オランダ館: 近未来のストリート文化  
 

霊子=文

ここは一本の道である。あなたはここからいかなる場所に通じることができる。

それは中国水墨画の境地の、あのように遥か遠い道のようである。ロマンチックな建築のパビリオンに吸い込まれるだろう。

活発な想像力は社会環境の寛容さに由来する。オランダでは、ひとつの重要な原則である。二O一O年の上海万博上で、オランダ人は一本の長い四百メートルの八の字型のストリートで、完全に開かれた社会を体現した。明るく輝いた色彩と飛び回る模型はオランダ館の面積を最大に占めており、来場者の目を奪う。

この町を手がけたのはオランダ人設計士ジョン・クルメリング(John Körmeling)だ。彼の心にある理想的な都市、その大通り沿いには住宅、商業と工業活動を規則的に整然と並べ、発展のイメージをつくりあげている。クルメリングの設計は、常に住みよい家と環境保護、さらには人間的な都市発展の前衛を願っているオランダ人をパビリオンであらわすことを望んでいる。

「ハッピーストリート」すなわち、ひとつの理想的な都市をミニチュアで表現した未来図。入り口には二大スクリーンがあり、リアルタイム放送でオランダの発生している光景と特色のある風景、アムステルダムの市立公園、ザーンセ・スカンスの古い風車村、ロッテルダムの優美な海岸線などを視聴できる。 ストリートにある二十八の独立した小さな家は、住居、レストラン、商店、工場など機能を演出している。まるでビジネスの発展が空へと続いていく道を描いているようだ。 

ここは世界的に著名な設計士ピート・ヘイン・イーク(Piet Hein Eek)のリサイクル素材を利用した部屋である。水を有効利用し、有機性廃棄物と太陽の光が有機食品を栽培し、フィリップの小さい農場の家庭を情感を込めてつくりあげた。ヴィクター&ロルフ(Viktor & Rolf)が手を施したスワロフスキーのこの上なく豪華で精巧な紅いドレスは、ASML会社生産の世界最小チップである。もっとも先進的な浄化水装置もある。さらには速度百四十五キロの高速の太陽エネルギーの自動車、摂氏千二百度の高温の消防服など・・・

「ハッピーストリート」の両側に太陽をさえぎるオレンジ色の日傘があり、その上にはすべてハイテクの上塗りと太陽エネルギーの電池板があり、日光を吸収し、転化して展示館が使用する電気エネルギーを供給することができる。これらはみな強烈なメッセージを伝えている。オランダは十七世紀に世界の覇者の地位を得た後、没落することなく、さらに創造力により、再び近代化する強国に並んだ。  

「私たちはオランダ館が観光客方に、このような印象を残していただけることを望んでおります。:ここで見るそれぞれの措置は、すべて生活の中で応用することができるならば、都市の生活はさらに心地良くてすばらしいものになります。」オランダ館総代表(Walter van Weelden)の言葉である。 

「革新はオランダ人がもっとも優れている」オランダ館の対外宣伝する材料の上で重点的にこのようなひとつの概念を突き出した。「ある種の意義の上からいえば、オランダ人はとてもおもしろい民族だ。他国の民族が人々に対して自国を紹介することが好きで、私たちの国がどれだけ豊かだと言っても、オランダ人はいたる国の人々に、私たちの国はあまりに小さいと言うことが好きなのだ。三万数平方キロの国土はどうして私たちに誇りとさせるのか?なぜ、長く科学技術、都市化のトップの地位を維持することができるのか?それは、ひそかに私たちがたえず革新に力を尽くしていることにある。」

 それぞれの小さなパビリオンはすべて扉がなく、窓だけあり、来場者は中に入り自由に見学できない。クルメリングよると、開放的なオランダを体現したそうだ。彼は摩天楼のような贅沢な景観は好きではなく、都市と人の微妙な関係についてとても興味をもっている。「ここは一本の道である。あなたはここからいかなる場所に通じることができる。それは中国水墨画の境地の、あのように遥か遠い道のようである。ロマンチックな建築のパビリオンに吸い込まれるだろう」。クルメリングは語る「私は来場者がすべてのパビリオンを見学し、このストリート歩き、オランダの独特な魅力を受け入れることにより、シンプルで本当の幸せを感じていただける。」

クルメリング氏へのインタビュー

――設計の初期、オランダ館にどのような願いをこめていましたか?

私はオランダ館の設計を通じて、万博のテーマに相応する「より良い都市、より良い生活」を願い、美しい都市と生活はどうあるべきか?を考え、ストリートスタイルに思いをこめることにたどり着きました。

――テーマとしてなぜ「ハッピーストリート」を選びましたか?あなたはこのようなデザインを通してどのような思いを届けたいですか?

オランダ館は「ハッピーストリート」と呼びます。公式テーマは「水」。なぜオランダ館には水タンクがあると思いますか?水を貯水し、浄化しているのです。しかし、この考えは実はそんなに重要ではありません。大切なのは建設したパビリオンです。私たちの建築設計士は非常にすばらしい、巧みな鉄骨構造を通じてアイデアを実現しています。

――オランダ館の建設途中で印象に残るエピソードはありますか?また、困難に出会ったことはありましたか?それはどのように解決しましたか?

中国の建設労働者はとてもすばらしい。私は中国語を話すことができないが、彼らは私の意思を理解することができる。たとえば、このようにして下さいと伝えれば、彼らはしっかりと要求を受け入れ建設する。その後も、変更がある時には自ら手直しをおこない、実現してくれます。

――あなたからご覧になって、オランダ館のもっとも特色ある場所はどの部分ですか? また、来場者にパビリオン内でどのような体験することを望みますか?

オランダ館はひとつの扉もない開放的なパビリオンです。慌てて通り過ぎず、すこし立ち止まってください。空いたスペースに座り、綿密につくりあげた珍しい建築物を見ていただきたいと思います。

――より良い都市、より良い生活は、どんな要素を備えるべきだとお考えですか?

私にとっては、シンプルがとてもすばらしいことです。

――オランダは二O一O年の万博で紹介することにより、オランダ文化と価値観を理解させたいのでしょうか?オランダ館の建物は、この核心の価値観をどのように体現しているのでしょうか?

道はいかなる場所に通じることができます。それは中国水墨画の境地のように遥か遠い道のようです。来場者はロマンチックな建築のパビリオンに吸い込まれるでしょう。このストリートを歩き、パビリオンごとにオランダの独特な魅力を受け入れていただき、私たちのシンプルで本当の幸せを感じていただきたいと思います。

 

人民中国インターネット版 2010年5月25日

 

 
 
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