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今だから伝えたい真実
東京で中国残留日本人孤児写真展

陳蘊青=文

 

7月3日、NPO法人中国帰国者・日中友好の会が主催し、中国の五洲伝播出版社と日本の株式会社アジア太平洋観光社が共催する「国境を越えた人間愛――中国残留日本人孤児の物語」写真展が東京の朝日ギャラリーで開催される。

展示写真は五洲伝播出版社が今年6月に重版した中日英3カ国語版の写真集『深遠なる愛 中国残留日本人孤児の物語』から選ばれた作品。同写真集は大量の写真資料を収録し、第2次世界大戦で孤児となった日本人の数寄な運命を手がかりに、残留孤児問題の経緯を詳しく紹介している。当時、中国の庶民は両国間に横たわる恨みや憎しみをどのように克服したのだろうか。また、いかに寛大な心で数千もの日本人残留孤児を受け入れ、そして、育てたのかという感動的な内容も記されている。

 

同じ戦争被害者として

 

中国残留日本人孤児とは第2次世界大戦終結時に中国で遺棄され、その後、中国人の手で育てられた日本人の子どもを指す。

1905年、日露戦争終結後、日本は中国の東北地方に大量の移民を送り込んだ。40年後の45年、その数は166万人余りに達していた。同年8月9日、ソビエト赤軍の東北出兵により、多くの日本人移民が緊急避難を迫られた。この避難の途中で、両親が死亡したため路頭に迷った子どもや病気や幼すぎるという理由で中国人に引き取られた子ども、あるいは親から見捨てられたり、反対に家族を見失ってしまった子ども、一部には大人は集団自殺したが生き残った子どももいる。

中国に残された日本人の子どもは約4000人以上いた。大部分は日本の開拓移民の子どもで、90%以上が遼寧・吉林・黒龍江といった東北三省と内蒙古自治区に集中している。子どもたちが逃亡中に受けた心と体の傷は想像を絶する。引き取られるまでに死のふちをさまよった多くの子どもたちこそあの戦争の直接的な被害者だといえる。

当時、中日間の戦争はまだ終結には至っていなかった。中国人は旧日本軍の長期的な迫害に苦しみ、生活は非常に貧窮していた。しかし、中国人はこの「敵」の子どもに対し「暴を以て暴に易う」ようなことはせず、人として最も基本的な同情、そして幼い命を大切にするという気持ちに従い、子どもたちを引き取り育てた。

これら孤児は引き取られる前にほとんど病気を患っており、非常に衰弱していた。中国の養父母は彼らを自分の子として、家計を切り詰め、苦労を堪え忍んで育てた。学費を捻出し、自らの家庭を築くまで育て上げた。中日国交正常化以降、養父母は子どもへの想いを抑えて帰国させ、肉親と再会させた。現在では、ごく一部の残留孤児が中国で生活しているが、大部分は日本に帰り、すでに定住している。

 

 

養父母と孤児の純粋な愛

 

本書著者の一人、遼寧社会科学院研究員の張志坤さんは「実際の調査で心から感動させられたのは養父母たちの善良で寛大な心、そして養父母と残留孤児との間に築かれた純粋な親子愛でした」と話す。「中国の養父母が残留孤児を引き取って育てるということは一般的な養子縁組と大きく異なります。養父母たちはみな旧日本軍から迫害を受けた経験があります。中には一家離散し、肉親を失った人もいます。しかし、中国人は侵略者への恨みをその子どもたちに押し付けるようなことはしませんでした。『罪を犯したのは侵略者、子どもたちに罪はない』という非常に素朴な信念を持ち、『敵』の子どもを育てたのです」と張さんは強調した。

 

2005年、吉林省蛟河市に赴き残留孤児の調査を開始した当時の張志坤さん

(写真提供・本人)

 

また、「残留孤児と養父母との間で築かれた親子愛にも非常に感動させられました。ある養父母は残留孤児を育てるために故郷から離れることを余儀なくされたことで苦労が重なり、病気になってしまいました。一方、孤児たちも帰国後、ごくわずかな収入しかないにもかかわらず頻ぱんに養父母に会いに行っています。中には中国で養父母の世話をし、最期をみとってから日本に戻っていきました人もいます」と語った。

中国残留日本人孤児1000人以上の寄付によって建てられた中国養父母に感謝の意を表す記念碑

 

早急な実地調査が不可欠

  

『深遠なる愛 中国残留日本人孤児の物語』の制作理由に及ぶと、張さんは次ように話した。「敵の子どもを育てるということ、しかも4、5000人に達する多人数を受け入れるということは世界の歴史においても非常に珍しいことです。これは中国の庶民たちの個人的な行動でしたが、民族や国家、文化の相違を超えた人間の深い愛を見ることができます。これは永遠に記念されるべき事実です」

「時間の流れとともに、ほとんどの養父母がこの世を去りました。当時の残留孤児たちもすでに高齢者となっています。そのため、中国の養父母と残留孤児に対する早急な実地調査を行うことは不可欠であるとともに重要な意義を持っています」

「2000年に私たちは中国社会科学院中日歴史研究センターにこの研究テーマを提出し、01年から3年を費やし、各地での実地調査を行いました。しかし、当時、生存する養父母は100人もいませんでした」と、張さんはため息をつき、続けて「もしあと10年早く調査を開始していれば、半分近くの養父母に取材することができたのですが」と語った。

写真展を主催した五洲伝播出版社は次のように話す。「今年は第2次世界大戦終結70周年となり、当時の日本人残留孤児の中で最も若い方でも古希を迎えます。70年前の戦争は両国の人々に大きな災難をもたらしました。今回の写真展を通じて、この歴史を振り返り、戦争がもたらした苦難を心に刻み、無私の精神、恨みや国家を超えた愛を記念したいと思います。中日両国の子々孫々にわたる友好を実現させ、この世界に再び戦争が起こらないように願っています」

 

 

 

 

人民中国インターネット版  2015年7月

 

 

 

 

 

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