共に助け合い暴力行為に立ち向かう ウイグル族と漢族

 

ウルムチで発生した暴力犯罪事件の状況下では、ウイグル族と漢族が共に助け合い、暴力行為に立ち向かう感動的なエピソードがみられる。彼らの経験から、当地の人々の民族的団結、仲睦まじい社会への渇望が深く感じられる。

暴徒に襲われた上海の教師を助ける ウイグル族の同胞たち

上海からやってきた南匯中学の教師、趙敏東さんは、7月2日、生徒たちを引率してウルムチに到着した。10年来の教職生活で新彊を訪れたのは初めてだった。7月5日夜8時前後、趙さんはウルムチの観光地である大バザールに向かおうとし、団結路に至ったところで、手に棍棒や石を持った暴徒の一群と鉢合わせした。趙さんの乗ったタクシーは、ひっくり返され、本人も7、8人に殴られ、何カ所も負傷した。

幸運にも、危機にある趙さんに対し、タクシーの運転手から通行人の女性まで、ウイグル族の人々は温かい手を差し伸べ、最後には、居住区のなかのウイグル族の民家にかくまわれ、武装警察の救援部隊の到着を待った。

「私を襲ったのは、7、8人だったが、最初から最後までをあわせると、助けてくれた人は7,80人をはるかに越えます。本当に感謝しています。どの民族であろうと、大多数の人たちはとても善良です。危険のなかで助けの手を差し伸べてくれたことに、本当に感激しています。助けてくれた人の多くはウイグル族で、感謝しています。本当に心から感謝しています」と趙さんはいう。趙さんは、こうしたウイグル族の同胞に対し、誠実に感謝の気持ちを表し、「どの民族であろうと、家族です」という。

助けを求めるバスの乗客に対し ウイグル族と漢族が共に安全を守る

7月5日夜9時前後、ウルムチ市の金銀大道の新聞ビルのフロントホールに突然、150人もがふってわいたように出現した。みな61路と912路の2台のバスの乗客だった。彼らの乗ったバスは、暴徒にレンガと石を投げられ、焼き討ちにあった。少なくない人々が負傷し、なかでも30歳前後の男性は、頭部に負傷して出血し、さらに脚も骨折しており、重傷だった。新聞ビルに駆け込み避難した乗客のなかに浙江省からの2人のトラックの運転手も含まれていた。

当夜、ビルの管理事務所で当直をしていたアリケム・バクさんは、状況を目にし、パニック状態にある乗客をホールに落ち着かせ、重傷者を地下室に運んで、緊急処理を施した。ビルの顧客サービスマネジャーの劉国商さんも、ホールに駆けつけ、乗客を励ますとともに、ビルの警備員、管理事務所、それにコックまでを呼び、30人近くの臨時警備隊を組織し、ビルの入り口を守った。新聞ビルの正面入り口のガラスが2カ所割られたが、最後まで暴徒たちはビルに侵入してこなかった。夜11時過ぎ、臨時警備隊は2名の暴徒を捕まえ。やってきた武装警察に引き渡した。

翌朝、新聞ビルで一夜をあかした100人あまりの乗客は、次々に現場を離れ、そのなかには学生や、母子もいた。アリケム・バクさんは、当夜の状況を振り返ると、いまでも動悸が高まってくる。「暴力沙汰をおこした連中はみな狂っている」という。

事件に巻き込まれたウイグル族男性に捧げられた 白衣の天使の愛

58歳のウイグル族の男性、トラソンさんは、自宅待機中の労働者であり、7月5日夜8時半ころ、ウルムチ市の新華南路口を通りかかったところで、向かい側にいた暴徒からレンガと石を投げられ、目と歯、右側の頬に傷を負った。緊急事態のなか、トラソンさんは付近の親戚の家に駆け込み、翌日、人民医院で治療を受けた。

人民医院は70年の歴史があり、4000人あまりのスタッフ、3268床を持つ総合病院である。「7.5」事件発生後、人民医院の医師と看護士は、緊急体制に入り、負傷者を収容、当日には50回あまりの手術を行った。7月8日午後までに、人民医院は360人以上の負傷者を診察し、そのなかには、軽傷者240人、重傷者42人が含まれる。口腔顎外科の楊春梅・看護士長の説明によると、当科では、16人の負傷者を収容し、患者と家族は比較的落ち着いた状態にある。

トラソンさんが人民医院で受けた治療はすべて無料であり、医師、看護士によってきめ細かくケアされている。8日午後、トラソンさんは、口腔顎外科から普通外科に移され、他の「7・5」事件の負傷者と一緒にさらに快適に治療を受けている。「今は何も考えたくない。ただ治療に専念したい」と彼はいう。

 

人民中国インターネット版 2009年7月10日

 

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