出発、上海へ  
 

文=岡田紘幸 写真=和田英士

作者
中国語は全く話せぬまま、上海へ飛び込む。期間限定の半年間、気持ちは「万博へ留学」である。

上海に初めて来たのは、昨年の2月だ。その時の一人旅が、初の中国。関わり出して、まだ1年ほど。仕事の出張ではない。中国に興味があって、この1年で6回は上海と北京に足を運んだ。興味だけで、今までに留学の経験もない。

中国に興味を持ったのは、大学時代に台湾料理店のバイトで、中国人と同じ時間を過ごしたことがきっかけ。この時は、中国へ行く勇気はなく、いつか機会があれば中国へ行きたいと思った程度だ。

社会に出た私はこれまで、愛知県の名古屋で企業やNPOの文章を書く仕事に携わってきた。時には、地域で活躍する大人を取材し、主に若年層へプラス面のメッセージを送ってきた。しかし、この数年は燃える思いが薄れていくように感じていた。

社会人生活も故郷の名古屋で過ごし、このままでは中国どころか名古屋を離れて学ぶチャンスがないことに気付いた。

「20代の今のうち、キャリアを積み、次にチャレンジしていく道はないか」

そして今回、名古屋を飛び出し、上海へ渡る。どうなることやら、一番楽しみなのは自分だ。

準備の状況といえば、これからだ。本業も継続して行うため、思った以上に準備は進まない。愛用して使い続けたICレコーダー(取材時の記録に)やデジタルカメラは、週末に新しく購入を予定。

持ち物チェック!

「ペン・ノート」:アナログだが、取材には定番の持ち物。取材以外にも、普段からペンは持参し、ふと何かアイデアや文章が浮かんだら、すぐにノートか紙に書き込むようにしている。

「ノートパソコン」:原稿を書くためには必需品。先日、買い替えて気分を新たにする。

旅の雑誌を読みながら、生活用品を少しずつ買い揃えていく。先日、中国に留学経験のある日中交流メンバーに相談したら、「女みたいだ」と笑われた。

「そんなこと、現地に行けば何とでもなるよ。他にやることあるでしょ?」

いやいや、簡単に言うけど。ここで、ふと私は考えを改めた。

それでオッケー。なぜなら、これが上海に滞在しようとしている人の、ひとつの本音だから。中国に慣れた人には、初めて中国で生活する当時の心境が思い出せないだろう。また、例えるなら、初恋の思い出は懐かしくても、今は当時のドキドキ感は再現できない。私は初の上海滞在で、そのリアルな体験を書きたいと思う。

持ち物チェック! 

 

「折り紙」 :2005年の愛知万博時をヒントに今回、知人に頼み制作。日中交流団体の文化交流の一環。千羽鶴のように千個折って、万博の成功を祈願する。折り方は簡単だ。(制作協力・有限会社ドリームベイン)

さて今回、共同生活をする。万博期間中の宿を提供してもらえることになった。その宿の主、青代道子さんは愛知県出身の25歳。今回、上海万博に出店して、ライスバーガーなどの日本食を提供するブースを展開する挑戦者だ。

今後、上海万博の現地取材、語学勉強、飲食店ブースの文章作成サポート、現地の日本人コミュニティへの参加や仲間づくり、文章のスキルアップ、など…やりたいことは数多い。

万博で何を得て、どんな出会いが待ち受けているのだろうか。めまぐるしく変化していく今の上海、それを史上最大の万博時期に肌で感じられるという経験はそうあることではない。

経済成長とともに変化し続ける上海に魅せられて、世界中から人が集まるのだ。私もその1人。初めての海外生活、上海でもがく半年間を、皆さんに届けたい。万博で頑張る日本人の姿も追い求めながら。

上海へ、出発。

 

人民中国インターネット版 2010年4月23日

 

 
 
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