エコがキーワード  万博攻略法  
 

高原=文 馮進=写真

上海万博会場の総面積は3.28平方キロ、なんと東京ドーム70個分に相当する。ここに大小合わせて200を超えるパビリオンが点在している。5月1日の開幕初日には中国国内、海外合わせて20万人を超える観光客が訪れ、人気パビリオンの前には早朝から夜遅くまで、長い行列ができた。さて、こうした猛烈な混雑の会場を最短時間で回り、できるだけ多くのすばらしいパビリオンや展示を見るにはどうすればよいか?記者の体験をもとに、効率的な「上海万博攻略法」をまとめた。読者各位の万博ツアーの参考になれば幸いだ。

パビリオンの巻

万博会場は黄浦江を挟んで、浦西地区と対岸の浦東地区に分かれている。浦西には主に企業パビリオンと都市最良実践区があり、浦東には各国のパビリオンが並んでいる。大多数の来場者は、浦東のパビリオンを目指して押し寄せる。確かに各国のパビリオンは目玉には違いないが、浦西の展示も捨てたものではない。そこで、記者は午前中、まず人の流れとは逆に浦西会場に向かってみた。

浦西の最高の見どころは、日本産業館だ。古紙を再生した紙管を使った劇場に入ると、巨大なハイビジョン・スクリーンに目を奪われる。『宴』と題する映像では、短時間で日本の四季、風土、人々の日常生活を、アニメも織り交ぜて紹介している。「日本の快適な生活」を視覚的に十分感じ取れる。日本的な雰囲気を味わいながら、企業館に移動。INAX、大塚製薬、キッコーマンなど八社がそれぞれの展示会場を設けている。そこでは単なる製品紹介にとどまらず、芸術的な手法やアニメを活用して、企業理念や未来像を、来場者に訴えようとしている。なかなか印象的だった。

次に中国航空館に行って、ジャンボジェット機の模擬操縦席で操縦を体験してみた。この楽しさは万博ツアーで絶対に逃してはならない目玉中の目玉だ。ただし、航空館の参観希望者は非常に多く、長い行列に並びたくなければ、予約機で早めに予約しておくことをお勧めする。  

午前中、時間に余裕があったので、コカコーラ館で無料サービスの飲み物をもらい、一元気をつけてから、中国の国家電網館に進む。「魔盒」(mohe)——マジック・ボックスという巨大な箱の中で、六面から発せられる映像や光線の中で浮遊体験を味わった。

正午過ぎ、昼食を取った後、浦東のパビリオン群に出かけた。

数多くのパビリオンの中で、最も来場者の関心を引くのはホスト国・中国のパビリオンだろう。中国館は一番広く、高い建物で、最上階に登ると、浦東サイドの全貌を見渡すことができる。息をのむほどのすばらしい光景だ。館内の最大の呼び物は絵巻『清明上河図』の動画。北宋の首都・卞京の繁栄ぶりが浮かび上がる。当時の商店の様子や人々の動きが手に取るように分かる。しばらくして、暗転すると夜の光景になる。商店にろうそくの灯がともり、漁船が岸に着き、居酒屋がにぎわいを見せる。代表的な、中国の古代都市の姿が見事に描き出される。

中国館は完全予約制で、毎日午前九時から係員が会場の各ゲートで予約券を配布する。一人一枚で一日五万枚まで。券面の予約時間帯に従って参観する仕組みだ。記者の経験では、予約券はわずか15分でなくなる。少しでも早く並んで、予約券を手に入れることをお勧めする。

中国館以外のパビリオンは今のところ予約なしで、米国、ドイツ、日本、サウジアラビア、英国、イタリア、スペインなどの人気パビリオンは最低二時間待ちだ。こうした状況を見て、各国のパビリオンも予約制の導入を検討していて、これからは中国以外のパビリオンも事前に予約の有無を聞いてから出かけるほうが、時間の無駄を省けるだろう。

万博はそもそも世界の建築芸術のコンクールだ。入場する前に建物の外観をじっくり眺め、目を楽しませてもらおう。イギリス館が代表的だ。タンポポをかたどった造形美は建設が始まって以来、注目の的だった。昨年十二月には計画通り建設できるかどうか懸念されたこともあったが、今では、希少植物の種をいっぱい詰めたタンポポが満開で、行き交う来場者の足を止め、感嘆の声を上げさせている。  

同じように外観が壮観なのは、藤のつるで編みあげたスペイン館だ。ここで使用している藤のつるは全て、中国山東省産で、変化に富んだ色彩は顔料を一切使わず、つるを煮る時間を調整して作り出したものだ。遠くから見ると、さまざまな色のつるで作った「日」、「月」、「森」などの漢字が面白い。  

イギリス、スペイン両館が前衛的な造形でお互い引き立てあっているのに対して、ネパール、インド、ポーランド各館は古典的な美しさを醸し出している。ネパール館は大きな仏塔をメインにして、展示品や装飾品は全部手作り、三百五十戸の家庭のこの二年間の努力のたまものだ。ポーランド館は透かし彫り風の切り紙造形の外壁で、きめ細かく、美しいだけでなく、太陽の光が透かしを通して、館内を照らし、明暗のコントラストを作り出している。

中には複雑な建築工芸技術を用いずに、人々を惹きつけているパビリオンもある。たとえば、隣接しているベラルーシ館とボスニア・ヘルツェゴビナ館は、ともに期せずして、外壁に子供たちの絵をあしらった。鮮やかな色彩と生き生きした作品は、「百花競演」のヨーロッパ広場で決して後塵を拝していない。  

外観の話の次は内部の話をしなければならないだろう。

これは内緒にしておこう。一から十まで全部話してしまったら、これから皆さんが見に行く楽しみが半減してしまう。ただ、せっかくなので、記者が選んだポイントを挙げておこう。感動的な映像を観たいなら、サウジアラビア館とアメリカ館。珍しい芸術品、文物に興味がおありなら、フランス、イタリア、デンマーク、グアテマラ、ネパール館にどうぞ。かわいい記念品をお求めならば、チェコ、アフリカ連合、メキシコ館へ。みなさん、ご自分の目でご覧になって、大いに楽しんで下さい。

 

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