バーチャル囲碁対局

貴州省 安衛

登場人物(司会者、中国人棋士1名、日本人棋士1名、各国の観客)

司会者:ご来賓の方、会場の皆さん、こんにちは。まもなく開始となる本日の友好囲碁対局は、友情を深め合うことを目的とし、対局する棋士のお二方はいずれも相手に対していくつか問題を出したり、観客に質問したりすることができます。もちろん、観客の皆さんから棋士の方へ質問してもかまいません。それでは、開始の時刻が参りました。皆さんが友情と楽しみを十分に味わうことができますように。

日本人棋士:(手のひらを碁盤に仰向けに置いて、遠慮がちに)どうぞ!

中国人棋士:ああ、すいません。1つ質問してもよろしいですか?友情に影響しませんかね?

日本人棋士:どうしました?遠慮せずに話してみてくださいよ。

中国人棋士:対局している時間の長さを友情の持続時間に例えるなら、どうすればその時間をもっと延長することができるのでしょうか?

日本人棋士:まずは観客の皆さんに聞いてみませんか?

中国人棋士:(立ち上がって観客の方を向き)皆さん、長らく考えている問題があるのですが、納得のいく答えが見つからないので、答えていただける方はいらっしゃいませんか?

観客:(異口同音に)それじゃ、その問題を話してみてください。

中国人棋士:対局している時間の長さを友情の持続時間に例えるなら、どうすれば対局時間をもっと延長することができるのでしょうか?

―しばしの静寂―

観客A:まず、私に回答させてください。思うに、対局する両者の能力さえ釣り合っていれば、対局時間は自然と長く続くのではないでしょうか。

中国人棋士:ほかに回答はありませんか?

大勢の観客:私たちもそう思います。

中国人棋士:わかりました。どうもありがとうございます。(向きを変えて座り、日本人棋士に向かって)あなたもそう思われますか?

日本人棋士:いいえ。互いに相手を理解して初めて、対局時間を長く持続することができるというのが私の考えです。もし、両者の能力が釣り合っていても、互いに理解がなければ、対局時間を延長することは難しいと思います。

中国人棋士:(微笑んで)では、試してみましょうか。

対局が始まる。対局が2時間ほど行なわれたところで中国人棋士がミスを犯し、この対局は終了すべき局面を迎えた。しかし、日本人棋士は、ここで勝ったとしても、真の実力を比べることはできない、食べたいものも食べられないと考え―わざと相手の一駒を放した。

中国人棋士:(相手が自分の駒を放ったのに気付き)お恥ずかしい。

対局は一時間あまり続いたところで、日本人棋士も一度ミスを犯し、やはりこの対局も終了すべき局面を迎えた。しかし、中国人棋士は、ここで勝ったとしても、真の実力を比べることはできないと考え、やはり彼も日本人棋士の駒を放した。

日本人棋士:(相手が自分の駒を放したのに気付き)いやはや、お恥ずかしい。対局は続いた。時間は再延長となった。中日両名の棋士は互いを見ると、笑みを湛えて観客を振り返った。皆さん、今日の対局で一つの道理を知ることができました。対局時間を長く持続させようと思うなら、相手と互いに理解し合うことが基本です。それから、謙譲、友情、発展が必要ですね。

各国の観客:(驚いて大声で)おお、そうだ。素晴らしい、素晴らしい!

 

人民中国インターネット版 2008年12月4日

 

 

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