都市足跡館── 都市発展の歴史的再現  
 

 

都市足跡館で展示されている唐代・敦煌仏像

「これは都市の過去数千年に及ぶ発展の歴史的回顧であり、未来の発展に対するある種の啓示でもあるのです」都市足跡館に対して、上海博物館の陳燮君館長はこのように評価する。

都市足跡館は、都市の発展を時間軸に沿ってその発展史上における重要な時代的分岐点に焦点を絞り、文化財展示という従来の手法とマルチメディア的提示という現代の手法を組み合わせ、歴史上有名な場面の数々をリアルに再現することで、私たちに東西の都市文明が無から有へ、古代から現代へと発展してきた過程を臨場感たっぷりに体感させてくれる。

都市足跡館は、「理想幻城」「都市の起源」「都市の発展」「都市の知恵」の四つのホールから構成されていて、ここでは、中国の敦煌莫高窟の模写壁画、仏典、仏像や、フランスのゴッホやロダンの絵画、彫刻、ギリシャのアテネ頭像、ドイツの精巧で美しいメノウ製品など三百点以上の世界各国各地の国宝級文化財も展示され、人類が創造した都市文明の素晴らしさを教えてくれる。

中でも、敦煌研究院から来る十点の唐代の文化財は「至高の宝」と称され、『張君義勲告』を始めとする五点の仏典に書かれている楷書は観賞価値が極めて高い。これらの仏典は千年以上の時を経て、大変脆く破損しやすくなっているので、一般公開されることは通常ありえない。また、その他の五点の木像と塑像も同様に些細な破損事故も許されないため、監視と緊急修復作業用人員を随時配置しなければならない。しかし、今回は上海万博という世紀の機会なので、これらの文化財も初めて敦煌を出て、人々の前に特別に姿を現すことになった。

都市足跡館では、私たちはフィレンツェ、アムステルダム、ビザンティン、イスタンブール、さらには宋代の中国や江戸時代の日本の街並みを散歩し、それぞれに趣きが違う都市の文化美を堪能できる。また、トロイア戦争直後の古代ギリシャの廃墟の街に立つことで、戦争の破壊性にあらためて衝撃を覚え、さらに、チャップリンの案内に従って、私たちは産業革命という「諸刃の剣」が近・現代都市生活にもたらした繁栄と憂慮についても再考できる。

アリストテレスはかつて言った。「人は生きるために都市に集まり、より良く生きるために都市に住み続ける」。都市足跡館で、私たちは世界の都市文明発展の歴史に対する理解を通じて、より良い都市生活への憧れは人類不変の追求であり、この追求こそが都市発展の根源的動力であることを直観的に体感できる。

都市足跡館のプランナーの一人でもある陳燮君氏は、足跡の一方は起源であり、もう一方は未来と希望だと考えていて、より多くの人が都市足跡館の参観を通じて、都市の無から有、そして成熟へ至る歴史的過程に対する一つの理解を持ち、その変遷の過程における人類の知恵と未来の発展に対する探求的思考を感じ取って欲しいと願っている。

 

人民中国インターネット版 2010年6月21日

 

 
 
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