都市人館 ── 六つの家庭の物語  
 

米国の家庭の蝋人形

ブラジルの家庭の蝋人形

米国・フェニックスのレイドさん一家、オランダ・ロッテルダムのカリム・エジョアさん、ガーナ・グレーターアクラ州テマ市のハガンさん一家、ブラジル・サンパウロのサントスさん一家、オーストラリア・メルボルンのチャヴァレラさん一家、そして中国河南省鄭州市の趙さん一家。六大陸でそれぞれ暮らすこの六つの家庭は遠く離れているが、リアルな映像を通じて上海万博のテーマ館の一つである都市人館でこのたび一堂に会することになる。

都市人館は、都市と人間の関係を私たちに教えてくれる。人間と都市の関係は私たちが絶えず追究してきた人類的テーマの一つだ。人類社会の進化発展において、都市は私たちにより多くの就業機会、商品、情報などを提供し、その結果、より多くの人々を絶えず都市へとひきつける。一方、私たちも都市に自分の基本的ニーズや望みを満たしてくれることを期待している。都市人館では、この都市と人間の複雑な関係をごく平凡な六つの家庭に凝縮して反映させている。  一方、この六つの家庭はそれぞれ異なる事情も抱えている。米国のレイドさん一家は共働き家庭の四人家族、オーストラリアのチャヴァレラさん一家はイタリアからの移民家庭、ブラジルのサントスさん一家は五人の子どもがいる大家族で、家計をすべて一家の大黒柱のサントスさんひとりに頼っている。ガーナのハガン夫妻は農村から都市に出て、そこで我が家を築いた。オランダのカリム・エジョアさんは独身男性、そして、中国の趙さん一家はなんと四世代同居の超大家族だ。

 学習展示ホール

同館のプランナーの一人であるオランダのKossmann.dejongデザイン事務所のデザイナーであるハーマン・コスマンさんは、当初のアイディアについて、次のように語った。「平凡な人々の物語を通じて、普遍的な事実を浮かび上がらせたいと思ったのです。対象家庭を選抜する過程では、大都市に暮らす家庭もあれば、小都市に暮らす家庭もあり、大家族もいるし、独身者もいました。要するに、伝えたいことは都市に暮らす人々の多様性です」

この六つの家庭の物語に関する叙述方法については、単純にドキュメンタリー的手法で映像を流すのではなく、日常生活、仕事、人付き合い、教育、健康の五つのテーマを設定し、六つの家庭と彼らの暮らす都市を各テーマに沿って相互に比較するというものだ。例えば、仕事に沿って見てみると、ある家庭の夫あるいは父は週八十時間労働だが、四十時間労働という人もいる。日常生活で見てみると、就寝時の戸締りは鍵を一つ施錠するだけという家庭もあれば、必ず二つ施錠するという家庭もある。健康面では、メルボルンの女性の平均寿命は84歳だが、テマ市は58歳でしかない。都市部で生活していても、異なる地域で暮らす人々の間には、私たちの想像を超える違いがこのように存在する。遠く隔たった地域間の各家庭を相互に比較することで、私たちは世界がいかに多種多様であるかという事実にあらためて気付く。

 都市人館では、入口部分で多くの人類に関する問題を提起している

都市人館では、実物やセット、マルチメディア的提示を組み合わせて、館内を絶えず変化する多元的空間にした。また、来場者に臨場感を感じてもらうため、いろいろな工夫も凝らし、牛乳パックや枠組足場、ペンキ缶、防犯シャッター、書類棚など都市に暮らす人間が日常的に接する物も、補助的な展示材料としている。またバーチャル都市、仕事都市、生活都市、休暇都市、歴史都市などのさまざまな都市景観も館内で展示している。「多元的、比較的視点から当館を参観して欲しい」と、ハーマン・コスマンさんは語る。

「都市とはすなわち人である」と、シェイクスピアは言った。この言葉はまさに都市人館に対する最も適切な総括であり、説明だといえる。都市は人によって建設され、都市は人のニーズを満たすための存在であるべきだ。そして、優れた都市環境とは、人のたゆまぬ努力と創造によって実現されるものなのだ。

 

人民中国インターネット版 2010年6月21日

 

 
 
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