「一人っ子世代」の親たちは?

 ここ数年、「421家庭」に関する話題が繰り返し取り上げられ、議論されてきた。いわゆる「421家庭」とは、1組の夫婦が双方の両親4人を扶養し、一人っ子を養育する時代が近づいているという意味だ。1970年代、80年代生まれの一人っ子がすでに成人となった今、彼らは子育てと両親の介護に同時に直面し、2重のプレッシャーを受け始めている。中国の「少子化」問題が日に日に顕在化してくるのに伴い、専門家はもとより、社会各層で計画出産政策を継続していくべきかどうか、議論が活発に行われている。

 一番大変なのは両親の世代

 今年31歳の張友迅さんと夫には一歳になる娘がいる。張さんは一人っ子で、夫は双子だが、父の世代では五、六人の兄弟姉妹がいた状況と比べると、彼女たちは間違いなく少数勢力だ。これに対して上の世代は長寿で、今は夫婦の両親は言うまでもなく、それぞれの祖父母も健在で、人口構成の「逆ピラミッド現象」がズバリここに現れている。

 「四二一家庭」の老後問題、介護問題に話が及ぶと、彼女はしばらく考えた後でこう質問を返してきた。「じゃあ、私はその『一』に当たるのですか、それとも『二』ですか」

 記者が「二ですね」と答えると、彼女は「私たち世代はまだ父母の本当の老後問題に直面しているわけではなく、まだ『一』だと思います。子どもはまだ一歳で、いつも私の両親が一緒に住んでいろいろ援助してくれています。私が両親の面倒を見るというより、今はまだ両親が私を助けてくれているのです」。

子どもの世話を父母に頼んでいる「421家庭」の張友迅(右)さんと夫(左)(写真・劉世昭)

 張さんによれば、今もっとも疲れているのは両親の世代だという。この世代こそ上、下両方の世代の面倒を見ているからだ。彼女の父方、母方双方の祖父母はいずれも、専門の家政婦ではなくパートのヘルパーを頼んでいるだけで、通常は彼女の両親やその兄弟たちが面倒を見ている。夫の祖父はすでに90歳を超えているが、70歳を過ぎた夫の父親が面倒を見ていて、今のところ彼女たち夫婦の出番はない。それ以外にも子どもたちの日常生活の面倒を見ており、彼女たち夫婦が住宅を買った時も不足分を負担するなど、とても大変だ。

 彼女はこう話す。「私たちはまだいい方ですよ。夫婦とも収入はまずまずで、両親に借りたお金ももうすぐ返済できます。でも、よそから北京にやって来た友だちのところや、収入がそれほどでもない夫婦は、両方の両親が一生かかって貯めたお金を全部つぎ込まなくては北京で住宅は買えません。今の時代、両親のすねをかじらないというだけで大したものなのです」

 吉林省から来た任重偉さんもこの考え方に賛成だ。彼によれば、彼の実家がある小さな町では就職の機会が限られている。彼のような高学歴の人間は大都市でいい仕事を見つけることができ、経済的にも自立し、少なくとも両親の負担を増やすことはない。しかし、家に残っている同世代の人たちは、多くが仕事を見つけることもできず、両親の退職金を頼りにするしかない状況だ。彼の友だちの父親はタクシーの運転手をしているが、父親が疲れた時に代わりにタクシーを運転するくらいしか仕事がなく、一年にやっと二万元の稼ぎだけだ。彼らにとっては、老人介護どころか、まず自立が目の前の問題なのだ。

 

 

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