拡大する「富裕層」がカギ

 

「豊かさ」の事例

 

済南市の株式ホールで、変動する株式価のボードに見込む市民たち
 今年
10月の国慶節の大型連休中、全国各地は観光客で大混雑し、入場制限や時間差入場など「荒療治」に踏み切る観光地が増えたといわれます。マイカー、マイホームの所有もさることながら、観光は、「豊かさ」をみるもっとも典型的なバロメーターといえます。

 

 中国のある大手家電メーカーによると、連休中に20000余元(1元は約15.5円)の56インチ輸入液晶テレビ 、10000余元の双方向開閉冷蔵庫、6000余元の全自動炊飯器など高級家電製品がよく売れたとのことです。

 

 さらに海外旅行。株にその座を取って代わられた「元3種の神器」であった海外旅行も年々増えており、世界各地の名所旧跡やショッピング・センターで、中国人を見かけることが圧倒的に多くなりました。筆者が、エジプトのマーケットを歩いていた時のことですが、ある店主に、「お前は中国人か」と聞かれた経験があります。いまや中国は、世界津々浦々で「東洋」を代表しているとつくづく実感したものです。

 

 ちなみに、マスターカード社によれば、2006年の中国の富裕家庭の92.6%が、娯楽に10000ドル以上を消費しており、中でも、国内・海外旅行が最大に支出となっているとのことです。

 

 富裕層の子女も「豊かさ」の恩恵を享受しているようです。あるメディア(注4)が、現代の「流行3点セット」であるPSPゲーム機、パソコン、デジタルカメラを大学生の子に買い与える父親の話を報道していましたが、インタビューに応えた父親は「私の若いころは、買ってもらいたいものといえば、上海ブランドの腕時計だけだった」と言っているのを読んで、「3種の神器」の変遷(注5)が頭をかすめました。

 

 「世界のブランド」嗜好は、今の中国の富裕層に共通しています。中国は世界でもっともブランド商品が売れる国になったとされます。超高級車、高級化粧品、高級服などなど。ルイビトン社など、中国を自社製品の最大の販売拠点とみなしている世界のブランドメーカーは少なくありません。

 

 ちなみに、中国の富裕層の増加率は毎年15%を超えていると、米国コンサルタント会社・マッキンゼー社は見積もっています。

 

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