劉江永:アーミテージ・前国務長官により動揺すること勿れ

清華大学国際問題研究所教授 中日友好21世紀委員会中国側委員 劉江永

劉江永
清華大学国際問題研究所教授
中日友好21世紀委員会中国側委員
釣魚島の漁船衝突事件問題の処理に関し、菅直人内閣は経験不足により、矛盾を解く機会を幾度も逃した。そのもっとも際立ったのは、今年9月14日、菅直人氏が再度、日本首相に選らばれてのち、本来ならば17日の新内閣組閣の前に中国人船長を釈放できたのに、組閣後に中日両国関係を改善しようとしたことである。さらに、菅首相は、組閣後の19日、再度、拘留期間を延長し、さらに中国を刺激し、温家宝総理は、ニューヨークにおいて重要談話を発表せざるを得ず、菅首相との面会を拒絶した。

菅首相は、なぜこのような間違いを犯したのだろうか?その決定の過程の全貌は、知るよしもない。けれど、一つの事実を見逃すことはできない。それは、その背後にアメリカの影があるということである。9月14日、民主党が代表選挙を終えたばかりの時期、アメリカのある「大物」が日本を訪れた。それはアメリカ、ブッシュ政権の国務長官、タカ派のアーミテージである。早くも10年前、彼は謬論を捏造し、「尖閣諸島(中国における釣魚島列島)は、日本の行政管轄下にあり、日米安全保障条約が適用される」と述べた。

報道によれば、9月15日、アーミテージと菅直人内閣の仙谷由人・官房長官は密接に接触した。彼は日本において、過去の蒸しかえしを行っただけでなく、日本側が釣魚島水域において、違法に中国人船長を拘留した一件について、日本の「判断は正確で、反応は適度である」と称えた。また、中国は、この件を通して「日本政府の限界ライン」を探ろうとしており、同類の事件の再発生を防止するためには、防衛費を増やし、日米連合軍の軍事演習回数を増やして、中国を牽制することが「もっともよい策略である」と述べた。これは、日本が中国人船長の拘留を延長することを支持し、また日本が軍備を増強し中国に対抗することへのそそのかしに等しい。その実質は、釣魚島の争議を利用し、中日関係を挑発し、同時に中日両国を弱め、以ってアメリカの覇主としての地位を確保することである。アーミテージはすでに野に下っており、アメリカのすべての見方を代表しているとはいえないが、中日間に釣魚島を巡り鋭い対立が起きている最中の訪日時の言論は、短期間内に菅直人内閣を間違った方向へ導き、中国への強硬な立場をとらせ、この件を善処する絶好のチャンスを失わせた。

中国には、成語となっている故事がある。「蚌鷸の争い、漁夫の利となる」というもので、『戦国策』からの出典である。中国古代の諸侯、趙の国が燕の国を攻めようとした際、和解を勧める臣下が趙の恵王に進言した。「易水を過ぎるに蚌まさに出でて曝す。而して鷸その肉を啄む。蚌合してその喙をはさむ。鷸曰く、“今日雨降らず、明日雨降らずば、即ち死蚌有らん”と。蚌もまた鷸に曰く“今日出でず、明日出でずんば、即ち死鷸有らん”と。両者相舎つるを肯ぜず、漁者得てこれを并せとらう」。今回、アーミテージはまさに「蚌鷸の利、虎狼の心」を謀るものであり、中日の蚌鷸の争いを借りて、アメリカが漁者の利を得ようとしているではないか?

アーミテージの「賢さ」は、ここにあり、彼は日本のタカ派の心理をうまく利用し、同盟国の兄貴分の保証と、「ほめそやし、励ます」言葉を以って、領土問題をてこに日本の政策決定者をやすやすとペテンにかけたのである。この件も含め、アメリカは何度試してもいつも効果を得ている。いわんや日本の一部の人々は自ら喜んで利用され、虎の威を借りるキツネとなる。彼らはこの「事実を証明する」機会を利用し、「中国脅威論」を喧伝する。目的は、中国に対し、さらに焦点を絞った日本防衛計画大綱を通過させ、今年以内に日本の防衛の重心を南に移し、琉球列島全体を日本の対中国軍事前線体制にすることである。

しかし、これは日本の国家利益に符合するのだろうか?否。中国に対し友好的ではない日本の菅沼光弘・公安調査庁調査第二部長でさえ以下のように認めている。1991年ソ連が解体後、日本はアメリカに次ぐ世界第二の経済大国となった。ソ連という軍事的強敵を失ったアメリカは、次の敵を経済大国の日本に定めた。アメリカは、日本の全面的な政治、経済の改革に対し圧力をかけ、日本経済の衰退を招いている。

アーミテージは、つむじ風のように去った。2010年10月6日、アメリカのキャンベル国務次官補が、日本を訪問した。その重要な目的は、沖縄の米軍基地移転問題に決着をつけることであり、米軍が引き続き沖縄の軍事的存在であり続けることであり、同時にまた中国の釣魚島をめぐる問題の形勢を研究、判断することである。政権担当者としてのオバマ政権は、アーミテージのようなおかまいなしではなく、中日関係が劇的に悪化するなか、日本に冷静な対応を呼びかけている。菅直人首相が那覇地検の中国人船長の釈放決定に対し同意したことに対し肯定し、中日が往来を復活させることを奨励している。そして、中日の関係が蜜になると、アメリカはまた釣魚島の問題を持ち出し、争いを引きおこす可能性がある。

アメリカは、かねてより、その覇権的地位に挑む国家および国家集団を国家安全の脅威とみなしてきた。日本とて例外ではない。冷戦後の20年来、日本の経済的挑戦に対し、アメリカは政権担当者の経済大国から政治大国へ移行したいと焦る心理を利用し、日本人の学者たちおよびメディアを通しての巧妙な思想の浸透により、戦後の「経済優先」の国家の発展モデルに圧力をかけ改変させた。

その結果、日本の国内総生産高は、1994年にはアメリカの約80%に近づいていたが、2009年には、35%に落ちてしまった。今年は、世界第二位の経済大国という玉座からも落ちようとしている。アメリカは目的達成後、日本を利用して中国に圧力をかけ始めている。

これは日本にとって国運を転覆させるに等しい災いをもたらすものである。日本政府は、釣魚島というこの局部的問題においてアメリカに頼り、中国に対し強硬姿勢を貫けば、外交の全局面においてアメリカに対し弱みをみせることになり、発言権もない外交三流国家となる。

 経済上でも、日本の「最大顧客」である中国に武士の姿勢を示せば、多くのビジネスチャンスを失う。財政面では、「財政赤字大国」の日本がもし中国に対する防衛費を増強させれば、財政危機をさらに深刻にするのみで、国民生活や就業問題の改善に不利である。政治面では、民族主義の後押しに頼り、国民生活を改善できない政府はすなわち無能であるといえる。戦略面においても、もし日本国憲法を改正し、第二次大戦後の軍事禁区であることを破れば、最終的には、日本は平和的発展の道を誤り、再び歴史的な惨敗を繰り返す可能性がある。日本がアーミテージのペテンにかかれば、戦略の分かれ道を誤り、次第に退場に向かうことになる。中国の『史記』のなかには名言がある。「忠言は耳に逆いて、行いに利するあり」。これは現在、中日両国の成句である。考えてみてほしい、結局、何が「日本の国益」なのだろうか?日本よ、猛省すべきだ。

 

人民中国インターネット版 2010年10月20日

 

 

 

 
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