五輪の「直飲水」、一般市民も飲用可能へ 

 

「五輪が閉幕してから逆にもっと忙しくなったよ。全国各地から『直飲水』の設備に関する問い合わせの電話がひっきりなしだ。孫悟空みたいに分身術が使えたらいいのに!」と、毛丙純氏の口ぶりは恨めしそうだが、嬉しさを隠せない様子だ。

毛丙純氏は、北京中科膜技術有限公司の技術総監。五輪選手村に設置された飲用水浄化処理設備は、彼が所属する会社が設置・運営を任されたものだ。毛丙純氏によると五輪選手村の飲料水システムは、中国科学院生態環境研究センターが知的財産権を持つ核心技術が主体になっている。五輪選手村のA、B、C、D区では、それぞれ1セットずつ飲用水設備を取り付けた。各設備はそれぞれ1時間ごとに2~3トンの、安全で健康な品質の優れた飲用水を提供する。水道の蛇口をひねれば、そのまま水道水を飲むことができるため、「直飲水」と別称されている。

発明特許9件を申請 五輪による功績

飲用水の安全は、五輪・パラリンピックを成功させる不可欠な基本条件であり、WHOが規定する最高の要求をクリアしなければならなかった。そのため、2001年に五輪誘致が成功した後、中国科学院生態環境研究センターは「五輪選手村およびモデル住宅団地における良質の飲用水の浄化技術および集成システム」のプロジェクトチームを結成させ、その研究開発に当たらせた。5年越しの努力が実を結び、2006年4月には、担当部門の審査に合格し、五輪選手村の飲用水工程プロジェクトを落札した。プロジェクトチームの技術スタッフの研究開発により、新技術が自主開発され、発明特許9件を申請した。うち6件はすでに特許を取得している。

五輪のためだけではなく、一般市民もこのような「直飲水」を飲むことは可能か。毛丙純氏は「何の問題もない。北京の一般市民の中にはこの“五輪直飲水”をすでに飲んでいる人もいる」と答えている。中国科学院生態環境研究センターでは、研究前に、五輪科学技術の成果を一般の市民に普及することを考え、技術を世に披露する場を特別に設けた。今までに、環境保護部、科学技術部、中華全国総工会、チャイナモバイルのオフィスビル、および高級マンション「天河人家」、北京師範大学宿舎など住宅団地にも、20セット以上の「直飲水」の設備を取り付けた。1セットの設備で、1千世帯分の飲用水の需要を満たすことができる。

毛丙純氏は、「北京市だけじゃなく、広東省、山東省、江蘇省などの大・中都市でも、一部の『直飲水』モデル工事を実施し、利用者の反応は非常に良かった」と話す。「直飲水」の製法は、特に市政府が管理する水道水あるいは高層ビルの貯水槽に適しており、設計から設置、調整テストの終了まで1カ月ほどの期間があれば足りるという。設置された設備の管理は簡単かつ低コストで、水質基準も高く、一般市民でも負担できる価格で良質の飲用水を飲むことができる。毛丙純氏は、「材料が輸入品か国産品かによって、処理できる水量も多少異なっているが、コスト的には変わらない。20~30万元で1セットの設備を取り付けることができる。精製水をタンクボトルで買うよりも、安くつくはずだ」と述べている。

 

「人民網日本語版」 2008年09月18日

 

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