山西館 時代を切り拓く精神で  
 

龔海瑩=文

輝かしい文化遺産、この上なく精巧で美しい古代建築、有名な山や川、塩湖や炭田を擁する中国の山西省は中華文明の発祥地の一つである。万博会期中、山西省はどのような様相、どのような未来を展示するのだろうか。山西館に足を運べば、そのすべての答えをご覧いただくことができる。

 山西館は文明とエネルギーの二つの主要テーマをめぐり、山西の豊かで長い歴史と現在、そして未来への展望を立体的に展示する。館内は「人文・都市の道、エネルギー・都市の光、調和・都市の夢」の三つのエリアに分けられ、都市の発展の道筋に沿って、山西の歴史と人文、エネルギー関連の科学技術、調和のとれた未来が展示されている。

山西省の三大ハイライト

天下一品の名酒――汾酒

第一エリアと第二エリアを結ぶ通路にはショーウィンドーが設けられていて独特な形をした汾酒のボトルが並んでいる。汾酒のもとの名は「汾清」で、2000余年前に醸造酒として発祥し、1400余年前の文献にすでに「汾清」の記載がある。汾酒の醸造・蒸留技術は完璧で、中国の名酒として世界中に知られている。国家档案(公文書)館には1916年にパナマで開かれた太平洋博覧会に出展された歴史を記載する資料が今も保管されている。

みごとな書体――魏碑体

館の入り口にあたる中国独特の門楼(装飾的屋根のある門)には「山西」の大きな二文字を掲げた額がある。館内の舞台の両そでには「鶯歌燕舞 盛世を謳い、銅琶鉄板 神州を震わす」の対聯が掲げられている。また入り口を入って目隠しの壁には「園は五洲の賓客を聚め、館には三晋の文明を蔵す」と刻まれている。いずれも魏碑体で書いたものだ。

魏碑体は北魏時代に平城(現在の山西省大同市)で興り、政治や宗教、歴史、文化の移り変わりに伴って形成・発展し、儒教、仏教、道教という中国の伝統文化に根を深く下ろし、きわめて高い美学的価値を持っている。後世の書道に与えた大きな影響は計り知れない。

レンガの彫刻――磚彫

館内では、三種類の山西色の濃い彫刻芸術――木彫り、レンガ彫、石彫を目にすることができる。そのなかでも、レンガ彫にはきっと目を見はることだろう。大規模で重厚、古風で多様な山西の大住宅を飾る、レンガ彫芸術は灰色のレンガをもっとも完璧で美しい独特の美の世界に変えている。

山西館の出口には精巧で美しいレンガ彫の鴨居がある。ここには石の彫刻芸術を通して山西商人の豪気な精神が時空を超えて再現されている。また門楼の上に刻まれた龍や鳳凰の吉祥文様は、山西の人々の豊かで、繁栄し調和のとれた新しい山西をつくり上げようとする気高い精神を反映している。

 

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