人、都市、環境 共生のあり方  
 

――上海万博テーマ演出部・季部長インタビュー

沈暁寧 王浩=聞き手

1999年から今年まで、上海万博テーマ演出部の季路徳部長はすでに万博局で11年間を働いている。開催申請から企画実施、さらに開幕まで、季部長は重要な役割を果たした。一方、テーマ演出部の部長として、「より良い都市、より良い生活」というテーマをよく理解している。上海万博のメインテーマについて、季部長に話をうかがった。

海万博テーマ演出部の季路徳部長(写真=王浩)

――「より良い都市、より良い生活」という上海万博のメインテーマはどんな経緯を経て誕生したのですか。

季 このテーマは1999年から2000年の間に決められました。そのとき、いろいろな案を考えたが、人の注目をひきつける一方、真新しいアイディアでなければなりません。矛盾しそうな二つの要件を満たすように、確かに苦労しました。結果、私たちは中国、ないし世界が直面している都市化問題に焦点を当てました。1999年11月、「より良い都市、より良い生活」というテーマ案を博覧会国際事務局に提出した後、主席や多くの方々の賛同を受けました。

――このテーマを通じて、中国は世界に向けてどんなことを発信したいのですか。

季 都市化における最大の問題は人の問題といえるでしょう。そこには、人と人、人と居住空間、人と自然環境の間の軋轢があります。私たちが発信したいのは、人、都市、環境三者の調和のとれた共生です。

――中国にとって、このテーマはどんな現実的な意義を持っていますか。

季 都市化は世界各国の共通課題であり、中国において特に大きな意義があると思います。1979年の「改革・開放」から、中国の都市化は着実に進み、三十数年来、3億人以上の農民が土地から解放され、都市に入って働き、生活するようになりました。ある米国の方は、中国の都市化は世界の発展に貢献できると言いましたが、私はこの意見に賛同します。もちろん、私たちは都市化を進める中、汚染や都市管理の立ち遅れなどの社会問題もありますが、これまでの歴史を振り返ると、中国の都市化は成功したといえるでしょう。

そして、五千年以来、中国は都市の発展を通じて、優れた知恵を積み重ねてきました。私たちはいかにしてその知恵を中国の都市化に活用するかを検討しなければなりません。

中華民族の知恵は古来より、「人間本位」の社会発展と調和のとれた発展を強調しています。人間は居住問題の解決において、環境に順応し、自然の摂理に従うべきです。自然から資源をもらっている人類は、適量で持続可能な獲得の方法を考えなければなりません。

――それでは、今回の万博ではいかにして、来場者にそのテーマを感じてもらいますか。

季 まず、万博会場のテーマ館でテーマを説明します。たとえば、都市人間館は平凡ながら健康的な暮らしを提唱します。都市生命館はわれわれの街を愛し、保護するように呼びかけます。都市プラネット館は、かけがえのない地球を保護すべきだと伝えています。

上海万博では、先進国であろうと、発展途上国であろうと関係なく、世界各国から来ては「より良い都市、より良い生活」に対する自分なりの考え方をそれぞれのパビリオンで見せています。社会発展のレベルが違い、直面する都市問題も多様であるため、各国のその問題への理解も千差万別であることは強調しておきたいです。

万博会期中、展示のほか、多数のフォーラムやイベントを行い、権威ある方に専門的視点から万博のテーマを解読してもらい、世界中の都市の発展における共通点を検討する予定です。上海万博のテーマ演出は展示フォーラム、イベントという三つの部分から構成されています。

――「より良い都市、より良い生活」というテーマは上海万博の開催によって、世界の発展にどんな影響をもたらすでしょうか?

季 このテーマは実は一つの願いです。全世界が都市化する中で、人々は自らの暮らしがよりよくなるように願っているのです。上海万博はこの願いのために、国際的交流を通して人々の考えを喚起するプラットフォームを提供しました。上海万博が終わった後、人々は共同の認識を達成し、人、都市、環境の調和的発展に有利な『上海宣言』ができ、全世界の都市化する過程で一里塚のような役割を果たすことができればいいですね。

 

人民中国インターネット版 2010年6月18日

 

 
 
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