『金融時報』記者:2008年上半期に中央銀行は緊縮的な通貨政策を執行していたが、下半期からは適度な通貨緩和政策を執行した。現在、その効果はどうであろうか?2009年1月に中国の新規貸付が1兆6000億元に達したことについてのコメントは。

周小川総裁:周知のように、中国の通貨政策のシステムはマルチの目標であり、単一のものではない。そのため、経済形勢や関連データの変動にしたがい、中国の通貨政策も絶えず調整されている。2007年下半期、特に2007年年末と2008年年初ごろは、インフレが高かったため、それに対応する通貨政策の実施と活用に著しい効果が見られた。金融危機の深刻化とともに、2008年下半期、特に9月中旬以後、その影響が急速に拡大し、中国経済に大きな衝撃をもたらした。そのため、金融危機の衝撃への対応は通貨政策の重点となった。

当面の状況から見れば、さまざまな措置および適度な通貨緩和政策には顕著な効果が見られる。経済データの中で、平穏さが見られており、回復の兆しも現れている。

今回の金融危機に対して、早急に効果的な対策を打ち出すと国務院は強調した。金融危機対策を実施する時宜を逃し、また対応措置がそれほど厳しくなかった国々は経済の下落を抑制することができなかったことにわれわれは注目した。確かに、2009年1月の貸付の増加量はわれわれの予測を超えている。通貨供給量、貸付量が急激に増える可能性もあるが、金融危機がもたらした消費自信の下落を回復させ、金融危機克服の役割を速く果たせるなら、われわれにとって損はない。また、事後に通貨政策を小幅に調整する空間もある。数量の全体において、中期間に合理的な水準を保つことを目指している。

つまり、われわれにとって、金融危機の克服には短期間の考慮が必要であるが、中期間における考慮もなければいけない。

「香港テレビ局」記者:香港で人民元建て決済業務がいつ開通するかに、香港の人々は注目している。また、本位通貨建て決済のテスト拠点はいつ開通するのか。この面において困難はあるのか。以前に中国人民銀行は香港金融管理局(HKMA)との間で通貨交換メカニズムを構築したが、これまでにどれぐらいの金額を費やしたのか。 周小川総裁:2003年末ごろから、香港は個人向けの人民元業務のテスト拠点を設立し、個人の旅行やショッピングにおいて香港ドルと人民元両方での決算、清算業務を開始した。これを踏まえ、双方は密接な提携関係を保ちつつ、今もこの提携関係は正常に進行している。新たなメカニズムを構築する必要がなく、この枠組みの下で協力をより強化し、本位通貨建て決済のテスト拠点を開通できると考えられる。人民元の使用領域は拡大していくため、当然その業務を拡大する必要がある。

人民元建て貿易決済には大きな困難はないだろう。実際、コンピューターシステムを含む各商業銀行の運営システムでは、もともと様々な通貨が利用可能であったため、さらにもう一種の通貨を増やすのは簡単なことではないだろうか。ここ数年は、辺境貿易において人民元建て決済をする場合も多く、この面ではいくらかの経験を積み重ねている。もちろん、一部の業務システムや政策をやや調整する必要もあるが、人民元建て貿易決済業務は間もなく順調に開通するだろう。

大陸部は、香港金融管理局と本位通貨の交換契約を締結し、双方の金融危機に対する情報交流の強化を目指している。また、流動性に問題が生じた場合も互いにサポートすることができる。現時点では、通貨交換を行うことに値する問題が生じていないため、それがまだ行われていない。次段階で、この面はしだいに発展していくだろう。

『国際市場新聞』記者:今現れているいつくかの経済回復の兆しは恐らく長続きしないと、先週温総理はおっしゃったが、それでは、政府は4兆元投資の基礎において、どんな状況下で追加投資をするつもりなのか。

周小川総裁:金融危機対策として、中央は消費拡大、投資拡大、輸出保持といった経済成長を牽引できる三つの措置を打ち出している。これらの措置は固定されたものではなく、その効果をよく観察し、追加措置を研究する必要がある。

これらの措置により、確かにいくつか回復の兆しが現れている。たとえば、消費の拡大、投資の拡大、一部製品価格の上昇、一部統計データの上昇など。だが、これで十分と言い切れるのか。われわれは状況の変化に応じ、新たな措置を打ち出すことにしている。昨年第4四半期、マクロ経済政策を調整した際に打ち出した「柔軟で慎重」という方針のように、情勢の発展に応じて投資を追加するか決定することにしている。

 

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