街角で見上げた航空編隊  
 

劉世昭=文・写真

東便門近くの歩道橋の上に立つ筆者(筆者提供)

10月1日朝、待ちに待った新中国成立60周年祝典がもうすぐ始まろうとしている。すでにこの時、北京の東西の幹線道路である長安街は、交通規制が行われていた。私は家でテレビ中継を見るのに甘んじず、この目で見たいと思って、自転車に乗り、長安街からわずか500メートルほど離れた東便門に向かった。

北京の市民はみんな家でテレビを見ているかと思っていたが、予想外に通りの人や車は多かった。

9時半、私は東便門城楼近くの歩道橋に上がった。

二人の治安管理の民兵以外に、早くからここで待っていた市民が数人いた程度だった。しかし、時間が経つにつれ、歩道橋には、退職した老人、機関のスタッフ、若者、他の省からやってきた農民工、外国人……と次々に多くの人が集まってきた。

10時ちょうど、天安門のほうから、どーんという礼砲の音が聞こえてきた。祝典が始まったのだ。歩道橋の上の人々は、ラジオの生中継番組に耳を傾けたり、携帯電話で番組を見たりしていた。民兵に、空軍の編隊飛行は、東便門を通るかどうか尋ねると、彼らは「11時10分に城楼の上を通過していきます」と言った。

10月1日午前、東便門で航空編隊の飛行機を見上げる人々

20メートルほどの長さの歩道橋には、すでに百人以上が集まっている。みんなカメラのレンズを東のほうに合わせていた。

「来た! 来た!」誰かが高い声で叫んだ。階段に座っていた人たちは一斉に立ち上がった。

11時10分、一機の大型レーダー哨戒機と八機の護衛機が、空にカラースモークをたなびかせながら遠くのほうから飛んできた。歩道橋の上では、歓声が沸き起こり、カメラのシャッター音が鳴り響いた。空軍の編隊は次々に飛んでくる。ある人は、飛行機を見ながら機体の型を識別していた。また、ある母親は、戦闘機に向かって手を振りながら子どもに「飛行機が見てるから、早く手を振りなさい」と言っていた。

東便門の歩道橋の上で東の空を見上げる人々

12の空軍編隊、151機の飛行機が次々に飛び去って行き、カラースモークをたなびかせた最後の五機の訓練機も遠くのほうに行ってしまった。人々は名残惜しそうに自分の「観礼台」から離れていった。

 

人民中国インターネット版 2009年10月

 

 
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