王新玲＝文

日本のロボットは、ベストシティ・プラクティス区の中で、科学技術的要素を生活に溶け込ませる優れた例として万博来場者を引き付けている。来場者にとって、きれいで神秘的なパビリオンの外観を見た後、ロボットたちは引き続き注目するポイントとなっている。

科学技術が生活を変える

1851年のロンドン万博で、英国は蒸気船を展示した。700頭の馬に匹敵する「パワー」にビクトリア女王もいたく感激したという。その後、電報、電話、映画、フィルム、自動車、テレビ、計算機、ロボット、宇宙船など、それぞれの万博で展示された科学的発明は私たちの生産と生活方式を変えた。

万博では、宇宙の家館に宇宙で育った花が展示され、来場者の興味をそそる

上海万博開幕前、英国のある出版物に、万博の歴史は科学精神覚醒の歴史だという文が掲載された。この意味において言えば、万博の科学技術に対する貢献は「教会を上回り、戦争と外交を上回り、抽象的哲学をも上回る。社会を変える面での貢献は法律さえ上回る」

今日、全世界の観衆が日本のアニメを見るし、東京であなたは超小型のチップやデジタル・トイレ（世界一のトイレ）といったハイテク製品を見つけることができる。香港では、ロボットのウエーターによるサービスを受けられるし、一部の小学生は毎朝指紋スキャナーを使って出席確認される。シンガポールでは、誰もが無料でブロードバンドを使用できる……、このようにますます多くの国と都市が科学技術推進に力を入れているのである。

エコロジー都市にも必要な科学技術の支え

科学の発展は私たちの生活に多くの驚きと喜びをもたらしたが、同時に自動車の排気ガス、工業汚染、深刻な仕事上のプレッシャーなどが私たちを悩ませるようになった。近代化とハイテクは私たちにいったい何をもたらすのか、どのような都市私たちの生活をより良いものにするのだろうか?　期せずして世界各国の人々が同じ答えにたどり着いた、つまりエコロジー都市である。

無錫の徐霞客鎮で行われる国際旅行アニメ・フェスティバルでは、コスプレも大人気

シンガポールの計画設計の専門家で、アジア開発銀行住宅プランナーである劉彦声氏は「エコロジー都市は必ず実行できます。しかし、科学技術の支えが必須です」と、彼自身の答えを示してくれた。彼の論拠は、世界が認めるエコロジー都市成功の手本にある。その一、ドイツのフライブルクは太陽エネルギーの使用が非常に成功しており、その代価は政府長期の財政簡素化である。その二、ブラジルのクリチバは、マイカーの保有数が急速に伸びている都市の一つでもある。しかし、その八〇％の住民は外出に公共交通機関を利用している。その三、シンガポールの汚水再処理、再利用率は100％に達している。「これらの都市のエコロジー建設において得た効果はみな科学技術の直接の産物です。現在のエコロジーはすでに科学技術の革新とイコールで結ばれていると言えるのです」

科学の目で無錫を見る

今、中国の無錫では初めての地下鉄建設が進んでおり、ある意味これは、かつての江南の小都市がすでにさらに急速な発展の準備を整えたと言えるだろう。「魚米之郷」（農水産品が豊富な土地）の美称以外に、現在では科学技術が、注目を集めるポイントとなったのである。無錫市人民政府副秘書長徐国偉氏は次のように紹介している。2009年、無錫市のハイテク産業の工業増加値は全市規模での工業増加値の43.5％を占める。無錫は連続八度全国科学技術進歩先進都市に選ばれているほか、「国家火炬創新試験都市」「国家可持続発展実験区」にラインアップされている。2009年温家宝総理が無錫を視察した際には、無錫が「ハイテク産業都市」を建設するよう希望すると述べている。

無錫工業設計園自主設計による出品物は多くの来場者を引き付けている

無錫はハイテクの基礎を持っている都市である。中国の太陽エネルギー産業の発展をリードする企業・尚徳電力は無錫の誇りであり、2009年の同社の売上高は百億人民元に達し、この業界の世界第二位となった。尚徳社は無錫に太陽エネルギー産業の形成をもたらした。現在、無錫の周辺地区には十数社の太陽電池に関連する川上、川下の企業が立地している。

2009年、中国中央テレビ局は劉海涛に中国経済年度人物「年度創新賞」を授与した。国家センサーネットワークプロジェクト技術センター主任、無錫ＩＯＴ（ユビキタスネット）産業研究院院長などの肩書きを持つ彼は、現在もっとも流行しているＩＯＴの創始者でありリーダーである。2000年という早い時期から、無錫は彼の研究を支持してきた。当時を振り返って彼は「都市のトップがもし新しく興った事物を理解、支持できるなら、その都市はその事物が発展する楽園となるだろう」と語っている。

万博では、多くの来場者が、科学技術関連ブースを去りがたいという感慨を覚える。私たちの未来の生活はどんなふうだろう？　私たちの期待するハイテクは、私たちがあこがれる美しい田園とどのようなつながりを生み出すのか？　科学技術の革新と都市の完璧な結びつきというのがもっとも理想的な答えだろう。

人民中国インターネット版　2010年6月22日