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誰もが医療を受けられる国に

 

最後のセーフティーネット

2003年から、中国は農村の「五保戸」や貧困家族などに医療救助を行ってきた。「五保」とは、収入のない人(身寄りのないお年寄りや病弱者、孤児、身障者など)が、「食・燃料、衣、住、医療・介護、埋葬」の五つが保障される制度である。

国はこうした人々が農村の医療共済に加入する資金援助をするほか、大病を患い、巨額の医療費を支払うことができないときは、政府と社会が医療費を援助する。

2009年3月24日は第14回の「世界結核病予防・治療の日」。重慶市雲陽県の結核病予防・治療所は医療隊を組んで農村に入り、結核病の状況を全面的に調査した

また多くの地方では、「一門式」と呼ばれるサービスが広く採用されている。これは、民政部門と衛生部門が協力して、指定された病院に「救助窓口」を設立し、救急患者が来ると、まず病院側が医療費を立て替え、緊急治療を施し、その後、医療共済と医療救助の機構がそれぞれ医療費を精算する、というものだ。こうすると、救急患者は金銭面でプレッシャーが緩和されると同時に、病院も治療を施す時間を十分に取ることができる。

2007年、全国の農村で医療救助を受けた人は延べ607万人を超え、支出額は29万7000元に達した。

2004年、中国は農村の医療救助のやり方を都市部にも広め、都市の「三無」(働く力がなく、収入がなく、身寄りのないお年寄りや身心障害者)の人や失業者などの貧困者に対し、医療救助を実施した。こうした人々のために国が代わって医療保険料を納入し、医療費を減免し、そして自費で支払う医療費などを補助したのである。統計によると、2007年、都市部で医療救助を受けた人数は延べ407万人で、支払われた救助金は12億5000万元であった。

政府や労働組合、慈善機構が出資した医療救助制度は、社会の底辺の人々に福音をもたらし、都市と農村の住民の生存と健康を守る最後のセーフティーネットとなっている。

医療改革も進む

4月6日、中国は『医療改革方案』を発表した。新しい医療改革は、医療衛生の公益性を重視し、予防を主とし、農村に重点を置き、中医と西洋医学をともに重んじる方針を堅持している。また都市と農村の住民すべてが基本的医療を受けられるシステムを建設し、2020年までに誰もが基本的医療衛生サービスが受けられるようにすると強調している。

湖南省邵陽県の下花橋鎮杉榔村では、村民は、粗末な鎮のセンター病院で点滴を受けている

河北省邢台市橋東区の西門里社区辦事処と邢台市で最初に設立された私立の病院である華夏病院は、「社区」に住む300人の最低生活保障家庭と特別困難家庭のために無料で健康診断を実施した

この目標を実現するために、政府は今後3年の内に、8500億元を医療衛生事業に投入する。その中の一部は、すべての国民に恩恵を及ぼす事業に使われる。例えば、全国の1億1000万人の65歳以上のお年寄りに、年に一回、無料の健康診断を行う、子どもには無料で成長発育検査をし、また天然痘や結核、脳炎、百日咳、破傷風、ジフテリアなどのワクチン接種を無料で行う、農村医療共済や都市労働者や住民の医療保険の補助金を毎年引き上げ、2010年までに一人当たり毎年120元に増やす、などである。また、県レベルの病院や郷・鎮の衛生院、村の衛生室の建設や人員養成にも使われる。

新しい医療改革では、都市の「社区」(コミュニティー)の衛生サービスセンターを建設し、よく発生する病気や軽い病気に対する初歩的な診療サービスを「社区」で行い、そこを慢性疾患の管理とリハビリサービスセンターにする。こうすれば、患者が長蛇の列をつくって診察を待っている現在の大病院はプレッシャーが緩和され、医療費は安くなり、「なかなか診てもらえない」問題や「治療費が高すぎる」といった問題が改善されるだろう。

 

人民中国インターネット版

 

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