来る夏の舞台、子どもに注目!  
 

岡田紘幸=文・写真

6月中旬からの上海の話題は万博プラス南アフリカのサッカーW杯。少し意外であったが、中国のサッカー熱は高い。国際サッカー連盟の最新統計データによると、視聴者数を国別で見ると、中国がトップのようだ。大舞台に飛躍したサッカー日本代表、強気に攻める選手の「サムライ魂」に勇気をもらいながら、これから本格的に暑い夏を迎えるのだが、一抹の寂しさを覚えている。

6月12日にジャパンデーが行われた。ジャパンウィークを含めた期間中、連日多くの日本人も上海を訪れたようだが、正直に言いたい。さほど面白みを感じなかった。なぜだろうか。

たとえば伝統芸能の披露は、たしかに素晴らしい。上海に招待された一流のパフォーマンスを見ていると、改めて日本の古典の奥深さを感じることもある。アニメ関連のステージ公演は、まさに現代の日本の誇るべき文化のひとつだ。しかし、私は愛知万博時の市民参加の「民間パワー」を忘れられず、豪華なイベントも物足りなく感じたのだ。

そこで、である。7月24、25日夕方に万博会場内で、日本と中国の4、5歳の子どもたち総勢480人がミュージカルを行う。万博でおそらく唯一の幼児を主役とした民間ステージイベントに、今回は注目したい。

発起人は、保育園の園長。日本の愛知県名古屋市にある中村保育園と上海市普陀区第三幼児園が、交流活動の集大成として合同で行うイベントだ。6月に、園長であり主催のNPO法人ハモニコ理事長・宇都宮美智子さんが上海へ最終調整に来られた際、お話をうかがった。

「両園のリハーサルは当日のみ。ビデオレターでやり取りしながら、踊りの準備を進めることは大変。ただこの年頃の子を国際舞台に立たせ、違う国の同じ年の子と活動させること、その環境は子どもたちにとって、非常に貴重な体験になる」と、宇都宮さんは語る。来場者一万人を目指す。

民間で一からつくるイベントだ。きっかけは1999年にさかのぼる。二つの園は姉妹園として提携し、上海で2001年から交流イベントを年一回欠かさず行ってきた。05年の愛知万博会場で子どもステージを発表後……園長は思い立ち、「愛知の次は上海万博だ」と決意。

早速、行動に出る。日本の民間団体や地方自治体が本格的に動き出す前から、上海に飛び、博覧会事務協調局の担当者との折衝を積極的に進めた。当時は政府上層部は準備段階だったため、「一つの民間保育園が出ることは不可能だ」と言われたが、2年ほど前に、宇都宮さん曰く「担当者が根負けして」、園児たちの出演許可が下りたのだ。

「日本では名ばかりの国際交流も多い。本当の交流を大舞台で」と意気込む。両園の交流は今年で十周年、保育園の関係者以外にも旅行会社やメディアなど、多くの立場の人が有志で協力し、手作りで実施される。当日はぜひ会場に足を運んでほしい。当日レポートは後日に。

 

人民中国インターネット版 2010年7月15日

 

 

 
 
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