緑茶の意外な活用法  
 

文=ゆうこ イラスト=tama 監修=徐光

前回は旅行中に、中国初の献上茶である「陽羨雪芽」(ようせんせつが)と今年の新茶である「太平猴魁」(たいへいこうかい)を飲んだのですが、これは二つとも緑茶類でした。緑茶にすっかり魅せられてしまった私、もっと緑茶について知りたいっ! ということで、茶芸館のお茶の先生にお願いして、緑茶の知識をもっと「定着」させるべくいろいろと教えていただくことにしました。今日は緑茶の有名どころについてのお話です。

私たち日本人が一番よく知っている中国の緑茶と言えば、龍井(ロンジン)茶でしょうね。龍井茶は、中国の十大名茶に数えられるだけでなく、知名度が一番高い緑茶でもあります。浙江省の杭州市にある西湖一帯が生産地で、上海からだと、特急列車で、約一時間半で着いてしまいます。168平方メートルもの広さがある西湖一帯の土地で栽培されているお茶は「西湖龍井」と呼ばれますが、その他にも「銭塘龍井」や「越州龍井」という龍井茶もあり、これらはまとめて「浙江龍井茶」と呼ばれています。

 龍井とは、西湖の西側にある泉の名前です。干ばつが続いてもこの泉だけは水が枯れなかったので、昔の人は、この泉には龍が住んでいて、海に通じているのだ、と考えていたそうです。だから、「龍井」という名前がついて、この龍井の近くで採れたお茶だから龍井茶という名前がついたわけですよね。

龍井茶はどうしてこんなに有名なんでしょう? 実は味がいいからという理由だけじゃないんです。いわゆる「有名人効果」です。その有名人は誰かというと、なんと皇帝なのです。

時は清朝、第六代皇帝の乾隆帝が、江南地方を巡幸した際に、杭州龍井の獅峰山を訪れ、お茶の摘み方を習っていたそうです。ようやく一握りほどの茶葉を摘んだところで、「皇太后さまがご病気です。すぐに都にお帰りください」との知らせが入ったのでした。急いで都に戻った乾隆帝の手には、乾燥した杭州の茶葉が握られていました。皇太后が、その茶葉がどんな味なのか飲んでみたいというので、飲ませたところ、みるみるうちに、目はすっきりと冴えわたり、体が楽になってきて、お茶を飲み終える頃には、苦しかったお腹の張りもなくなっていたのでした。「まるで仙薬のようによく効くお茶じゃ!」と皇太后はたいそう喜んだといいます。そこで、乾隆帝は、杭州龍井の獅峰山のふもとにある、胡公廟の前の十八本の茶樹を、献上茶として封じ、毎年新茶を摘ませて、皇太后に献上させたのでした。こうして、龍井茶の名前は天下に知れわたるようになったのです。

有名なお茶がもう一つ。六安瓜片(ろくあんかへん)という名前のお茶です。安徽省の六安市で栽培されているお茶で、こちらも十大名茶の一つなんです。その上、中国の無形文化遺産に指定されているといいますから、すごいお茶です。

それに、この六安瓜片も有名人の加護を受けたお茶なんですよ。清朝末期、かの有名な西太后は、食事のおりに、一カ月に必ず十四両(七百グラム)の六安瓜片を用意するようにと定めていたそうです。一九七二年、周恩来総理が訪中した田中角栄首相を中国の茅台酒でもてなし、日中友好に一役買った話は有名ですよね。実はこのお茶も一役買ったことがあるのです。その一年前の1971年、米国の元国務長官キッシンジャー氏が当時のニクソン大統領の特使として初めて中国を訪れたおりに、周恩来総理は、この六安瓜片を贈ったのです。 この時の訪中が、中国と米国の関係を大きく前に進めたのでした。

ですが、せっかくなので、「中国の十大名茶」の残りのお茶も挙げておきましょう。

洞庭碧螺春(どうていピロチュン)、黄山毛峰(こうざんもうほう)、盧山雲霧茶(ろざんうんむちゃ)、君山銀針(くんざんぎんしん)、信陽毛尖(しんようもうせん)、武夷岩茶(ぶいがんちゃ)、安渓鉄観音(あんけいてっかんのん)、祁門紅茶(キーマンこうちゃ)の八つです。ここには緑茶だけではなく、紅茶や烏龍茶も含まれています。茶芸館の先生いわく、中国茶には、さらに白茶(しろちゃ・バイチャア)、黒茶(くろちゃ・ヘイチャア)、黄茶(きいちゃ・ホァンチャア)などのお茶の種類があるらしいのです。これは、お茶の名前じゃなくて種類なんですが、なんとも中国茶は奥が深いですね。さて今度はどんな珍品に出会えるんでしょう? まだまだ続く上海旅行! とっても楽しみです。

    六安瓜片
主要産地:安徽省六安市
分類:緑茶類
参考価格:500グラム約2000元

   西湖龍井

主要産地:浙江省杭州市
分類:緑茶類
参考価格:500グラム約2000元

 

人民中国インターネット版 2010年6月3日

 

 
 
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