近代の東洋及び西洋文学の翻訳

1919年の「五四運動」が中国近代翻訳史の始まりである。この時期、中国は東洋及び西洋の文化と文学を重視し、多くの著名な翻訳家が大量の外国文学、哲学、社会科学の著作物を広く受け入れ、翻訳した。ユゴー、ツルゲーネフ、アンデルセン、モーパッサン、バルザック、トルストイなど著名な作家の作品が大々的に翻訳、出版された。

巴金
日本の読者にも広く知られる魯迅も、ファデーエフ『壊滅』、ゴーゴリ『死せる魂』などの翻訳作品が、個人全集の中の半分以上を占めている。郭沫若はゲーテ『ファウスト』、ハイネ『ハイネ詩集』及び芥川龍之介、志賀直哉、小林多喜二ら15名の作家の作品が収容された『日本短編小説集』を翻訳。梁実秋、周作人、傅雷、巴金らはみなこの時期の著名な翻訳家である。中国人に最初にマルクス主義を知らしめた『共産党宣言』は、翻訳家陳望道が日本語版から翻訳したものであった。1949年新中国が成立したのち、さらにマルクス・レーニンの著作、東西の文学作品や科学技術論の著作物が大量に翻訳、出版された。

日本文学作品については、小林多喜二、徳永直、宮本百合子、井上靖、江口渙、野間宏、川端康成、島崎藤村、二葉亭四迷、谷崎潤一郎、芥川龍之介、紫式部らの作品の訳本が大量に出現した。

魯迅
フランス文学の名著の中には、解放前の訳本を校正して再版したものもあるが、大部分は新訳本である。たとえば古典文学方面ではラブレー『ガルガンチュア』、モリエール『タルチュフ』、ヴォルテール『カンディード』、スタンダール『赤と黒』、ユゴー『レ・ミゼラブル』からバルザック、フローベル、デュマ、モーパッサン、ロマン・ロランらの作品である。現代文学作品は、主にエリュアール、ラ・ファイエット、アラゴンら十数名の作家の小説、詩、戯曲に集中している。

この時期のイギリス古典文学の翻訳作品には、1978年に出版された『シェイクスピア全集』、サッカレー『虚栄の市』、トーマス・ハーディー『ダーバヴィル家のテス』、ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』、スコット『アイヴァンホー 』などがある。中国の読者に親しまれた作家にはほかに、ジョージ・エリオット、シャーロット・ブロンテ、チョーサーなどがいる。ブレイク、シェリー、バイロンの詩作も歓迎された。

世界文学史上に影響のあるドイツの作家の主な作品も、新中国成立後、大量に翻訳された。ボードレールの『悪の華・巴里の憂鬱』『ラ・フォンテーヌ寓話集』、トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』、ゴットフリート・ケラー『緑のハインリッヒ』、ハインリヒ・マン『臣民』などである。

『デカメロン』
この時期には、『アンデルセン童話』、イプセン『人形の家』、ホメロス『イリアス』、オウィディウス『変身物語』『イソップ童話』、ダンテ『神曲』、ボッカッチォ『デカメロン』など南欧、北欧及び東欧の古典文学名著の新訳と重訳本もある。ポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア及びアルバニアなどの国の作家の作品も、1950年代には訳本があった。

早くは清末民初のころ、少なからぬアメリカ文学作品も翻訳された。ワシントン・アーヴィング、ホーソーン、エドガー・アラン・ポー、ホイットマン、マーク・トウェイン、セオドア・ドライザー、ジャック・ロンドン、ヘミングウェイなどの作家が中国の読者によく知られている。50年代には、マーク・トウェインの9つの小説が翻訳、出版された。70年代以降、さらに多くのアメリカ文学作品及び作家が中国の翻訳者の翻訳対象となった。たとえば、マーガレット・ミッチェル、ジェイムズ・フェニモア・クーパー、オー・ヘンリーなどである。

『レ・ミゼラブル』
70年代末、「改革・開放」後には、まず外国文学における西洋の古典主義、ロマン主義、リアリズムの名著が大量に翻訳された。「改革・開放」が進むにつれ、西洋の現代、当代の通俗小説も次第に中国の読者の目にとまるようになった。『ナイルに死す』『ジェニーの肖像』『風と共に去りぬ』『明日があるなら』『チャタレー夫人の恋人』などは、中国人の思想と観念に影響と衝撃を与え、強烈な反響を引き起こした。

この時期日本文学の翻訳も盛んであり、川端康成、芥川龍之介、村上春樹らの作品が翻訳されている。研究者の統計によれば、「改革・開放」以来、日本文学もアメリカ文学同様、中国の外国文学翻訳界においてもっとも重要な翻訳対象のひとつとなっている。

また、この時期に盛り上がったものにラテンアメリカ文学の翻訳がある。70年代以降、ラテンアメリカ文学は、魔術的リアリズムの作風などで、世界文学のジャンルのひとつとして知られるようになった。ラテンアメリカ社会の現実を、斬新で特異な創作の手法で描く作品群である。ラテンアメリカ文学に対して比較的、全面的かつ系統的な紹介に力が入れられ、ボルヘス、ガルシア・マルケスなど多くの著名な作家に関してはほぼ全作品が翻訳されるなど、中国の外国文学翻訳は百花斉放の局面を迎えた。

 

人民中国インターネット版 2008年7月17日

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850