記者が選んだ十大エキサイティング・パビリオン  
 

董彦=文

一歩に一景色、一館に一世界。

いつの時代も万博はさまざまな特色を持つパビリオンの「オンパレード」である。ロンドンのクリスタルパレスからベルギ-・ブリュッセルのアトミウムまで・・・・・・ パビリオンはそれぞれの時代の先駆的な実験の色彩をもち、異なる国や異なる民族の文明と文化を反映してきた。

2010年、上海万博の「シーシェル」、「オルゴール」「白色の氷の壷」「籐づるのかご」・・・・・・ 名称も造形もさまざまな各国の建築群は、あなたにどんな強い印象を与えるだろう。開幕から一ヶ月の時点で、記者はさまざまな情報に基づいて、あなたに足を運んでほしい十大パビリオンを選び出してみた。「上海」に居ながらにして「世界」を遊覧し、ぜひエキサイティングな体験をしていただきたい。

 

中国館 「千人」が登場する北宋時代の一大絵巻

北宋の都、開封の賑わいを描いた有名な「清明上河図」絵巻が原画の三十倍に拡大されただけではなく、絵巻の全体を十分間でスクリーンに動画として映し出す。この間、人々の動きは決して重複しない。昼と夜の光景に分かれ、登場人物は昼は六九一人、夜は三七七人。北宋時代の都がいきいきと再現される。 関心度:主催国の国家館だけにひときわ注目を浴びている。五月一日に正式に開館し、テスト運営が始まったが、来場者はすぐに収容限度の四.五万人に達した。五月四日、イベントなどの活動がない最初の通常日にもかかわらず、五万枚の整理券は九時の配布開始から、わずか十五分間でなくなってしまった。

 

サウジアラビア館 バスケットコート二面分のIMAX3Dスクリーン

サウジアラビア館の最上階には百四十メートルの長さの環状の道があり、IMAXスクリーンの面積は千六百平方メートル、バスケットコート二面分に相当する。来場者はこの道に沿って歩き、「歩くことで景色が移り変わり」、十五分間の海上の旅を「心ゆくまで楽しむ」

関心度:Aエリアに位置する、サウジアラビア館は会場内で中国館に次ぐ第二の広大なパビリオン。ピーク時には、「海上シルクロードを行く船の旅」に出かけるため五、六時間は並ばなければならない。

 

日本館 生命体のように呼吸する建物内で

これまで万博に出展された日本館の中でも最大規模の大きさだ。その外形は、まるで黄浦江岸に紫色の蚕が横たわっているかのようだ。それは躍動感あふれる「生命体のように呼吸する建築」と呼ばれる「紫蚕島」。日本館のテーマは「こころの和・わざの和」で、心と知識のつながりを通して、地球の環境悪化とエコロジカルバランス崩壊など問題に正面から取り組む日本の先進技術を一堂に展示している。

関心度:三時間並び、一時間かけて館内を堪能する。面積六千平方メートルの館内には四十あまりの最新先端技術の展示品が並び、上海万博会場内で高い人気を誇る。

 

ドイツ館 科学技術の粋を集めた巨大LED球体

ドイツ館の三階中央にはひとつの巨大なLED球体がぶらさがっている。それは来場者の喝采や拍手の音に従って旋回する。優れた音声コントロールの技術はドイツの科学者たちが一年半の入念な研究によって開発したもの。

関心度:万博の開幕以来、ドイツ館入口にはいく筋もの蛇行する来場者の列がつくられた。ある時は、ドイツ館を半分とり囲んで、遠くポーランド館近くまでその長い列が続いたほど。ドイツ館のスタッフやボランティアたちが何度となく説得しても、列に並ぶ人の数がいっこうに減らないのはその素晴らしい魅力の証しでもあることがわかる。

 

フランス館 至宝までの距離は一メートル未満

フランス館は、オルセー美術館から、総額五億ユーロを超える「世界美術の至宝七点」を展示する。ロダンの彫刻「青銅の時代」、ミレーの油絵「晩鐘」、マネの油絵「ベランダ」など。来場者はこれらの世界の至宝を一メートル未満の距離で見学することができる。

関心度:開幕以来、フランス館は来場者たちが「大いに持ち上げる」パビリオンのひとつだ。入口のスタッフが「入場まで少なくとも四時間は並ばなければなりませんよ」とアドバイスしても長い列の最後尾に並ぶ人の数は少しも減らない。

 

イタリア館 ブランド品に身を包んだ巨大なマネキンたち

イタリアのファッションブランドはその名を世界に馳せている。パビリオン内には世界トップクラスのブランド、ドルチェ&ガッバーナ、ベルサーチ、プラダとゼニア四ブランドのファッションに身を包んだ三.五メートルの高さの巨大マネキンが並びその周囲を十二体の等身大のマネキンが囲む。それぞれが輝きを放ち、イタリア人の「生活を楽しむ」明るい雰囲気が表現されている。

関心度:イタリア館は開幕からの三日間ですでに見学者十万人を受け入れ、この期間の総入場人数56.26万人の17.77パーセントを占めた。ここでは、「もっとも美しい中で、さらに美しく、素晴らしい中でもさらに素晴らしい」展示をあなたは享受するに違いない。

 

アメリカ館 現代の都市によみがえるメルヘンの世界

「想像力豊かでしっかり者の少女が廃墟で一人美しい花園を想像していると・・・・・・」物語は五棟のビルの外壁面にしつらえられた五つの大型スクリーンに投影される。スクリーンの高さは三十数フィート。スクリーン上に想像力をかきたてる様々な映像が次々とあらわれ、見る者をメルヘンの世界に誘う。

関心度:五月三日の午前、アメリカ館は「二匹の虎」という中国の童謡を歌うなど「中国式」のやり方で来館者を出迎えた。一日の人場者はおよそ3.5万人、入館後には三時間半ほどが必要だ。

 

スイス館 屋上にはアルプスのケーブルカーも

スイス館の「目玉」はパビリオン屋上のお花畑を「見下ろせる」アルプスのケーブルカーだ。スイスの風景を「見下ろし」ながら、スイスの人々が自然を心から愛し、生活を享受する姿を垣間見ることができ、楽しいひと時をすごせる。

関心度:開館後、7600人が列をなし並ぶ人の数が一時1位を占めていたほどだ。パビリオン内にはスイス料理のレストランがあり、ほぼ連日超満員で、来場者の評価もきわめて高い。

 

メキシコ館 神秘的なマヤ文明の「巨大な宝物」

メキシコ館に展示された巨大な謎の「マヤストーン」は、2000余年以上前のものでマヤ文字と「鳥人」の図形が刻まれている。マヤ文明を築いた人々が当時宇宙や宇宙飛行に対して、現代人も解釈しにくい問題に優れた見解を持っていたことが想像できて興味津津だ。

関心度:ほかのパビリオンと違って、メキシコ館は今回の万博会場内では唯一、主建造物が地下につくられている。正門は神秘の世界への入口だ。地下通路の先ではマヤ文明遺跡の「巨大な宝物」があなたをお迎えする。

 

都市地球館 「ブループラネット」を見ながら都市の声を聞く

テーマ館である都市地球館には、直径百メートルに近い巨大な「ブループラネット」がある。広大な海から砂塵舞う砂漠、緑の波のような段々畑、真っ白な雪をかぶった氷河・・・・・・。大自然の移り変わりは私たちが地球を見下ろし、星空を見上げ、未来を深く考えるよう促す。見学を通じてわたしたちの知恵が啓発され、大きな衝撃を受ける。

関心度:もしあなたに十分な時間がありゆっくりと綿密に見学したいならば、都市地球館に足を運んでほしい。ここでは次のような都市の声を聞くことができるだろう。――― ここには生命があり、それが住む者の生活をより美しくさせるのだと。

 

人民中国インターネット版 2010年6月10日

 

 
 
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