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寒には温を摂る

 

郭冷秋=文

プロフィール
黒龍江中医薬大学、漢方薬薬理教育研究室副主任、医学博士。漢方の食事療法、養生の研究に従事、黒龍江漢方医薬科学技術進歩一等賞を受賞。

24節気は、中国古来からの農業実践の中で生み出された、太陽周年運動を反映した天文と気象の暦法である。中国の歴代の医学や養生の従事者たちは節気の養生を非常に重視し、「天人合一」という養生観を天の時に違わず道に順じて行うという重要な法則とした。

今月号から、各節気の特徴に関連付けて漢方の養生について、郭冷秋教授に語っていただく。

小寒

「闘鶏」は、中国の伝統的な遊び。小寒のころ、南京ではこの遊びで体を鍛える。今では特色あるスポーツになっている(写真・馮進)
毎年、西暦の1月5日前後が24節気の小寒である。24節気の中で一番寒い時期である。「寒さは三九にあり(三九は、真冬のもっとも寒い時。冬至から数えて最初の9日間を『一九』といい、次の9日間を『二九』、その次の9日間を『三九』といい、この27日間をまとめて、『三九』ということもある)」という言い方があるが、「三九」の9日間は正に小寒の節気に重なっている。なぜ「小寒」と言うのかというと、この節気の起源が黄河流域で、当時の状況によって名づけられたまま今日に至っているからである。

小寒になると、南京っ子は普通「菜飯」という料理を食べる。チンゲンサイのような矮脚黄(地元特産の野菜)とスライスした塩漬け肉、ソーセージのスライスあるいはさいの目に切った板鴨(アヒルの塩漬け)の肉、刻み生姜、もち米といっしょに煮て作られたとても美味しい料理である。寒さに負けないよう南京の人々は地域独特のスポーツ、たとえば縄跳びや羽根けり、輪回し、闘鶏(脚闘士ともいう。片足を両手で抱え、互いにひざで押し合う遊び)などで体を鍛える。雪でも降れば、大喜びで雪合戦や雪だるまを作って遊ぶ。全身の血行がよくなり体がすぐに温まる。

伝統的に小寒の時季になると、漢方医や漢方薬売場ももっとも忙しくなる時である。冬に入ったころに作った栄養補給の漢方薬はほぼ使い切って、このころになると春節(旧正月)前後まで使えるように、漢方薬をもう少し補うという人がいるのである。

栄養補給といえば、昔から「三九厳冬の侯に補えば、来年は病痛なし」という言い方がある。

人々は春、夏、秋のほぼ一年の消耗で、臓腑の陰陽の気血が衰え始める。ほどよい栄養補給をすれば、気血津液を補い、厳寒の侵入を抑え、明くる年の病気を予防し、半分の労力で倍の養生効果をあげることができる。

小寒のときは、食と薬とを結びつけて、温の性質をもつ食物で体を暖めて栄養を補給する。よく使われる漢方薬は、朝鮮人参、黄芪、阿膠、冬虫夏草、何首烏、クコ、トウキなど。食によるとすれば、陰陽気血の偏りを見極め、食材の性質と結び付けて、豚肉、羊肉、タウナギ、スッポン、スルメイカ、アサリなどから選ぶ。ほかにもクルミの実、ナツメ、ゴマ、ヤマイモ、蓮の実、ユリ、クリなどがある。

大寒

大寒が近づくと、肉などを塩漬けにし、正月用品の準備に追われる(写真・劉世昭)
大寒は、一年最後の節気である。ふつう、毎年1月20日前後になる。気象の記録では、大寒は小寒期間のような酷寒ではないが、やはり寒冷の時期にある。中国の風俗、とくに農村では毎年大寒には、古いものと新しいものを取替え、肉などを塩漬けにし、正月用品の準備に追われる。清代の『真州竹枝詞引』の記載では、「肉鶏魚鴨を腌する(塩漬けする)、曰く、年肴、煮て歳を迎える…」

大寒の到来によって、冬季の農閑期が終わりに近づく。魚や肉の塩漬けを準備するころは、すでに大地の春の訪れをかすかに感じる。人々の身も心も節気の変化につれて調節すべきである。

養生については、古くから「大寒大寒、防風防寒、朝に人参、黄芪の酒を飲んで、夜に杞菊地黄丸を飲む」という。大寒と立春はつながっている。したがって飲食は小寒を基にするが、多少違ってここでは栄養補給は控えめにする。大寒期間は、風邪など気道の伝染性疾病が増える時期なので、寒気を吹き飛ばす温の性質をもつ食物をとり、風寒邪気の侵入を防ぐべきである。時節の変化に合わせて、春の芽生えに適応した準備をする。ふさわしい食物は紫蘇の葉、生姜、長ネギ、唐辛子、花椒、桂皮など。

 

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