忽然と出現したもう一つの上海

 

中国の「改革・開放」政策の成果が、もっとも目に見える形で現れたのは、上海・浦東の開発であろう。19世紀の洋風建築が建ち並ぶ外灘(バンド)の対岸に、もう一つの新しい上海が忽然と出現したのである。

人口1000万人を超す大都市、上海は、社会主義計画経済の下でかつての活気を失っていた。この老朽巨大都市を再生させるため、1990年に打ち出されたのが「上海浦東地区開発計画」である。

人口稠密な上海の旧市街と黄浦江を隔てて広がる浦東地区は、古い工場群や農地が広がり、旧市街とはわずかに二本のトンネルでつながっているだけだった。「上海浦東地区開発計画」では黄浦江に架かる南浦大橋、楊浦大橋をはじめ外高橋港、内環状線など十大プロジェクトの建設が打ち出された。建設工事はもともと5年計画だったが、わずか4年で完成した。

バンドから眺めると、陸家嘴は近代的な高層建築が妍を競うように建ち並んでいる。その中でひときわ目立つのは、上海環球金融中心(高さ492メートル)だ。これは日本の森ビルが投資して建設した。

森ビルの森稔社長はこう言っている。

「世界がまだ浦東開発計画に懐疑的だった1994年、浦東の未来を信じて、金融・貿易の象徴となるこのプロジェクトに参加しました。途中、アジアの金融危機、「9・11」事件、SARSなどがあり、建設の続行を危ぶむ声もあったのですが、中国の改革・開放30年という記念すべき年に上海環球金融中心を完成させることができました。上海浦東を天高く駆け上がる竜の頭にたとえるならば、上海環球金融中心は竜の瞳と言えるでしょう」(文・魯忠民、写真提供・新華社)0811

 

人民中国インターネット版 2008年11月10日

 


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