什刹海体育運動学校 世界チャンピオンの揺りかご

什刹海体校で成長する子供たち

私の未来、私の夢

甄九祥コーチは什刹海体校で、たくさんの卓球の世界チャンピオンを育てた


 この学校の卓球館で、チームメイトと試合中の11歳の尹沢華。左利きのシェークハンド・グリップ、敏捷なフットワークで、狙いすまして打ったボールのコースや、スピードの速さを見ていると、かつての世界チャンピオン王涛を思わせる。先ごろ行われた全国体育学校卓球大会において、尹は男子シングルスで優勝。今ではこんなに強い尹であるが、3年前内蒙古自治区の通遼市から両親にこの学校に送りこまれたころは、ホームシックでひそかに涙を流していたという。今ではすっかり学校生活が好きになり、「同級生たちと一緒に勉強し、トレーニングし、食事し、寝るのは、家にいるよりずっとおもしろい。コーチもとてもよくしてくれます。ちょっと厳しいけれど」と語る。

 すでにチームの主力選手となった尹には、2つの願望がある。一つはオリンピックに参加して金メダルを獲得すること、もう一つは大先輩の王涛さんと試合をすることである。「今はダメです。まだ彼には勝てません」とあどけなさの残る彼は、ラケットを弄びながら、そう言ってニコニコと笑った。

 身長194センチ、美しい顔立ちの韓嘯は今年17歳、この学校でバレーボールのトレーニングを始めてから、もはや5年になる。もうすぐ北京市のバレーボールチームに入ることになっているが、常に生活を共にしてきたコーチや同級生と別れるのがつらいという。

バレーボールのコーチが新入生を指導


 2005年、雲南で集中合宿のトレーニングに参加した韓は、海抜の高い環境に馴染めなかったためか、心臓の調子が良くなかった。悪くすると、今後のスポーツ選手としての前途にも影響するのではないかと心配した韓は、トレーニング中あまり思い切ったことができなかった。コーチは彼の懸念を見抜き、運動量を調整し体の負担を軽減しつつアドバイスを与えることで、彼の精神的なプレッシャーを取り除いた。生活面ではチームメイトたちの配慮のおかげで、彼はより多くの休憩時間を確保することができた。「僕たちのチームは、誰が困難にぶつかろうと、みんなで進んで助けあうんだ」という韓。「コーチはいつも私たちに、集団から離れたらパワーを失うと思いなさい、と言っていますから」

 やがてプロのスポーツ選手になる韓は、自分の未来について語るとき、体育館の壁にかかっている馮坤(中国女子バレーボールチームで、2004年アテネオリンピックで金メダルを獲得した時の主力セッター。かつてこの学校でバレーボールを学んだ)の写真を眺めながら言う。「いつか、僕の写真も馮坤姉さんの横にかけられるようになりたいんだ」

外に出れば感心される学生

食堂が提供するさまざまな料理は、選手の栄養のバランスを保証する


 近年来、什刹海体校に入学する生徒はほとんどが一人っ子で、人一倍家庭で甘やかされてきた子供たちである。そのため、コーチたちはまずこの子供たちの自己中心的な考え方と傲慢でひ弱な悪い癖をあらためさせ、スポーツマンシップと独立した生活能力を培った。日常生活では、学生たちは自分で掃除、洗濯し、隊列を組んで並んで食事に行かなくてはならない。練習の場では、技術的な動きが目標に達しなければ、合格するまで何度でも繰り返し練習しなくてはならない。「私たちのやり方を厳し過ぎると考える人もいるかもしれません。しかし、幼い頃から、集団主義や努力して目的を達成する精神の薫陶を受け、粘り強い人格と団結の意識を培うことによって、生涯その恩恵を受けることになるのは彼ら自身なのです」とバレーボールの張佳声コーチは語る。

 今年58歳の甄九祥コーチは、この学校で34年間にわたって仕事をしてきた。王涛、張怡寧、王晨など多くの卓球の世界チャンピオンはみな彼の指導を受けてきた。あるとき、彼が生徒を連れて地方へ試合に向かった列車の中でのこと。生徒たちは互いに助け合って荷物を運んだり、ポットにお湯を汲んだりした。朝、起床してからも、寝台をきちんと片付けてきれいにした。子供たちのそんな行動は、他の乗客たちから賞賛のまなざしを浴びた。どちら学校の学生さんですかと聞かれると、生徒たちは「北京什刹海体校です」とさらりと答えた。甄コーチも大変得意だった。「什刹海体校の子は外に出れば、誰からも感心されるような、立派な生徒なのです」

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