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マイホームの夢がかなった

 

狭い住宅のつらい思い出

 

胡同では、隣近所に住む人々が行き来し、昔ながらの生活を続けている

住宅の話になると、年を取った普通の市民はほとんど、思い出したくもない、つらい思い出を持っている。

昔から北京に住んでいる人々は、たいてい四合院に住んでいた。四合院とは、中央の庭を囲んで正房(母屋)と東西の廂房、母屋の向かいの倒座の4棟の平屋からなる住宅である。

筆者の同僚の魯忠民一家も、東城区南小街の竹竿巷にある小さな四合院に住んでいた。この四合院の母屋と東西の廂房は他の2所帯が共同所有し、魯の両親と兄弟姉妹の一家7人は、庭の南にある2部屋の倒座に住んでいた。広さはわずかに21平米しかなかった。

倒座は街の通りに面していていつも騒がしく、日当たりも悪い。しかも台所がないので、部屋の外の軒下にコンロを置いて炊事をする。四合院には便所がないので、母屋の後ろを通って公衆便所に行くしかない。

住居不足の深刻な時代に建てられた「無断建築」。これによって多くの四合院は元の姿がすっかり変わってしまった
いろいろ不便はあっても、寝起きする家があり、それに隣近所の人々はいつも庭でおしゃべりしたり、助け合いながら水運びや物干しをしたり、睦まじく暮らしていた。四合院には十数人の子どもがいて、庭でゴム跳びや隠れん坊、木登りをしたり、胡同(横町)でサッカーや輪回しをしたり……。今でも楽しい思い出となっている。

しかし、子どもたちが大きくなると、2間の住宅では足りなくなり、魯の両親は頭を痛めた。そこで仕方なく、庭を少しずつ蚕食した。最初は庭の西の塀のそばに小さな小屋を建てた。数年後、それを拡張し、小屋の中を仕切って台所と玄関をつくった。さらに数年後には、思い切って上へ拡張し、小屋の上に屋根裏部屋をつくった。そこは魯と弟の寝室となった。

「密かな無断増築」のおかげで、なんとか住めるようにはなったが、家は古い。雨の季節になると雨漏りがする。そのため、屋根の瓦を取り替えたり、漆くいを塗ったり、天井に紙を貼り直したりしなければならない。柱の足の部分が腐ると、ジャッキや木の柱で梁を支え、腐った部分を切り取って、新しい木に取り替える。こうした大仕事でも自分たちと2人の知り合いの力で行った。四合院全体が大騒ぎする中、2日がかりでようやく完成したのだった。

一方、地方から北京にやってきた政府部門の幹部や教師、医者、企業などに勤める従業員たちはほとんど住宅ビルに住んでいる。新中国成立後、全国から集まってきた従業員に住宅を与えるため、政府は会社や機関の人数に基づいて資金を配分し、会社や機関はそれぞれ、土地を探して住宅ビルを建てた。そして家族の人数によって無料で部屋を分配した。家賃がとても安く、平等なので、一般に「福祉住宅」と言われている。

政府は「一戸に一つのメーター」計画を実施し、四合院の住民のために、電気のメーターを取り付けた。石炭の暖房を電気暖房に切りかえることによって、大気汚染に別れを告げた
しかし、政府の資金には限界があり、大量の住宅ビルを建設するのは難しかった。それに当時の「まず生産、生活は後回し」という理想主義的な思想の影響で、人々の生活面は軽視され、住宅は非常に厳しい状況にあった。

3世代が一室に同居したり、住宅がないため結婚を先延ばしにしたり、2、30世帯が「筒子楼」と呼ばれる、中央の廊下を隔てて両側に部屋がある寮のような住宅に住み、毎日、廊下に充満する油煙や子どもの泣き声などに悩まされたり……。

筆者も1970年初めに結婚したとき、八方手を尽くしてやっと一間の住宅を手に入れた。しかし、息子と娘が生まれ、とくに母親が広東省から子どもの面倒を見にやってきてから、わずか13平米の部屋の中は、ダブルベッドやシングルベッド、箪笥2棹、本棚2つ、そして机と食卓兼用のテーブル、椅子数脚が置かれ、ものでいっぱいになり、まるで身動きもできなかった。2世帯共同で使う小さな台所は、コンロや食器棚でいっぱいだった。食事の準備の時間になると、料理を作っている隣人に、「すみません」と言っていったん手を休めてもらい、そこを通り抜けるしかない。また、5世帯共用のトイレは、利用者の多い朝は大変だった。

誰もが住宅に困っていた。筆者の住んでいた棟の1つ上の階に同郷の人が住んでいたが、部屋が狭くてベッドを置く場所がないため、2人の息子を2段ベッドで寝かした。下の階にいた翻訳者の一家は、子どもたちが大きくなったので、箪笥と本棚、カーテンで一部屋を3つに仕切るしかなかった……。

統計によると、1978年の北京市民の一人当たりの住宅面積は4.55平米だった。

 

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