危機的状況を支えた現場の幹部

 

各方面の意見を聞く趙海清書記(写真・董寧)

 

「生きている人たちの安全を保障しなければならない」。すでに10日以上、救援活動を指揮している北川県陳家壩郷共産党委員会の趙海清書記はそう言った。彼の顔は疲労を帯びており、日に焼けて額や頬の皮がむけていた。

 

地震発生直後、趙書記は生存者の救助活動を始めると同時に、食料や水をかき集め、負傷者や老人、子どもに配った。陳家壩の交通と通信は寸断されてしまったため、ここの被災者たちは孤立無援となってしまったからだ。

 

趙書記は土砂崩れの危険を冒し、山を越えて綿陽市政府に向った。上部機関に陳家壩の被災状況を報告すると同時に、軍医大学の医師を被災地に案内するためだった。

 

今は県城の上方にある堰止め湖が決壊しそうなので、すぐに住民たちを避難させなければならない。また、よその土地へ避難した被災者を収容するテントや食料を手配したり、防疫・防火対策も練らなければならない。趙書記の目の前には、急いで解決しなければならない問題が山積みだ。

 

「趙書記は本当にすごい。この被災地は秩序が保たれています」と陳家壩のある幹部は言う。「彼の家族も地震の犠牲になったというのに」

 

今回の地震で、趙書記は両親と子どもを亡くした。妻も重傷を負った。しかし家族のために家に帰る時間もなかった。

 

趙書記は涙を流しながら「家族が恋しくてたまらない。彼らに会いたい……」と語る。「一昨日の晩、自宅の方へ向かって、両親に額ずきました。私は家族を顧みる子とができなかった。でも、ここには私を必要としている人が1万人以上います。家族も理解してくれることでしょう」。趙書記は涙をぬぐった。

 

趙書記のような幹部は被災地では少なくない。人々の関心が被災地の悲惨な状況と政府や軍が総力を挙げて被災者の命を救助している姿に集まっているなか、現場の幹部たちは効率よく秩序立って救援活動が行われるようにと、わが身を犠牲にして黙々と奉仕していたのだ。

 

「一人の幹部として、私には私の職責があります。みんなのために力を尽くしてこそ、私の存在意義があるのです」。趙書記はそう語って、また急いで彼を必要としている場所へ向った。(中国外文局地震特別報道チーム=文)0807

 

人民中国インターネット版 2008年7月

 

 

 
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