経済貿易の現状と発展の未来

青島市日本人会会長 飛坂有三

外経貿局の孫局長並びに、発展する青島市を代表する政府・企業の皆様。又、斎藤日本国駐青島総領事並びに、青島で活躍する日本政府・企業の皆様。

こんにちは

私は、青島日本人会会長の、飛坂有三と申します。どうぞ宜しくお願い申し上げます。本日は、皆様の前で日本人会を代表してお話しをさせて頂く事を、大変光栄に思います。

そしてこの様な素晴らしい経済交流論壇会を主催して頂いた人民中国雑誌社の徐社長並びに関係者の皆様に、厚く御礼申しあげます。

さて、今日は皆様の前の画面に表示されている様に、「経済・貿易の現状と将来の展望、成長のイメージ」というテーマで私が日々感じている事を、お話しさせて頂きます。

先ずは最初のスライドを使って、中国経済の発展の歴史を、少し振替ってみましょう。中国経済はこれまで、驚異的な成長を遂げてきました。

1980年代を黎明期、1990年代は市場経済化の進展期、そして2000年代は和諧社会構築の時代と大別できるかと思います。これら各期における成長の原動力は次の通りと私は考えます。

(1)黎明期においては開放政策による経済資源の投入拡大。

(2)市場経済化期においては、市場・企業活動の活発化。

(3)そして和諧社会構築期においては、中国経済の国際化の進展。

特に大きな転換のポイントとして2001年のWTOへの加盟があげられると思います。ところが、ここに来て、金融危機・世界同時不況の影響により、昨年・今年と非常に厳しい情況となっている事は言うまでもありません。

然し、中国は機動的な政府公共投資等の措置により、IMF集計・予測ベースで、2008年は9%成長、2009年は6.7%、2010年は8%との予測になっています。スライドの世界各国の経済成長率のグラフをご覧ください。一番上の赤い線が中国です。日本、米国、EU各国等も2010年には回復基調となる事が予測されていますが、これを支える大きな力が、中国の高い成長であると私は考えます。この結果、中国の世界経済に占める位置は大きく拡大しています。スライドは少し古い予測ではありますが、2003年にゴールドマン・サックスが発表した、中国・インド・BRICsの経済成長予測です。中国の経済規模は2007年にはドイツを、そして2014年には日本を、更には2041年には米国を凌ぐものになると予測されていました。

直近の予測では、中国経済が日本の経済規模を追い越すのは今年、2009年か2010年という予測もあり、かなり確立が高いと私は感じています。ではこの中国経済の成長の要素はいったい何でしょうか。この問いに答える為にも、現在の経済の中身をみてみましょう。スライドの円グラフは日本と中国のGDPの需要項目別の割合を比較したものです。民間消費が中心である日本とは異なり、中国では総固定資本形成(設備投資や住宅投資等)が中心となっている事がお解かりいただけます。発展過程にある中国としては当然だと感じますが、各国の経済発展の歴史をみますと、いずれかの時期に総固定資本形成のシェア低下が見られています。中国でも近い将来にこの傾向が強まって来るのではないでしょうか。誤解を避けるためにご説明しますが、私は総固定資本形成が減少すると考えてはおりません。その伸び以上に個人消費が伸びる事から、結果として総固定資本形成のシェアが減少するものと考えています。一方、貿易額とGDPの関係はどうでしょうか。このスライドは、日本と中国の貿易額のGDPに対する比率です。貿易立国と呼ばれていた日本のGDPに対する貿易額の比率は意外と小さいものです。中国では輸出・輸入額ともGDPに対する比率が高く、更には純輸出額のGDPに対する比率も9%と、かなりの高率になっています。中国経済の成長、世界経済全体へのシェア拡大、を前提とすると、この比率、特に純輸出のGDPに対する比率が今のままで推移するとは考えにくいと思います。ここれらから私が推測する、中国の成長のイメージは、国内消費の成長を中心とした、内需拡大型の成長であります。スライドの表は真ん中が中国、右が日本、左が米国の経済の主要指標です。

既に中国の小売総額は、日本を若干上回っています。そろそろ民間消費牽引型経済への転換が見えてきたと考えるのは気が早すぎるでしょうか。では、経済成長に向けての重要テーマは何でしょうか。これはエネルギー消費に象徴される、あらゆる経済活動の効率化ではないかと私は考えました。スライドは中国・米国・日本のエネルギー・ソース別の2007年度需要量で、単位は原油トン換算となっています。中国では石炭が主エネルギー源となっていますね。2008年のデータが手元に無かった為、私はこの2007年度のエネルギー需要量を2008年のGDPで割ってみました。この数字が赤枠内にあります。GDP US1,000当りの原油換算エネルギー需要量です。自然環境・エネルギー源のタイプ・社会のニーズも異なり、単純な比較は危険だとは思いますが、中国にとっては、特にエネルギー消費の効率化が成長のドライバーになるのではと考えています。持続可能な成長の為には、化石燃料からの転換も重要なテーマでしょう。又、これらは中国だけでなく世界各国にとっての重用課題と考えます。

ここれらから私が推測する、中国の成長のイメージは、国内消費の成長を中心とした、内需拡大型の成長であります。又、成長のドライバーとなるものは、エネルギーを中心とした資源の有効利用ではないでしょうか。勿論、環境への対応も重要な課題です。思いつく、キーワードをスライドに纏めてみました。

消費の拡大:

新しい商品・サービスへの取組み。

中国国内市場に向けた新規起業・外国企業進出・業態の変化。

エネルギー効率化・環境対応:

技術移転・貿易の可能性。

省エネ設備・サービス市場の拡大。

あらゆる領域における省エネルギー化。

そして、国際間・国内における、垂直・水平分業の拡大・高度化。

経済危機の最中に、もう一度そのイメージを思い浮かべる事は重要ではないかと、私は感じています。

時間の限りもあり、以上、簡単ではありますが、私のスピーチとさせて頂きますが、本論壇・会食の機会に皆様の御意見を頂ければ幸いであります。

ご清聴有難うございました。

 

 

人民中国インターネット版 2009年6月