「夢のレストラン」 日本産業館の料亭「紫 MURASAKI」  
 

 

柿澤総支配人

日本産業館の高級料亭「紫」は、1人3000元という高額にもかかわらず予約が殺到している。「チャイナネット」は、総支配人の柿澤一氏さんに、料理、サービス、しつらい、文化という4つの魅力的な要素が備わっているというこの「夢のレストラン」について、その人気の秘密を取材した。

要素1 中国人料理家を感動させた料理

仕事中の料理人

八寸

焼物

「紫」で腕を振るうのは、日本の懐石料理でも最高レベルの「菊乃井」「たん熊北店」「魚三楼」から招かれた料理人たち。食材は日本と中国の物をそれぞれ半分づつ使っている。柿澤さんが中国に来たのは1年前で、食材に詳しい中国人の助けを借りて食材を探し始めた。そして料理人たちは最終的に、何十年もの経験と智恵で最高の食材を選び抜いた。

「紫」は、本場の懐石料理の真髄を中国人客に伝えるだけでなく、中国の人の嗜好に合わせた工夫もしている。例えば焼肉料理は、日本の場合だと中心温度を58℃にしているが、今回は中国人客の好みに合わせて61℃に設定した。この3℃の違いに3日間、試行錯誤を繰り返したという。

こうして入念に作られた料理に上海の料理家たちは、「私たちはもともと感動を与えるほうなのですが、今回は私たちのほうが感動をもらいました」と言った。上海万博が始まってまだ2カ月も経たないが、すでにリピーターのお客さんも出始めているようだ。

要素2 「上海一の笑顔」で接客するスタッフ

料亭「紫」には、1人の日本人含む合わせて17人の仲居さんが働いている。彼女たちは応募した400人の中から選ばれた大学生や社会人で、そのうち3人は京都の料亭で一週間訓練を受け、他の人たちは2週間のもてなしの指導を受けた。柿澤さんは「彼女たちの勤勉さや一所懸命に学ぶ姿勢、真面目さや優しさは、日本や中国でも彼女たちだけではないかと思うほどです」と話し、その笑顔は上海でナンバーワンだと称える。

お客さんの中には、彼女たちの気持ちのいい笑顔に、写真を撮らずには帰れないという人もいるという。

要素3 伝統と現代が融合したしつらい

料亭「紫」は日本文化が色濃く表現されている一方で、従来のしつらいに革新的な要素も加っている。庭では15分ごとに霧が立ち上がる。室内に流れる日本の古い民謡や音楽をアレンジした音楽のリズムによく合い、そして松が霧の中で見えたり隠れたりする様子も非常に美しい。「天気によって霧の様子は毎日違います。風が穏やかな時はまるで雲の上にいるかのよう、朝日を浴びた雲はまるで鳳凰、夕日に照らされる雲は赤竜のようです」と柿澤さんが話す。確かにこの個室に座って庭を眺めていると、何十万人もの人でにぎわう万博の喧騒を忘れ、心が洗われるような静かな気持ちになってくる。

要素4 「安心と安全」の文化

この料亭を出したのは醤油製造のキッコーマンで、日本の食文化を支える醤油が何かということを知ってもらうためにこの出展を決めた。キッコーマンは約350年前の創業当時から、「安全と安心」の理念で信頼を築いてきた。こうした信頼があったからこそ、京都の3つの料亭の協力を得て、「紫」という特別な料亭を開くことが出来たと柿澤さんは話す。

柿澤さんはこの4つの要素を備えた料亭「紫」を、「夢のレストラン」と呼んでいる。「料亭には、キッコーマンの中国文化との融合という夢、料理人たちの夢、スタッフたちの夢、おいしい記憶を残したいというお客さんたちの夢など、たくさんの夢が詰まっています。半年間でこの店がまるで大きな花火のように消えてしまう。しかし、この料亭がもたらすおみやげがみなさんの心の中にずっと残るだろう」

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月24日

 

 

 
 
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