上海が選んだ日本人タレントと私 二人三脚で夢に向かって

 

子どもみたいに単純で、恥ずかしがりやでちょっと頑固。彼の単純さと率直さは、まるでトレンディドラマに出てくる隣の家の男の子。けれど音楽、演技、仕事に対するこだわりは、さながら漫画に出てくる熱血プレーヤー。

 

シンガポールの人気歌手・永邦の『ヴェニスの涙』が彼に神秘のベールを被せ、中国語アルバム『一万回のどうして』が、まったく違う国の人間である彼の心の世界に、わたしたち中国人を連れていってくれた。

 

全国ベスト20の快挙

 

2007年4月8日、小松拓也は大切なギターを抱え、あこがれの上海の地を踏んだ。

 

出演した上海の人気オーディション番組『加油!好男児』のステージでは、周囲の人々と懸命にコミュニケーションに励んだが、うまくいえなくて呆然としたり、顔を赤らめて苦笑いしたりすることもあったが、最後まであきらめずに必死に中国語をしゃべり続けた。

 

このステージに立つまでには、これまでの人生で思いもよらなかった体験をした。日本とは違うなじみのない舞台、自分より若い青年たちの中で感じる年齢差、露骨な好奇心を隠すことなくぶつけてくるような異様な視線、ライバルたちと24時間同じ場所で同じ生活を強いられる自由のない窮屈な集団生活……。

 

そんなさまざまな困難を克服し、笑顔を絶やさず慣れない中国語を一生懸命に口にする真摯な姿勢が認められたのか、小松は上海の地区予選でベスト4に選出された。惜しくもその後全国進出を逃してしまったが、敗者復活戦のファン投票で選ばれ、全国ベスト20に入賞する。約30000人の応募者の中からここまで絞り込まれた20人の中で、唯一の外国人選手という快挙である。

 

「上海でベスト4、全国大会でベスト20」について、彼はそれほどこだわってはいない。彼が何よりも大切に考えているのは、中国の人々の自分に向けてくれた優しさや熱意である。

 

だからこそ、彼はこの愛情豊かな上海を選んだ。自分を飾り立てるような表現は苦手な彼だが、わたしたち中国人ともっと親しくなれるようにと一生懸命に中国語の勉強を続け、自分のクリエイティブと音楽で心のコミュニケーションに励んでいる。より多くの人に自分自身のこだわりと素直な気持ちを伝えるために。

 

私が小松拓也を知ったのは2年前のことである。同じ夢を見ているのかもしれない私たちは、一緒に歩きはじめた。昨年4月、共に上海の地を踏んだときには、このオーディション番組の結果が、ここまですごいことになるなどとは思ってもみなかった。夢が、小松拓也と私を立ち上がらせてくれたのだろう。

 

今、怒涛のように過ぎ去ったこのオーディション番組の一部始終を思い返し、私はあらためて、たったひとこと心をこめて、彼に伝えたい。

 

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