「感受」万博 期待さまざま  
 

岡田紘幸=文・写真

作者
万博の熱は上海市一帯で高まっている。上海の若者の期待も大きい。さらに、それは上海だけにとどまっていない。

「ボランティア意識は、まだまだ日本に比べたら低いけど、万博を通じて中国はどんどん良くなって、広がっていけばいい」と語るのは、愛知県の名城大で学ぶ上海出身の学生・戴琳さん。今回、授業の合間をぬって、NPO法人CAN缶アートGの活動に参加した。同団体は、上海万博の成功と地球環境保護、世界平和を願い、万博参加国の国旗をアルミ缶のリサイクルアートで制作。在日外国人&日本人192人の手で作った、192カ国分を現地に寄贈するため、5月末に戴さん含む24人で上海を訪問した。

このアルミ缶アート、なかなか色鮮やかで上手にできている。活動の経緯は、2005年の愛知万博の時に国際交流などを目的とし、市民の宇野さん夫婦が発案。一般市民が集い、愛知万博参加国の国旗アートを制作して、各パビリオンにプレゼントした。その後、周囲の後押しもあって、上海万博へつなげたい思いが高まり、調整を繰り返して今回に至った。理事長の宇野美紀子さんは「愛知の五年後の万博に、願いかなって光栄。思いを込めた一人一人の作品を見てもらいたい」と語る。5月28日に展覧会を行い、作品は翌日29日以後「上海市閔行区少年活動中心」へ寄贈された。一度、見に行かれることをお勧めしたい。

話は変わって先日、私は上海市近郊の杭州へ出かけた。せっかく中国にいるのだから、少しでも多くの地に足を運んでみたい。別の場所から見た上海はどう見えるのか、好奇心にかられて、さらに友人の誘いもあって……一泊二日の小旅行だ。

杭州市内の西湖周辺の観光や、友人との会話を楽しんだ。天気も良く、少し日差しはまぶしかったが、湖畔を歩きながら、おだやかな時間を過ごした。さほど「上海万博」の文字や「海宝」は見当たらなかったが、杭州に住む中国人の知人は「万博が開催されたことで、観光客が実際にどれだけ増えているかはまだわからない。私の親せきや仲間は万博に大変興味があり、早く行きたいと言っている」と関心の高さはうかがえた。

後日、万博会場内「中国省区市連合館」の浙江館(杭州市は浙江省の省都)を訪ねた。実際に行った思い出がよみがえるようだった。ちなみに、浙江館はお土産があるのもうれしい。その土地に足を運んでから、万博パビリオンに行く楽しみ、今回とても実感した。反対に万博で見た後日その国や地域へ、も楽しそうだ。非常にわくわくするのだ。旅って、いいな。

最後に。万博へ行くと、よく見かける光景がある。パビリオンやフェリーの待ち時間で並ぶ中、お腹が減るのか、中国人の手さげビニール袋からパンやキュウリ、ニンジン、スイカなど……どんどん出てくる。これは日本人の感覚にはなく、驚くばかり。次に万博会場へ行ったら、どんな食材(?)を手に持った中国人に出会えるか。今はそれも、ひそかな楽しみのひとつだ。よーし、今度はキュウリを持って、「なりきり中国人」で万博へ行ってみようか。(つづく)

 

人民中国インターネット版 2010年7月2日

 

 
 
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