街でも高まる万博パワー  
 

岡田紘幸=文・写真

作者
万博開幕から約一カ月が過ぎた。心配された来場者数も、ここ数日はうなぎ昇りで(五月下旬段階)、驚くばかりだ。「開幕時期に人が押し寄せる」と、中国でも日本でも騒がれていたのに、当初は予想ほどではなく、尻上がりに来場者数が増加。なんだか愛知万博と同じ状況で、どれも愛知の時よりは速いペースだ。もしこのまま増え続けたら会場がパンクしそうで、かえってこわい。

いま、上海のパワーを感じずにはいられない。先日は、ネットを通じて知り合った上海在住の同じ歳ごろの日本人が集う交流会に参加。いずれも上海に縁があってやって来た若者たちで、個性的かつ男女ともにエネルギッシュな印象を受けた。これは今まで、日本にいては体感できなかったことだ。万博にかかわることで、マンパワーも増してくるのだろうか。

6月12日はジャパンデー、この日からジャパンウィークがスタートする。マスコミでは13日のSMAP海外初公演が話題の中心だが、催し物は他にもたくさん行われる(日本館公式HPに記載あり)。愛知からは、愛知万博時のファン数十人がツアーを組んで、ジャパンデーに合わせて来場するようだ。その様子は後日、改めてお伝えしたい。

万博期間に合わせ、愛知から出店のため上海に乗り込んだ二十代女性たちがいる。さて、どんな状況になっているのか。

万博開幕前に飲食ブースを開店するはずが、フードコート全体の準備遅れによって、開幕後の五月八日に正式オープン。店の場所は、万博の管轄内ではあるが、会場内ではなく、浦東新区の地下鉄2号線「上海科技館」の近く。万博会場の周辺と比べれば、いささか不便だ。このエリアの認知はまだまだで、お客さんの出足も悪く、加えて中国ならではの事情もあり、頭を悩ませている様子もうかがえた。

しかし、話を聞いてみると、日本や上海で応援してくれる人、協賛してくれる人、刺激を与えてくれる人……、多くの人に支えられながら、彼女たちは「愛知から上海へ」架け橋の確かな一歩を踏み出している。代表の青代道子さんに聞いた。

「夢ですか? いっぱいありますけど、いま一番かなえたいのは、どこの万博関係ブースにも負けないくらい店を最高に楽しく盛り上げて、日本食や文化を紹介することですね」

日本では考えられない、多くの理不尽な状況が起こりながらも、次なる展開を考えて日本の若者は前へ進む。まだ万博は始まったばかり、挑戦は続く。最近では主力商品のライスサンドに改良を重ね、夏に向けてシャーベット状の飲み物も販売開始。中国は何が起こるかわからない、そしてこの店も。そんな無限の可能性を秘めていて、今後の活躍が楽しみだ。

今回は私自身のことにも触れさせていただきたい。一時帰国はしたものの、上海に滞在して一カ月ほど経過。中国語習得への道は非常に険しいが、生活にはだいぶ慣れてきた。ただ、今の一番の心配事は、真夏前なのに上海は暑いこと。故郷の名古屋も、日本では有名な猛暑地域だが、上海はそれ以上と聞く。初めて上海の夏を迎える私にとって、暑さ対策は必須だろう。

日本人としての誇りや感覚を忘れず、上海で刺激を受けて、よい部分を吸収することで、万博閉幕後の十一月には強くたくましく成長し、日本へ堂々と帰国してなければ、と心に誓った。(つづく)

 

人民中国インターネット版 2010年6月11日

 

 
 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850