カンクンにおける「国連気候変動枠組み条約締約国第16回会議」に対し中国が期待するもの

国家発展改革委員会気候変化司司長 蘇偉

気候変動は、21世紀の人類が直面する厳しい挑戦である。

工業革命以来の人類の活動、特にその先進国における工業化の過程では、石油資源が大量に消費され、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇し、全地球規模における顕著な気候変化を引き起こしている。そして、発展途上国は、経済発展レベルは低く、インフラストラクチャー設備が劣るために、気候変動の悪影響をより蒙りやすい。

気候変動に対しては、国際社会の協力と共同の努力が必要とされ、20年来、国際社会は公正で合理的な温室効果ガスの排出抑制および気候変動問題を解決する道を求め、「国連気候変動枠組み条約」「京都議定書」「バリ・ロードマップ」の3大成果を生み出している。

現在、国際社会は「バリ・ロードマップ」を実施し、「国連気候変動枠組み条約」および「京都議定書」の全面的で有効、かつ持続性のある実施の強化のために交渉を続け、中国はそれらの交渉のなかで、積極的で建設的な作用を継続的に発揮している。

気候変動に関する今年以来の国際的な論議

昨年12月、「国連気候変動枠組み条約締約国会議」がデンマークのコペンハーゲンで実施され、それは、長期的な目標、資金、技術の移転などの領域において積極的な発展を得、また法的拘束力を伴わない「コペンハーゲン合意」を採択した。だが、会議は、「バリ・ロードマップ」に関する交渉の義務と、2012年以降の国際的なCO2排出削減に関する計画の作成を終えていない。

今年に入って以来、国際社会は、「バリ・ロードマップ」の権限について交渉を続け、今年の11月、メキシコのカンクンにおける「国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議」と「議定書第6回締約国会議」の開催を決定した。

カンクンでの会議における積極的な成果を得るため、各国は今年の会議の回数と時間を増やし、交渉への注力度を増し、先に計画されていた2回の会議を5回に増やした。先の3回の国際会議は、3月、6月、8月にドイツのボンで開催された。10月4日~9日、中国の天津では、第4回「気候変動取り組み条約」および「京都議定書」に関する2つのグループの交渉が行われ、これは、中国が「気候変動枠組み条約」と「京都議定書」を主なルートとするなかの気候変動に関する国際的な交渉において、進歩し、発展を獲得し、カンクンでの会議において成果を得ることを推進するにあたり、重要な貢献を成す。

天津における会議は、カンクンでの会議の前の最後の会議であり、カンクンにおいて積極的な成果を得るにあたり、最後の準備段階にあたる。

各方面の共同の努力により、今年に入って以来、国際的な交渉は、ある程度の進展を得ている。現在、「国際気候変動枠組み条約」グループは、締約国が主導する「交渉案」を作成し、「京都議定書」グループは、交渉の基礎となる「議長案」を作成し、話し合いは、実質的な案文を協議する段階に至り、天津会議は、上述した「交渉案」および「議長案」の基礎のうえに、数句、数段の案文の起草協議を行い、それは、カンクンでの会議の積極的な成果を定めるにあたり、必要な条件となる。

けれど、総体的にみると、現在、先進国と発展途上国の間には、気候変動における国際的な話し合いにおいて、依然として大きな隔たりがあり、核心となる問題は、「国際気候変動枠組み条約」「京都議定書」「バリ・ロードマップ」を堅持するか否か、「共同かつ区別ある責任」の原則と公平の原則を堅持するか否か、先進国が継続的に率先してCO2排出をすべきか否かである。双方の矛盾の焦点は、CO2排出の責任分担および、資金提供、技術移転などの問題である。

先進国は、共同責任を強調し、区別ある責任をなるべく減らし、すべての国が有意義な行動をとるように要求し、発展途上国に対し、数値化されたCO2排出目標値を提出するよう要求するに至っている。また、気候変動の速度を緩和させるよう強調するが、気候変動への適応に関しては冷淡である。また小集団を利用して交渉を進め協議することを強調し、「国連気候変動枠組み条約」と「京都議定書」に対しては冷淡なうえ、この主要なルートに代わるものを企てようとまでしている。また、資金、技術転移および能力の建設方面、つまりマーケットメカニズムを強調するが、その国の政府の責任に関しては冷淡である。

発展途上国は、先進国が工業化の過程において大量に無制限に放出した温室効果ガスが現在の気候変動の主要な原因であり、その一人あたりの排出量はランキングの上位から下がらないうえ、過去から累積した一人あたりの排出量は、発展途上国の数倍、あるいは数十倍にもなり、気候変動に対し、主要な責任を分担すべきであると主張する。気候変動に関する国際的な交渉においては、「共同かつ区別ある責任」の原則を堅持し、「国連気候変動枠組み条約」を主要なルートとしてその地位を堅持し、「バリ・ルートマップ」に従い、「国連気候変動枠組み条約」と「京都議定書」の全面的、有効的、持続的実施を強化し、先進国は、率先して継続的に大幅にCO2排出量を数値化し、適切な資金を提供し、技術を移転し、能力を養うことによる支援を承諾し、発展途上国は、枠組みの持続的な発展および先進国家の資金、技術移転のもと、国情にあった気候変動の緩和のための政策と対策を採るべきである。

 

 

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