貧しい人や弱者層により関心を 温家宝総理

第11期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の記者会見が14日午前、人民大会堂で行われ、国務院の温家宝総理が李肇星・大会スポークスマンの要請を受け国内外の記者の質問に答えた。

シンガポール「聯合早報」記者:最初の質問は外交と関係する内容ですが、民意の角度からお訊ねしたい。中国経済の成長に伴い、多くの国民が国力に対して自負心が生まれ、社会的な雰囲気が変化してきている。中国は強大になった、国際的にも意気昂然としている。といった一部の国民の声や、やや極端な反応を示す国民の声などがマスコミでたまに報じられているが、こうした民意は中国政府の対外政策にいかほどの影響力をもつか?

また、民生問題についても伺いたいが、政府活動報告の中で、社会の財産という「ケーキ」をうまく分けるには、社会の公正と調和を促進し、人民がより幸福になり、より尊厳ある生活を送る必要があると言及されているが、政府はいかに社会の公正と正義を促進しようとしているのか?中国人民のより幸福な、よりすばらしい、より尊厳ある生活をいかに確保するのか?

温総理:近代以降、中国人民は非常につらい苦しみを受けてきた。このため、われわれは国の独立、主権、領土保全に対し強烈な感情を持っている、われわれの外交政策の基本的な出発点は国益の保護で、もっとも重要なのは主権と領土保全だといえる。当然、われわれの外交方針は国内外の大局を総合的に考慮しなければならない。中華民族はまた友誼を重んじ、信用を守り、尊厳ある民族でもある。われわれに対して友好的な民族を平等に待遇する。世界の文化は多様であり、国の社会制度も異なるが、このことが異国間、異民族間の相互尊重、平等待遇、相互学習を妨げることはない。開放的で包容的な国こそが富み、強くなる、と私はかつてシンガポールで申し上げた。民意については開放と包容の2つをいずれも尊重する必要がある。

中国の発展は経済建設、社会の公平かつ正義、ひとの全面的かつ自由な発展の3つが欠かせない。生産に精力を集中するその根本目的は、日増しに増幅する人々の物質文化のニーズを満たすことにある。社会の公平かつ正義は、社会の安定の基礎になる。公平かつ正義は太陽よりも輝かしいと私は思う。隠すまでもないが、現在、社会には収入分配の不公平、司法の不当など多くの不公平な現象が存在している。これらは全て重視しなければならない問題だ。私はかつて、真の経済学は高尚な倫理学とは切っても切り離せないと話したことがある。つまり、われわれの経済活動や社会の発展は貧しい人や弱者層により関心を寄せるべきなのだ。彼らは社会の多数を占めるのだから。われわれが経済体制改革、政治体制改革、その他の方面の改革を推進する根本目的は、生産力を高め、社会の公平かつ正義を実現すると同時に、一人ひとりに自由で全面的な発展のチャンスがあるようにすることにある。中国の現代化とは、経済の発達だけでなく、社会の公平、正義、道徳の力をも包括するものだ。私の在任中の最後の数年間はこのことに最大の力を尽くしたい。われわれに続く指導者もこの問題により関心をよせると私は信じている。

 

「人民網日本語版」2010年3月15日

 

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