改革開放から30年(3)消費者の尊厳を主張する時代へ

 

内蒙古自治区の慧聡弁護士事務所に勤める張献華さんは、あるレストランが予約通りのメニューを出さなかったことを工商部門に訴えた。傍にいた彼の年老いた母親はこんなことにつべこべ言う必要はないという表情で、「昔はモノを買うときに製品の合格証明や保証期限を見る人なんてそういなかったよ。問題があっても我慢して、たまに管理者を呼んで説明してもらうくらいだった」と話す。

一方の張献華さんは、このレストランは信用を損ねる自らの行為に対して責任をとるべきだと主張する。「年代が違うんだよ。昔はいろんなものが不足していたから、製品の品質なんて気にする人はいなかったんだろうが、今では自分の権利を損ねれば、それを極力守る必要があるんだ」。

呼和浩特(フフホト)市工商局の専業市場分局の高樹林・局長は長年工商部に勤める人物だ。「80年代初期から『消費者』と『消費者グループ』という概念が浸透してきた。あの頃は、まだ人々の生活水準も低く、訴えの大部分は『食』に集中していた。今では、食品・薬品・化粧品・サプリメント・美容・教育・旅行・自動車・不動産・家電など衣食住行の何から何まで訴えがある」と指摘する。

内蒙古社会科学院の阿爾泰・研究員によると、人々は今では経済的な権利を守るだけでなく、自らの尊厳をはっきりさせ始めているという。

1991年12月23日、北京の中国国際貿易センターにあるスーパーで買い物をしていた女性2人がス―パー側から商品の代金未払いの疑いをかけられ、強制的にバックを調べられた。この侮辱に耐えかねた2人はスーパーを訴え、その翌年、北京市朝陽区人民裁判所は被害者に2千元の精神的な慰謝料が支払われる判決を下した。この事件が消費者の人格の尊厳を守る皮切りとなり、その後、「消費者の人格の尊厳は法律の保護を受ける」と「消費者権益保護法」で明文化され、広東省・上海市・浙江省・重慶市などで相次ぎ精神的な損害賠償に関する条例が制定された。

こうした動きは、中国の法律が人権を保護する上で新たな一歩を踏み出したことを意味している。現在、権利を損なった消費者の精神的な損害賠償請求が後を絶たない。これは消費者の声がどんどん届くようになっていることの証だ。

 

「人民網日本語版」 2008年11月5日

 

 


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