私の先生

王汶婵 南京信息工程大学

 二年前まで三年間、私は南通紡績技術専門学校て服装デザインを専攻した。しかし、自分の専攻を全然好きではなく、時々自分の将来について悩んだ末に。私は日本語を専攻するために、江蘇省の大学転入試験に参加することを決心した。

その時三浦という先生に出会った。

三浦先生が「自分に気持が決まったら、後は頑張るだけ」と私を励まし、手を差し伸べてくださった。当時、三浦先生は平日の授業が忙しく、毎週の週末にも上海へ行って通訳コースを受けていた。忙しいにもかかわらず、毎週の金曜日に私の日本語学習を指導してくださった。先生に甘え、私は全力で試験を準備した。

先生の御陰て、この転入試験に合格したのである。

結果発表の時は初夏の夕方。嬉しくてたまらない私は小鳥のように三浦先生のアパートに飛んでいった。

「先生、私、合格したよ」

夕暮れの中で立っていた先生は私より嬉しい様子で

「本当に、王さん、すごい」とおしゃった。

その日の夕暮れの先生の姿は一生忘れられない。

大学に転入した後、菊埼という親切な先生と出会った。家の祖父みたいな優しい方である。いつも微笑みながら、私の言うこと、好きな男とか、最近流行のことなどをとりとめなく話すと結構喜んで聴いてくださった。先学期のある日、先生と話した時、「岩崎ちひろさんの絵が好きです」

と言ったことがあったが、それから何か月後、もうこのことを忘れていた時、先生は岩崎ちひろの小さな絵の飾りをプレゼントにくださった。

「この間王さんは彼女の絵が好きだって言ってたよね」

すごく感動した。感動したのは先生からいただいたお土産ではなく、先生の心なのだ。数多くの学生の趣味をいちいち覚えることは、先生の生徒たちとこの仕事に対する真心の現れである。

先生たちの生活と仕事に対する真面目な態度にとても感服している。

ある本と読むと、山本七平という評論家は

「日本人の勤労というのは、すなわち仏教で言う成仏ための修行であり、つまり、私欲のない労働の結果とされる」

 これは日本人が「働きバチ」と称される原因であろうが、私が見たのはもっと意義深いことである。先生たちにとって、教師という仕事はただ仕事だけではなく、人生の楽しさの一つである。「羅生門」を教える時の菊埼先生は教師ではなく、

「文学作品の美しさを一緒に楽しみましょう、中の奇妙なことをいっしょに捜そう」  

 と、学生同士みたいである。確かにそうである。先生も私たちの友達みたいに、一緒に勉強して、大学生活を暮らしている。

このごろは論文を書くために宮沢賢治を研究している。裕福な商人の長男として生まれた宮沢賢治は過酷な生活に苦しむ農民に接し、一生を農民にささげることを決意した。東奔西走の日を送っても、彼はきっと楽しかったのだろう。

「東に病気の子供があれば/行って看病してやり

 /西に疲れた母あれば/行ってその稻の束を負い」という詩は、宮沢賢治の心境を描いている。これも生活の信念だろう。

日本語を勉強してもう四年になった。この四年間で知り合った先生たちが教えてくださったのは知識だけではなく、人生に対する態度、人と付き合う方法など山ほどある。他人に親切にしていただいたこと、注意深いこと、特に生活や仕事に対する真面目な態度は、私に深い影響を与えてくださった。これは私の人生の貴重な宝物になる。

創作におけるインスピレーション

日本語専攻の四年生としての私は、今まで日本へ行ったことはありません。私にとって、講義のほかに、一番深い影響を持たらしたのは、日本の先生です。

日本語を勉強してきたこの四年間、何人ものいい先生に出会いました。これら日本の先生が教えてくださったのは知識だけではなく、人生に対する態度、人生と付き合う方法など山ほどあります。だから、「私の先生」というテーマを選びました。

最初に出会った先生は仙台からの三浦先生です。彼女はいつも「好きなことをあきらめないで、頑張っでね」と私を励ました。三浦先生のお蔭て、私は自分の好きな道を選び、日本語を専攻しました。今、三浦先生はもう国へ帰りました。いつか会えるか分かりませんが、きっと、ある日、先生との約束とおり、また会えると信じます。

菊埼先生は今習ている先生です。いつも温厚な微笑を浮かべながら、私に優しい口調で話かけてくれます。豊かな知識を持ち、素敵な先生だと思います。一番感心したことは、菊埼先生はクラスの学生の誕生日をいちいち覚え、その日に「お誕生日おめでとうございます」と言ってくれます。先生の仕事に対する細心と熱心な態度は、私に深い影響を与えました。

中國語には「恩師が忘れられない」という言葉があります。先生たちは授業の先生だけではなく、人生の恩師です。

だから、この文章を書いて、先生たちに「感謝」の気持ちを重ねて表わします。

受賞の感想

月曜日の午後、「人民中國」からの電話をもらいました。私は今度の作文コンテストに優秀賞を取ったとのことでした。

最初は「ウソ」と信じられませんでした。話を聞いた瞬間、ちょっとぼんやりしました。その後、自分の気持ちがどうしても落し着かず、きちんとした返事もできませんでした。

「今の気持ちを一番適切に表す言葉を選びなさい」というなら、「嬉しい」などではなく、「感謝」です。最初にこの作文を書いた時、間違いだらけでした。指導の菊埼先生は何度も直してくださいました。先生のお蔭で、最後に、文法と作文の構造など、色々な所を訂正し、完成しました。先生の真面目な精神に感動しました。

それに、南京情報工程大学日本語学部の孫継強先生も手伝ってくださって、この作文を「人民中國」雑誌社にメールで送ってもらいました。

先生たちにいつもご親切にしていただき、感謝に堪えません。

 

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