中日協力によるトキ保護計画

──「人とトキが共生できる地球環境づくりプロジェクト」北京で実施決定文書の交換

 

文=劉玉晨

1月29日、「人とトキが共生できる地球環境づくりプロジェクト」実施決定文書の交換式が北京で挙行された。曲桂林・中国国家林業局国際合作司司長と、山浦信幸・国際協力機構(JICA)中国事務所所長がそれぞれ中日双方の文書に署名し、挨拶を述べた。

中日双方を代表し、文書に署名する曲桂林・中国国家林業局国際合作司司長(左)と、山浦信幸・国際協力機構(JICA)中国事務所所長(右) (写真・劉玉晨)

中日協力による初の野生生物保護をテーマとする技術協力プロジェクト

トキは、世界的に絶滅の危機にある鳥類の一つであり、中国国家一級保護野生動物であり、現在では主に陝西省洋県内に棲息している。トキの大多数は稲田と水田の付近に生息するため、人の生活エリアに近い。ゆえにトキの保護に関しては、トキとその生息地に暮らす住民との調和が重要なポイントとなる。

今回の中国とJICAの協力プロジェクトでは、人とトキの共存調和の道を探ることであり、トキの生存環境を改善し、生存地域を拡大することである。

JICAの紹介によれば、早くは1984年より、中日両国はJICAを通し、渡り鳥、およびアジアを移動する水鳥ネットワーク、キンシコウの保護など多くの領域で協力を行っている。今回、決定実施文書が交わされたプロジェクトは、両国において野生動物保護をテーマとする初の技術協力プロジェクトである。

中日両国間のトキ保護に関する協力

トキは、中日両国の友好の使者といわれる。中日両国間のトキの保護に関する協力は1982年に開始されている。1981年、中国の科学者は、陝西省洋県において、野生のトキ7羽を発見し、その後、政府は迅速に現地にトキ保護観察ステーションと自然保護区を設立し、トキの野生保護と人工飼育に力を注いだ。日本の野生のトキは、2003年に種が絶え、日本におけるトキの飼育と研究を助けるため、中国政府は、1982年日本に3羽のトキを提供した。のち、1998年、2000年、2007年に日本に5羽のトキを提供した。現在、日本のトキは群れの初期段階を形成し、2回の放鳥にも成功している。

陝西省で放鳥されるトキ(JICA提供)

陝西省の民家の近くで巣を作るトキ(JICA提供)

中日両国政府と専門家の絶え間ない努力により、中国の西部では、トキの野外の群れは800羽余りとなり、人工飼育の群れは600羽余りとなる。現在、中国のトキ飼育ステーションは、陝西省洋県から全国4省6地区になる。

式典上、曲桂林・中国国家林業局国際合作司司長と、山浦信幸・国際協力機構(JICA)中国事務所所長は、中日両国の共同の努力のもと、過去の成功経験に基づき、必ずトキの保護作業をさらに推し進め、技術協力プロジェクトは必ず一定の予測される効果を挙げる、と述べた。

 

人民中国インターネット版 2010年2月2日

 

 

 


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