現在位置: 中日交流
歴史から学び、未来を考える

——日本「五星奨」遊学団訪中記 

 

編集:続昕宇  写真提供:「五星奨」遊学団

 

 

日本「五星奨」遊学団は北京遊学後に中国の地方都市を訪問した。南京では、全員一致で侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館に見学へ行くことを決めた。

団員たちにとって、紀念館は神秘的な未知の場所と言える。ここでの見学は団員一人一人の心を大きく揺り動かした。見学終了後に14人の団員がうそ偽りのない本心の思いを感想として語ってくれた。彼らの同意を得て、それをここに紹介する。

 

紀念館新館の外にある象徴的な彫刻『家破人亡』の前で

 

 

増田麗菜

今回ツアー以前に、この南京大虐殺記念館を訪問するかどうか私達は先生から聞かれました。きっとそこには自分たちが知り得なかった事実が広がっていることに緊張が走りましたが、日本人として真実を目にするべきだと感じ、全員一致でこの記念館を訪れました。訪問してまず感じたことは、私たちが今まで学校で学習したことは本当に僅かで浅く、日本人として知るべき事は何も学んでいなかったということです。

南京で日本兵がこんなにも残虐なことを行なっていたということを今まで知らずに過ごしていた自分は日本人として恥ずかしいとも感じました。しかし、中国に来て、博物館を見学することによって日本では知ることができない情報をたくさん知りとても勉強になりました。多くの展示品の説明欄には日本語が記されていました。これは日本人に見てもらいたい、もっと知ってほしいというメッセージが込められているのではないかと思います。

また、債務を日本国民に償わせるつもりはない。資料の他にも過去の苦難を忘れたら未来に災禍を招くかもしれないと信じている。という言葉や、歴史をしっかり覚えよう、しかし恨みを覚えてはならない。という言葉が強く心に残り、目にした時、見学前に人民中国さんが南京大虐殺記念館の結びには平和を謳う言葉が綴られていると仰られていたことを思い出しました。

私の気のせいかもしれませんが、見学中に中国の方の視線をたくさん感じました。私たちがここに来たことを彼らがどのように思ったのかは私には分かりませんが、少なくともここに来れたことは私の人生に大きく影響を与えたと思います。結びにある、戦争を遠ざけ、平和を愛し調和のある世界のために奮闘するために私たちがこのことを日本の若者に伝え、後世にも伝えなければならないと感じました。

 

 

石田和典 

全ての案内に日本語表記があることが印象的であり、日本人に見てもらいたいという思いで表示しているのか、日本人が多く訪れるからかは分かりませんが、確かに日本人が訪れるべき場所であると思います。

日本の行った残虐な行為の数々を目の当たりにして、私達日本人も強く責任を感じました。

日本は南京大虐殺に対して様々な意見があり、先日にもアパホテル社長の執筆した本が話題になりました。このようなことから、日本には南京大虐殺に関しての施設がありませんが、個人的には日本にも設置して、多くの日本人が歴史を再認識する必要があると思います。

この展示、博物館が抗日感情を増幅させるものなのか、歴史を再認識するものなのか、1人1人がこの意味を考えることが大切であり、日本と中国は両方ともが戦争の被害者であるということを意識しなくてはなりません。

「歴史をしっかり覚えよう、しかし恨みは覚えてはならない」展示の結びのこの言葉を胸に、私達はこの歴史を再認識し後世に伝えていこうと思います。

 

 

 大美奈穂

 行く前まで、南京大虐殺事件という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんなことが行われたのか、どういう経緯でこのような事件が起きてしまったのか全く知りませんでした。たくさんの資料や写真を見て、体が一気に冷えていくような感覚がしました。日本人がこのような非道徳的なことを行ったということと、その事実を私たち日本人が知らないということに衝撃を受けました。歴史を忘れてはならないが、恨みを残してはいけないという言葉が強く心に残りました。このような過去を繰り返さないためにも、より多くの人がこの事実を知る必要があると思います。特に私たち日本人が知らなくてはならない歴史だと思います。

 

 

 

 

 

池田彩 

 今日、南京大虐殺の記念館を訪れました。中に入ってみると、当時の日本軍の戦争行為は残虐なものだなと思いました。老若男女問わず人を傷つける行為は本当にひどいなと思いました。最初私は、ここに来ることにとても緊張していました。なぜなら、日本人という理由で嫌な顔をされるんじゃないかと思ったからです。しかし考えてみると、わたしたちが訪れて、知ることで平和への1歩なんじゃないかなと思いました。なぜなら、私は広島市出身で被爆三世ですが、平和公園に原子爆弾を落としたアメリカの若者が訪れることには、とても嬉しく思います。知ろうとしてくれていることが嬉しいからです。なので、今回訪れる機会をもらったのだから、これからの私たちの役目は今回の経験を日本で伝えることだと思いました。

 

 

 

 

 石川葵

 私は今まで南京大虐殺事件について、授業で少し学習したことはあるものの、簡易で表面的な知識しかありませんでした。今回初めて資料館を訪問して、この事件やそれに至る経緯、そしてその後の経過を膨大な資料を通して勉強することができ本当にためになったと感じました。日本軍の残虐な行動を写した写真や資料、そして当時の遺品は見るに耐えないものが多く、本当に息がつまる思いでした。そして、日本でこの事件の犠牲者の数について否定する意見もありますが、大事なのはそこではなくこういった事実が過去にあったこと、そしてそれを認めることだと葉先生の話を聞いて強く思いました。私は中国語を専攻し、中国の文化や歴史を学ぶ者として、日中の友好的な関係を強く望みます。この資料館の結びにあったように、歴史は忘れず平和を愛せる心を両国が持つことができるといいなと感じます。

 

 

 

 

後藤春海

 今回南京大虐殺記念館を訪問させていただいて、中を見て行ってよかったなと思えるいい経験になったと思いました。日本軍がどれほどの酷いことをしたか思い知らされました。30万人の尊い命が日本軍の思うままに奪われたのです。特に写真など、100人斬りの競争などしていると聞いて、怒りと唖然の気持ちでいっぱいでした。さらに、被害者、加害者のコメントもとても貴重な体験になりました。印象に残った言葉は、「歴史をしっかりと覚えよう。しかし恨みを覚えてはいけない」「許すことはできても忘れることはできない」でした。こんな残虐な行為だからこそ、忘れずに、後世に語り継がれなれけばならないと思いました。日本に帰って、大学で深くこの事件の知識を覚えて、活かせるようにしていきたいと思いました。

 

 

 

 

 赤宗青

 今日行った南京大虐殺記念館では、今までは授業などでしか聞いていなかったこととは違うことも学ぶことができました。百聞は一見にしかずの言葉の通り、実際に見たのとでは全然感じるものが違い、本当にひどいことが日本人の手によって行われていたということを目の当たりにしました。女性の人や、子ども、武器を持っていない軍人までも殺め、訳30万人もの人を虐殺し、女性を強姦したりと本当にひどいことが過去に日本人がしていたということを知り、本当に恥ずかしくなりました。この南京大虐殺は実際にあったこととして世界で認められているのに、まだこのことを認めていないという日本人もいることを知り、早くその考えを変えるべきだと思いました。今回の経験を生かして、まだこの事実についてあまり知らない人たちにも今日の経験を伝え、まだ誤った考えを持っている人たちを変えていかないといけないなと思いました。日本に帰ったらこの経験を生かして、行動していきたいと思います。

 

 

 

 

 

山根彩夏

 日本では絶対に見ることができない資料をたくさん見ることができました。インターネットで南京大虐殺についての記事を読んだ時、日本軍の非についてはあまり触れられていなかったので、資料館には初めて見る資料や文章がたくさんでした。日本の右翼派によって南京大虐殺の真実が否定されていると書いてあったのが印象に残っています。日本の教科書にはあまり書かれていないので、真実を知らない日本人が多いと思います。また許すことはできるが忘れてはならないという言葉と最後には平和が掲げられているのも印象的で、南京大虐殺を含めいろいろな事件の歴史をもっと詳しく知りたいと思います。

 

 

 

 

 

山崎さくら 

衝撃を受けました。私が特に印象に残った展示物は終わりの方に飾られていた大きな絵画です。あれだけでは南京大虐殺は語りきれないでしょうが、死体の山、泣き叫ぶ子供、切られた首や手、それを見ている日本人。昔の日本人はこんなにも罪のない中国人達を殺していたのかと衝撃を受けました。今日のあの時間だけで、とても悲惨で残酷な事実を知りました。中には途中で葉先生が仰っていたように、本当のことを隠したり、話を盛ったりして展示しているものもあったのでしょうが、残された写真達は事実のみを語っていました。

また記念館の展示物にはほとんど日本語が添えられていました。ここを訪れた日本人はどれくらいいるのだろうと思いました。日本人にここに来て南京大虐殺を知って欲しいと中国の方々は思っているでしょう。全員ではなくていいから、これからを担う世代の日本人は1回はここに訪れるべきではないかと思いました。

広島の原爆ドームや沖縄のひめゆりの塔等、日本が被害を受けたものを見るだけでなく、被害を与えたことを知るのも大切だと思います。

今日は時間が少なくて飛ばし飛ばしの観覧になりましたが、日本人としてここに来られて良かったと思っています。また機会があればゆっくり見に来たいです。今日はここに連れて来てくださり本当にありがとうございました。

 

 

 島野美月

 私は長崎出身で、何回も原爆資料館に行って被害者側としての日本のことしか知らなかったので、今回南京大虐殺事件記念館に行ってとても衝撃的でした。日本史をとっていたのに南京大虐殺のことをあまり知らず自分達が被害を受けたことばかり勉強して日本のこと知ったつもりになっていた自分が恥ずかしいなと思いました。でも、私だけじゃなく日本全体が南京大虐殺のことをあまり知らないと思うから、みんなあの資料館に一旦行ってみるべきだと思います。また、私は行く前はこの記念館は中国の愛国心を高めるためだけのものと聞いていたけど、行ってみると人民中国の方が言っていたように、この経験を次世代にどう伝えていき、平和な世界をつくるのか考えさせられるものだったなと思いました。「要记住历史、不要记住仇恨」まさにこの言葉通りだなと思いました。今回、目で直接見たこの事実をしっかり胸に刻んで日本に帰りたいと思います。そして村上春樹さんの騎士団長殺しを読んでみたいと思います。

 

 

 

 

松本都由季 

 南京大虐殺とはいつどんな手段で行われ、対象は誰だったのか、どのくらい殺されたのか、またそれが行われた政治的背景等を調べて行きました。そして南京大虐殺は本当はなかったんだと言っている日本人の見解がどのようなものであるのか調べていたので、その意見を見ていた時は、まあそんな考え方もあるのかなあ、どっちが本当なのかわからないしどっちも互いの利益を言い合っていてこのままでは拉致があかなくてよくわからないと思っていました。しかし実際に資料館に行ってみて被害者達の証言や写真が多くあるだけでなく、加害者側の人間の証言も多くあって、南京大虐殺は本当にあった酷い事実なんだと実感しました。歴史は振り返ることはできないしそろそろ経験した人たちも死んでしまう。そんな中で未経験の私たちがいつまでも本当にあったかどうか検証して判断を下すことはするべきではないと思います。それらの戦いで多くの人々が酷い形で殺されて行ったことは事実なのだから歴史を認め、同じ歴史を2度と繰り返さないように一人一人が平和に向かって努力して行くことが求められていると思います。

 

 

 

 

山本麻瑶 

 私は、南京大虐殺についてこれまで深く学んだことがなく、今回初めて詳しく知ることができました。今日感じた感情をうまく表せないのですが、とにかく悲惨で言葉を失う写真や映像が多くありました。恨むのではなく、忘れずに今後に生かそうというメッセージは心に刺さりました。それは次世代を担う私たちの使命だと思います。この歴史を忘れることなく、平和な世界になればいいなと感じます!

 

 

 

 

 

 

 
 三原千佳

 今日は南京大虐殺の記念館へ行きました。南京大虐殺についての事象は知っていたけど、詳しい中身はあまり知りませんでした。日本と中国両国にとってとても大きな事件で、今もなお、心にわだかまりがある人もいると思います。だからこそ今回深く知れて良かったと思いました。資料は中国側の一方的なものではなく、日本の元兵士の話や当時南京にいた外国人からの話もあり、中立性の高いものだと感じました。記念館では日本人の残虐な行為がクローズされる反面、外国人や有志によって日本人の手から守ったり、遺体を埋葬したりしたことも紹介していました。いつの時代も非道な事件が多くあるけど、それと同時に道徳心をもって人を助ける行動に移せた人達がたくさんいました。そのことをとても誇りに思います。そして私たちは今後、南京大虐殺の真実を伝えることだけでなく、国の命令であっても自分の行いが人道的か判断し、人のためになる行為に移せる人間を育てることだと思いました。

 

 

 

藤井綾香 

 南京虐殺資料館を訪問して、驚いたことは予想以上の資料と証言が残っていたことです。南京虐殺資料館を訪問する前に南京大虐殺について調べた時は、日本と中国の二方面からの見解がほとんどでした。しかし訪れてみると、当時の日本兵が残した日記や両国の新聞記事以外に、ドイツ人作家の援助など日中以外との関わりについても知ることが出来て、多方面からの考えを持つことが出来ました。人民中国の方の話で、南京虐殺資料館は復讐のためではなく、平和のために建てられているとお聞きしていました。実際、「歴史はしっかり覚えよう、しかし恨みを覚えてはならない」という言葉が資料館に残されており、このような歴史を知った上で、今後私達が何をしなければならないのか改めて考え直しました。

 

 

 

 安倍首相は戦後70年談話の中で、日本の後代に歴史の重荷を背負わせてはならないと述べた。団員たちの感想はまさにそれに対する最良の答えだった。個々の感想から、彼らが歴史を学び、未来を考え、中国を知り、平和を愛するという強い思いがあることを見て取れる一方、歴史教育が中日両国にとって非常に大切であることもうかがえる。

「歴史を忘れない。しかし恨みを覚えてはならない」と紀念館に書かれているように、学生たちには南京大屠殺遇難同胞紀念館で感じた思いを胸に刻み、それをより多くの人に伝え、歴史を学び、独立した思考を持ち、平和を愛し、ともに未来を切り開くことを強く望む。

 

 

 

人民中国インターネット版  2017年3月29日

 

 

 

 

 

 

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。 京ICP備14043293号
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010)6831-3990  FAX: (010)6831-3850