさらに多くの道筋を提供したと述べた。このほか、今回の訪問が3月11日の東日本大震災から2年という時期にあたっていることに触れ、2年前に中国各地から大きな援助があったことに対して、この場を借りて各地対外報道部門の幹部たちに謝意を表したいと述べた。

神奈川県日中友好協会の牧内良平会長は、訪日団を歓迎し、「中国の新しい指導グループの誕生をお祝いいたします。神奈川県は中国と非常に多くの友好交流、協力を行ってきました。新しい指導者が私たちとともに困難な局面を突破し、日中関係の新局面を切り開くことを期待します」と述べた。

神奈川新聞社との懇談会。神奈川県日中友好協会の牧内良平会長(中央)が出席

今年東京の桜は例年より開花が早く、まるで訪問団を歓迎するようだった。両国の友好関係が桜と同じように花開くことが期待される。

 

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