美しい島国

康婷 上海交通大学

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「えっ、うそ! 日本はこんなにきれいなの?」

「すごい! すごい! 川の中、魚見えるのよ。」

「本当だ! 結構大きいよね。」

「ああ、紅葉の山、本当に油絵みたい。」

……

帰国したばかりの先生の日本で撮った写真を見ているみんなが騒いでいる。日本のどこへ行ってもその清潔さに感動されると日本で留学している友人の劉さんや日本人から聞いたことはあるが、こんなにきれいだとは思わなかった。

「みなさん、これを見てごらん。」

先生は、騒いでいる私たちに、一枚の紙を見せてくれた。それは、カラー絵とその説明を書いた分かり易い「ゴミの出し方」だ。確かに、劉さんからゴミ出しの話を聞いたことがある。彼女の住んでいるところでは、日、木曜は燃えるごみの日、火曜は燃えないごみの日、金曜は古新聞、瓶や缶などリサイクルごみの日だという。そして、瓶や缶をきれいに洗ってから捨てるとなっているそうだ。先生が見せてくれた「ゴミの出し方」のゴミの出す日にちが、劉さんのところと違うが、ボールペンやおもちゃの分類方、出し方などが細かく書かれたことに驚いた。それを見るだけでも面倒臭い気がするが、日本の方々はそれをしっかり守る。毎日住んでいる寮の清潔さすら保てない私は、その「ゴミの出し方」と素晴らしい自然風景の写真を見れば見るほど、恥ずかしくなると同時に、日本の方々に学びたいとしか言いようがない。

しかし、中国に植林に来られた日本の大学の先生や学生たちから、過去の日本はそうでもないと聞いた。特に、1950年代の終わりから60年代にかけての高度成長時代の日本では、経済上急速な発展を遂げるため、環境を犠牲にし、当時の人々の生活に大きな被害を与えた公害問題が引き起こされたそうだ。高度成長時代に、瀬戸内で暮らしている人々に対して「命の海」である瀬戸内海が「死の海」となったこと、窒素肥料を生産する新日本窒素肥料水俣工場が水銀を含む廃水を処理せずに川や海に排出し、全世界を沸き立たせた熊本水俣病という公害病が発生したこと、また乱獲や開発、農産物の産量を高めるために化学肥料の大量使用により、日本の特別天然記念物と指定された朱鷺の絶滅したことなどは、当時の日本の実態だと言う。

いずれの公害も、環境保護意識の薄弱によるもので、被害者の心身に言葉で表現しきれない苦痛を与えたと同時に、日本の社会、政治、経済などにも過大な被害も与えた。被害を受けた公害発生地の住民たちは、自分たちの健康と安全に暮らす環境を守るために、その対策を求め、「自然保護の会」などを結成した。70年代まで、市民による自然環境保護運動は、やっと「市民権」が得られ、日本政府が環境保護の法律を制定し、発布するようになった。その後、市民団体と政府との共同努力により、日本国民の環境保護意識がますます高まり、子供たちまで日常生活からごみの分類を学び、環境を大事にする習慣を身につけるようになった。という植林団員の話は、私に印象深い。

近年、中国と日本との若者の交流活動の中で、植林活動が目立つようになってきた。日本の学生たちが自費で中国に来て、中国の大学生や若者たちと一緒に、植林により自然環境を改善できる農村地帯で植林する。2004年以来、わが大学の日本語学科の学生は、国際ボランティア学生協会が募集した日本の大学生と「中国黄土高原緑化プロジェクト」に参加し、日本人参加者から日本の環境保護についていろいろと教えてもらった。日本人学生の植林地の自然環境の厳しさに対する驚きや日本の環境の自慢さなど、私はしっかりと覚えている。

ところで、故郷のことを例としてみよう。過去故郷は山あり川ありのいいところだった。春になると、小川の水が流れ、草が芽を出し、花もかわいい姿を見せていた。野原は野菜や花で赤や緑に美しく彩られた。その美しさは言葉で言い表せない。しかし、ここ数年、経済の発展につれて、工場はどんどん建設され、煙突から煙がもうもうと出され、水道から汚れた水も排出された。川はもう黒くなって、魚一匹も見えなくなり、山といっても木一本もなくなる。

もちろん、このような現象は私の故郷に限る事ではない。多くの所でも同じことが発生した。経済の発展は重要だといっても、環境を大切にしなかったら、後始末は大変になってしまう。この点においては、日本人のやり方には、われわれにとって、参考になるところがたくさんあると思う。

ここ数年来、中日双方の努力を経て、中日関係は大きな発展を遂げた。これから、中日両国は環境保護の面においても、手を携えて、多くの交流と協力をいっそう強化していきたいと思う。われわれ両国のたゆまぬ努力によって、中日関係の美しい未来がきり開けるとともに、環境にやさしいことをし、人類の生きる地球ももっときれいになれると信じている。

創作におけるインスピレーション

この作文を書いたきっかけを紹介させていただきます。

今、経済の発展につれて、環境の汚染もひどくなっています。昔の故郷は今とはまったく違う感じで、山あり川ありの町でした。昔の故郷は本当に懐かしいと思っています。大学一年の時、帰国したばかりの先生が日本で取った写真を見せてくれました。「きれい」その一瞬の感動は今でも覚えています。その紅葉の葉っぱの清潔さ、湖の清らかさ、何でも私に感動を与えていました。確かに、日本は先進国であり、経済の発展も進んでいますが、環境保護もそこまでできているのはなぜですか。日本人のやり方には、われわれにとって、参考になる所がたくさんあると思います。これから、中日両国は環境保護の面においても、手を携えて、多くの交流と協力をいっそう強化していきたいと思います。

受賞の感想

今年、再び「笹川杯日本語作文コンクール」の優秀賞を得るのはとてもうれしいです。まずは先生たちのご指導に感謝の気持ちを表したいです。作文コンクールを主催した「人民中国」の編集者お呼び関係者にも感謝したいです。我々日本語学習者にこんないいチャンスをくれて、ありがとうございました。

自分の作文にはまだ不十分なところがあると思って、これからはもっともっと努力します。来年の作文コンクールで、もっと優秀な作文が書けるように頑張ります。

 

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