被災者に対し初の大規模心理カウンセリング

 

心理カウンセラーの問いかけに対し、8歳の女の子、喬希ちゃんは大きな瞳を開け、ぼくとつとした表情でただ頷くだけだった。「また学校に行きたい?」との質問に、喬希ちゃんは頷きながら終始声を絞り出すかのように、「行きたい」と答えた。喬希ちゃんは現在、今回の地震で被災地となった四川省綿陽市の被災者救援所である南河体育センターで、西南科技大学法学院の心理学博士・王寧霞副教授の心理カウンセリングを受けたひとりだ。現在、王副教授以外にも多くの機関より心理救援チームが地震被災地で活動をおこなっている。王副教授によると、今回の活動は国内でも初となる被災者に対する大規模な心理カウンセリング活動であるという。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

 

喬希ちゃんが「学校へ行きたい」と言った後、王副教授は喬希ちゃんの手をとり、喬希ちゃんの肩を軽くたたいてこう言った。「おじさん、おばさんたちはみんなあなたを助けてあげるわ。あなたの学校はこんどはもっと綺麗になるわよ!」喬希ちゃんは再度うなずき、大きな瞳はかすかに輝きを取り戻したように見えた。王副教授は、喬希ちゃんのケースは精神的ダメージの緩和に比較的成功した事例だと語っている。

 

「喬希ちゃんには明らかに突発性パニック障害の兆候がみられます」王副教授は語る。多くの人々は今回のような強烈な地震による大災害経験後、恐怖、人からの排除、孤独感を感じたり、悪夢を見る、あるいは深夜に泣き叫ぶなどの心理的症状が往々にしてみられるという。

 

王副教授は今回、西南科技大学の教師10人、学生34人を率い、カウンセリング活動に赴いた。被災地であまりに多くの住民が心の傷を負っていることに対し、活動当初はどこから手を付ければよいか呆然としたという。「あまりに人が多すぎる。表向きにはわからなくとも、心の中で泣いている人たちが大勢いる。」王副教授は続けた。「いったいどの被災者が助けを必要としているのかわからなかった。」王副教授は手に1枚の質問マニュアルを手にし、マニュアルをもとに今もっとも助けを必要としている人々を探し出したいと語っていた。

 

中国科学院心理所、四川省科学技術庁も共同で専門家チームを組織し被災者に対し心理カウンセリングをおこなっている。チームを率いる中国科学院心理所の張雨青副教授によると、専門家チームはすでに綿陽市内のもうひとつの大きな被災者救援所である九洲体育館で集団心理カウンセリングを実施している。対象は北川県から避難してきた1千人の小中高校生だ。

 

上記の2チーム以外にも、衛生部疾病予防センター、中国医科大学附属盛京医院、華西医科大学など10以上の機構が綿陽市の被災地に心理学専門家を派遣しており、その人数は3百人を超えている。

 

 

「人民網日本語版」2008年5月20日

 

 
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