「環境の変化と都市の責任」まず自分から、いま、ここから  
 

張雪=文

7月3日、南京市の紫金山荘紫金庁で開幕した万博テーマフォーラム(写真・楊佳)

7月3、4日の2日間、上海万博のテーマフォーラム「環境の変化と都市の責任」が江蘇省の南京市で開催された。

フォーラムでは全体会議、6つの分科会、閉幕式を兼ねた総括会議が行われ、10あまりの国・地区から参加した60人に近い発言者が地方政府・地方自治体、企業、住民という都市における「3大責任主体」についてその分業・分担をどう進め、気候変動を中心とする環境の変化と都市が直面している諸問題にどう対処すべきかで発言し活発な討論を繰り広げた。

公共交通機関の充実を

出退勤はじめ外出する時は極力公共交通機関を利用すべきであると語ったアメリカ環境保護基金首席エコノミスト・中国環境と発展国際協力委員会委員のダニエル・デュデック博士は首からさげた「万博エコ外出低炭素交通カード」を示しながら、「このカード一枚で一トンの二酸化炭素削減のノルマが課されます。カードは自家用車を使わないで公共交通を利用するという誰にでもすぐ理解できる概念によって、環境保護の理念を具体化しました。多くの人々に環境保護という国際的な問題を認識してもらうためにも、こうしたカードをもっともっと普及していきましょう」と語った。

国政府エネルギー局の張国宝局長は「新エネルギー車の使用を大いに呼びかけ、都市の公共交通と近郊電化鉄道網を優先して発展させ、スマートグリッドを導入するとともに、エネルギー源を多様化、分散化しなければならない」と提案した。

国連のアキム・シュタイナー事務次長は上海の地下鉄をはじめとする公共交通の発展パターンを高く評価し「2020年に上海は世界で最も完備した公共交通網を擁する都市になるに違いない」と語った。

南京市内、秦淮区の風景。「六朝の古都」南京は、中国31の省都および大連、青島、寧波、アモイ、深圳の計36の都市のうち、最近発表されたアジア開発銀行「暮らしやすい都市ランキング」評価では第3位にランクされた(CFP)

低炭素都市の建設に向けて

現在、世界の人口の50%以上が都市に集中しており、都市は人々に豊かな生活をもたらすと同時に、交通、冷暖房、照明といった多方面でエネルギーを大量に消費し、同時に工業生産の大部分が都市で行われているため地球上のエネルギーの70%は都市で消費される。温室効果ガスは都市から集中的に排出され、大気を汚染し、都市住民の健康を損なっている。都市は快適で便利な生活を提供すると同時に環境の悪化にも重要な責任を負っているのである。低炭素エネルギーを開発し、低炭素都市を建設するという責任は、今日、都市行政にあたるリーダーに共通のものになっている。

「改革・開放」以来、中国でも都市化が加速され、現在の都市人口は6億2千万に及んで、全人口の47%を占める。1978年に比べて29ポイントも上昇した。都市の発展は中国人の生活に飛躍的な変化をもたらしたが、猛烈なスピードの都市化は、北京、上海などの大都市で大気汚染の現象を引き起こし、さわやかに晴れた青空や星のまたたく夜空を望める日が少なくなってしまった。中国政府は都市と環境との調和の取れた発展を進めることの重要性を重視し、低炭素都市を建設し環境汚染を減少するうえで政府は多くの政策を施行し、喜ばしい成果をあげている。

まず自分から、いま、ここから

会議ではオーストラリアのシドニー市での経験も発表された。シドニー市では2006年に持続可能な都市発展計画が制定されたが、目標は2030年に06年比70%二酸化炭素の排出量を減らすというもので、「持続可能な発展」という理念を市民各階層に浸透させるため、計画策定までには何度も市民、企業との協議が重ねられたという。発表では、気候温暖化に対応して二酸化炭素の排出量を確実に減らすためには、なによりも当局(地方政府や地方自治体)が責任をもって重要な施策を進めることが重要であると強調された。

今回のフォーラムでは、グローバル化、都市化する中での環境問題に焦点を合わせ、都市のより良い発展のパターンと各方面にわたる環境保全上の責任を突っ込んで討議した。

人類の未来の命運をにぎる環境問題の現状をしっかり見極め、じっくり対策を練り、人々に危機を知らせ、試練に立ち向かわせ、希望を見出させるにはどうしたらいいのか……、「理解と責任」はまず自分から、そしていま、ここから、グリーンライフを実地に始めるなかで果たされることをフォーラムに参加した全出席者が確認しあい、生態文明の建設と都市のより良い明日のために奮闘することを誓い合って貴重な二日間の幕を閉じた。

 

人民中国インターネット版 2010年7月23日

 

 

 
 
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