上海市民 高雲喜さん  
 

 

「エキスポの家」で上海式生活の体験を

 

昨年の北京オリンピック期間中、北京では四合院を「オリンピックの家」として開放し、好評を得た。上海では2010年に万博を迎えるにあたり、外国からの観光客に等身大の中国と中国人を知ってもらうために市民の住宅を「エキスポの家」として開放する。

72歳の高雲喜さんは上海市の静安区四明コミュニティー(社区)に住んでいる。ここは静かな小さなコミュニティーで、まだ20世紀20年代の古い建物、古い通りの味わいが残り、いろんな有名人の逸話が語り継がれ、賑わう南京西路に隣接しているとは思えない静かさが漂う。高さんはここに40年近く住み、家庭を持ち、子どもたちを育てた。今では子どもたちも結婚して出て行き、彼と連れ合いだけがこの古い家に残っている。ここには彼のような老人たちが残る。

「この棟には3戸の家と、合わせてもたった五人がいるだけ、ちょっと寂しいよね」と彼は言う。

2007年から彼と連れ合いはコミュニティーと観光課の協力事業に参加している。外国人旅行者を家に招待して、普通の上海人の日常生活を体験してもらおうというのである。これまでに日本、カナダ、パキスタンなどいくつかの国のお客さんを招いている。2010年の万博の間、彼の家は「エキスポの家」という表札を出して、もっと多くのお客さんを招くつもりである。

お客さんが来ても、彼と連れ合いは特別な準備はせずに、いつも通りにして、「手伝ってもらうとすればコミュニティーの係りの方に野菜を買ってきてもらい、私が台所で得意の上海料理を作るか、彼らに餃子の作り方を教えて上海語でもしゃべるか」と高さんは話す。「でもほんとうに楽しいのは外国の旅行者と世間話をすること。もちろんそばで通訳の方に手伝ってもらわなきゃいけないけれど、お互いこれが何よりでしょう」

「ある時、何人かの日本人旅行者が来た。双方みんな老人だったので、老人の生活の話題で大いにもり上がったことを覚えている。以前は日本の老人の生活レベルは中国に比べて相当高いと思っていたが、彼らの話を聞いてみると、自分の生活とそれほど違いがない」と、高さんは言った。日本の老人は「老人大学」に行くそうだが、彼も老人大学で時事政治科を選択し、彼の連れ合いも声楽と英語を学んでいる。日本の老人はコミュニティーの看護サービスを受けているそうだが、彼らも同じだ。介護の必要な老人はコミュニティーの「托老所(老人ホーム)」に入ってもいいし、自立できる人も毎日「老人食堂」で食事することもできる。毎食1汁4菜(うち1菜は肉料理)でたったの5元。このコミュニティーと協力関係にある華東病院の食堂で作って届けてくれる。「これを聞いた日本のお客は驚いていたね、自分たちが思っていたのとあまりにも違いすぎると言っていた」

外国のお客さんに今の中国の現状を少しでも多く知ってもらえたら、高さんは満足だ。

「エキスポの家」は、外国人旅行者の市民生活を知りたいという声を満足させるため、上海市旅遊委員会が特別に設けた旅行プランである。上海市内の多くのコミュニティーで「エキスポの家」に参画している住宅があるが、もっとも集中しているのがやはり静安区である。まずこの古い洋館や古い小路に来れば保存がいかに行き届いているか分かる。エピソードも多く、例えば張愛玲(アイリーン・チャン)、徐志摩、聶耳などの文化人たちがかつてみなここをこよなく愛した。加えてここには老人が多い。つまり正真正銘の「老上海」というわけだ。普段だってお客さんの相手をする時間がたっぷりある。

今、静安区は10本の特色のある小路と50戸の「エキスポの家」を指定し、お客さんの接待に当てている。どの小路もそれぞれ特色がある。ある小路には上海風の古い建築が多く、あるところは著名人の足跡が残る、あるところは遊芸を主にしている……高さんのいる四明コミュニティーは、伝統的なスポーツ活動を特色としていて、輪回しや羽根蹴り、唐ごま回しなどの伝統的な遊びを体験できる。それぞれの「エキスポの家」に行けば、主人たちはそれぞれ得意とするものがあって、ある人は料理が得意だったり、書画に長けていたり、上海の古い歴史によく通じていたり……とにかく彼らと付き合えば、間違いなく上海の市民生活をもっと深く知ることができる。

 

人民中国インターネット版 2009年10月23日

 

 

 

 
 
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