上海万博から見る中国の都市化  
 

 

 

陳言

コラムニスト、『中国新聞週刊』主筆。

1960年に生まれ、1982年に南京大学卒。中日経済関係についての記事、著書が多数。

上海に行けば、万博のシンボル・マークが街の主要な看板に掲載されており、「都市は暮らしをさらに美しくする」(Better City,Better Life)という万博テーマもいろんなところに出ている。

近年の上海住民は、故郷から来た親戚をテレビタワーの東方明珠、中国一高い建物である上海グローバル金融センター(通称「森ビル」)などに案内し、絶え間なく流れている自動車の中からタクシーを呼び、また高速で走る地下鉄に乗り、広々とした人民広場を散策するときには、心の中から上海を誇りに思い、訪ねてくる親戚もまた都会の雰囲気をここに満喫する。

都市化は、その過程をすでに経過した日本にとっては、40年前の大阪万博ごろのことであり、普通の若いサラリーマン、大学生にとって、生まれてから都市化の中におり、とくに都市化の変化をもあまり鋭く感じないのではないか。しかし、上海は、160年の都市発展のなかで、ここ30年は急速にスピードを上げ、1900万近くの人口を持った。1万ドルを超えた一人当たりのGDP、中国の財政収入へは12.5%という貢献度などなど、上海はいろんな意味で中国他の市や省より先行している。とくに一人当たりのGDPだけ見てみると、20年前の1990年に、上海ではやっと1千ドルを超え、20年ではGDPを10倍化した。近代都市への脱皮は、雨後のタケノコのように出てきた高い建物、急速に増えた労働機会、さらに新ビジネス展開への可能性などを意味しているとも言えよう。

都市化は、上海近辺に影響し、さらに内陸部へも波及していく。ヨーロッパ、アメリカでは都市と農村の境がはっきりしない中で、都市と農村はともに発展を成し遂げた。日本では東京、大阪、福岡などの都会が発達して、国の経済をリードした。上海はかつての東京、大阪の役割を果たすのか、また上海の都市化は中国経済でどんな意味、さらにアジアではどのように位置づけするか、今度の万博は、それについての一つの解を出そうとしている。

開放によってもたらされた多様化

もともと上海は第二次アヘン戦争に負けた清王朝が、外国に開放した港の一つであった。今日でも、もと英租界、仏租界、日租界などの面影を依然として街に残しており、受身的に多様化された様相が他の中国都市より深く残っている。

戦後、上海は戦前の受身的な多様化と決別して、外国との経済交流がほとんど途絶えた中で、工業、商業などを他の中国都市より先に発展させた。しかし、それは中国全体の近代工業の形成、近代都市への転換には繋がらなかった。1978年までの上海は、多様化したというよりも、市民生活や経済発展の形式も一律化してしまった。

 外国資本を取り入れ、近代工業体制の導入、都市の再建は、むしろ1978年の改革開放政策の中で行われた。技術導入や多国籍企業の進出によって、鉄鋼素材、家電、IT製品、自動車などは上海から全中国に送り出すようになり、上海の近代工業化はやっと旧式の重化学工業化を乗り越えて確立されていった。 

その過程にはまた多くの外国企業が上海で企業を設立するようになった。上海を中心に発信する『瞭望東方週刊』の報道によると、2009年までの13年間に上海で企業を設立する外国人の数は、13倍も増加した。業種もレストラン、デベロッパーなど多岐に渡っている。

当然多くの中国の若者にとっても上海は事業をする憧れの場となっている。上海の大学を出て、残って仕事をする人、それより何倍も多いその他の市からの転入者は、上海の街に溢れている。ここでは地元の上海方言をしゃべる人より、みんなが共通した標準語を話す人が圧倒的に多くなった。

上海の多様化はこのように対外開放、経済の立て直しなどと関連して形成されたものである。この積極的な都市化モデルは、むしろ中国その他の省や市で複製可能であり、アジアの国々には大きな参考価値があると思われる。

万博から見るグレード上海

上海の都市化は、これからもどんどん進んでいくと思わる。高速鉄道を使用して、2時間では西は南京まで上れ、浙江省の重要な都市である杭州にも行ける。江蘇省の沿海都市である昆山などの都市へはまだ高速鉄道はないが、高速道路では2時間で十分行ける。

2時間交通圏に収められている蘇州、無錫、常州などは、それぞれの工業農業の特色を出しながら、上海との連帯を強め、巨大な工業地域へ変貌していく。蘇州、無錫などの都市化は上海とはかなり異なるが、経済の面でその連帯はますます強くなる。上海が「暮らしを美しくする」ことができるか否かは、2時間交通圏内でのほかの地方都市に大きな影響を与えるものである。

30余年の改革開放のもとで中国の都市化の進捗状況などについては、上海万博ではその集大成を展示するものであろう。さらに30年先の都市での暮らしについて中国ではどんな思いを込めているか、これも上海万博から垣見することができるだろうと思われる。

 

 

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